![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/158914633/rectangle_large_type_2_a36aa732567e0188fc0dd257fc58f2c1.png?width=1200)
本づくりのプロセスは、片づけに当てはめるとわかりやすい
本をつくり始めるときや、出版企画書の内容を詰めていくとき、
「編集者である私がやっていることって、片づけのアドバイザーさんがやっていることと近いのでは?」
と、先日ふと気づきました。
本づくりと片づけって、けっこう共通点があるんです。
テーマに沿って質問する(片づける場所を決めて中身を出す)
![](https://assets.st-note.com/img/1729576298-nFEUGlBev3HwbIpyYk0RirNS.jpg?width=1200)
企画を詰めていくとき、私はまず、書いていただくテーマに沿ってお話を聞いていきます。
著者さんの話の中に気になるポイントがあったら、すかさず質問、どんどん質問して、著者さんの持っている知識や経験、考えを深掘りしていきます。
片づけでいうなら、片づける場所を「クローゼット」といったん決めて、引き出しの中身をどんどん外に出していく段階。
すると、著者さんが引き出しの奥にしまい込んでいた素敵な服(意外なエピソード)がひょっこり現れたりします。
すると、私(編集者)は
「その服(エピソード)! いいじゃないですか! むしろハンガーにかけて一軍として使いましょう」
と言ったりします(片づけの方はこんなこと言わない気がしますが……まぁそれはよしとして)。
私に質問されて答えていくうちに、著者さんが「そういえば……」とテーマの枠を超えたところでハッと何かに気づくこともあります。
「クローゼット」という枠を超えて、「キッチン」の引き出しの中にある「おたま」に意識が向く感じでしょうか。
そうなったら、今度は「キッチン」へと場所を移し、引き出しを次から次へと掘り返す作業が始まります。
このように、片づける範囲を広げて深掘りし続ける。
あっちはどうか、こっちはどうかと私(編集者)に言われるので、いろいろなものを引っ張り出して、ひたすら外に出す。
すると、どうなるか。
はい、ご想像どおり、家の中がとっ散らかります(笑)。
部屋から部屋へ、引き出しから引き出しへと掘り返していくので、カオス状態になるわけですね。
本のコンセプトを決める(片づけの方針を決める)
![](https://assets.st-note.com/img/1729577045-sfCW3GNYoMdHaISPe06E8hBQ.jpg?width=1200)
著者さんによっては、「こんなに散らかっちゃって、果たして最終的にちゃんと片づく(1冊の本にまとまる)のかなぁ……」と不安になることもあると思います。
が! 心配ご無用!
全部外に出していったんカオスになるからこそ、予定調和を超えた新たな本のコンセプトが見えてくることがあるのです。
部屋から出てきたいろいろなエピソードの中心を串のように貫いている著者さんのポリシー、生きるテーマ、課題のようなもの。
著者さんが今までやってきたこと、これから取り組みたいことについて全部説明がつく!と思えるようなコンセプト、キーワード。
いったんいろいろなものを全部外に出して、目に見える状態にしたからこそ、本の核となるものが見つかるのです。
いらないものは潔く捨てる
![](https://assets.st-note.com/img/1729577379-ACFPs0gitRMmVonvQky7LDOH.jpg?width=1200)
本のコンセプトが決まったら、次にやること。
それは「捨てる」こと。コンセプトに合致しないものを潔く捨てていきます。
捨てれば捨てるほど、コンセプトがどんどんクリアになり、明確な輪郭を伴って見えてくるようになります。
すると、さらに捨てる作業がはかどるようになります。いらないものが直感的にわかるようになるのです。
いらないものを捨てていくと、思考がクリアになっていきます。同時に、手元に残るもののクオリティが上がっていきます。
ぜい肉を脱ぎ捨てて筋肉質になっていく感じといいますか、料理の雑味が取れてすっきりおいしくなっていく感じといいますか。
いらないものを捨て切った後は、手元に残ったものを整理する段階に入ります。
クローゼットでいえば、何をハンガーにかけて表に出すか。どの順番で、どの引き出しにしまっていくか。
場合によっては、次はキッチンに移って、どの道具を表に出すか、どの引き出しにどの順番で道具やカトラリーを並べるか。
大丈夫、いつか必ず片づくから
![](https://assets.st-note.com/img/1729580587-MZNrX1DPAUbfpuCkqQm74Soa.jpg?width=1200)
ここまで書いてきた、本づくりの最初の段階や、企画を詰めていく段階で私が著者さんとやっていることをまとめると、次のようになります。
❶質問しながら深掘りして広げる
(片づけ:中身を全部出す、片づける範囲を広げる)
❷いったんカオスになる
(片づけ:家の中が散らかる)
❸軸となるコンセプトを見つける
(片づけ:片づけの方針が見つかる)
❹いらないものを捨てて、整える、並べる
(片づけ:いらないものを捨てて、残ったものを整える、並べる)
本づくりと片づけ、似ていますよね!?
だからなんなんだ、という声が聞こえてくる気もしますが(笑)、私が本づくりと片づけの共通点を通じてお伝えしたいのは、
「本づくりのはじめの段階は、いったん散らかってカオスになっても大丈夫! 必要なプロセスだから、じっくり一歩ずつ進んでいけば必ず1冊の本にまとまりますよ」
ということ。
最初はどうしても散らかってしまうし、頭が混乱してしまうこと、不安になることもあると思います。
でも、
「これも必要なプロセスなんだ」
「片づけと同じなんだから、地道にいらないものを捨てて整えていけば、いつか必ず片づく」
そう知っておくだけで、本づくりの見通しが立ち、気持ちが楽になると思うんですよね。
本のつくり始め、企画を磨いていくときにいったいどんなことをしているのか。著者さんと編集者の2人で、何を乗り越える必要があるのか。
この記事を読んで、少しでもイメージが湧いたようであればうれしいです。
この文章は、毎週月曜日に配信しているメルマガから転載しています(noteに転載するのは、過去のメルマガの一部です)。
編集、文章、本にまつわることに興味がある方は、こちらからぜひメルマガにご登録ください!
書籍編集者と出版企画書をつくるサービス「きかくたす」の募集は、メルマガ優先でご案内しています。
ご登録いただいた方には、オリジナル校正表(100語)をプレゼントしています。