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【インタビュー】暮らしと食のライター、てらさりさんの「書く、軽やかさ」

書くことって、いいですよね。
思いが形になるときが、私は好きです。

ただ、趣味のnoteを書いているうちに、もっと読んでもらえたらな…という欲が出て、

書くことについての本を読むうちに、
書くことがちょっと辛く、重く感じることもあったりして。

そんな時、寺田さおりさん(以下、てらさりさん)の自主制作ZINE『うつわと人 Vol.1』に出会いました。

てらさりさんのインスタグラムより


表紙のキレイさに惹かれてポチッと購入したところ、文章やストーリーの美しさに、心がススーと動かされました。

ぜひ、お話を伺いたい!
ということで、今回は、てらさりさんの「書く」についてインタビューさせていただきました。


寺田さおりさん


広告代理店勤務を経て、現在はフリーランスのライターとして活動中。
学生時代から、人を家に招いて食卓を囲むことが多く、料理や生活道具についての関心が高まっていった。
フードコーディネーターの資格を持ち、料理のスタイリング・書く・撮るをライフワークにしている。
ZINE『うつわと人 Vol.1』を2023年執筆。


2児を育てながら、フリーランスのライターを行う、てらさりさん。
忙しい傍らで、自主制作ZINE『うつわと人 Vol.1』の発行をする行動力!

『うつわと人 Vol.1』では、てらさりさんの歩んできた道や、うつわにまつわる3人の方の話しが、流れるようなストーリーで描かれています。
子育てとキャリアに悩む私に、刺さる言葉ばかりでした。

1.その人の頭の中、心の中がどうなっているんだろう

ZINE「うつわと人」では、うつわという”モノ”から”ヒト”のストーリーをどのように見つけたのでしょうか。

もの自体からその人らしさが見えるというよりも、自分が心地よいと思う物に出会ったら、その先にいる人の頭の中、心の中がどうなっているんだろうと気になって。
そこに生きてきた道が見えてきます。

好みのデザインを選ぶ直観力は、自分の好きが明らかになっているからこそ。
インスタやnote、blogといった、てらさりさんのコンテンツは、一貫した美しさがあります。
こだわれること・貫けることは素敵なことだなと感じました。

うつわに縁遠い私でしたが、作り手の方の「頭の中、心の中」が言葉になると、その方のポリシーが見えて、距離を身近に感じました。

2.おばあちゃんがいるといいのにな

仕事でもプライベートでも沢山「書く」を続ける、てらさりさん。
初めて書いた時、どんなエピソードがあったのでしょうか。

手紙やメモを大人が書くのをみて、ペンの動きをマネをしたのが最初かな。

元々、内向的で、人前で話すのが苦手だったんです。国語で、教科書の朗読
をするときは、自分の順番が回ってくるかなり前から緊張してました。
でも、読書感想文で、賞をとったことがあって。
「おばあちゃんがいるといいのにな」という本の感想文だったんです。
両親が共働きで、おばあちゃんと過ごすことが多かった私に、ぴったりテーマがハマって。
その時に、自分の思いを言葉にして相手に伝えること、頭を回転させて自分の考えを書くことが気持ちいいなって思いました。


すらすらと答えてくださる姿からは、内向的な様子が全く想像できないほどでした。
書くことって、それほど影響があるんだなと、改めてすごさを感じます。
誰でも、心に思っていることがありますよね。

3.型にはまっているようでつまらなかった

子供時代、学生、就職を経て、てらさりさんの表現することへの思いは、どう変化したのでしょうか?

子供のころから、ジャズバンドをやっていた父の影響で、音楽が好きで。
ロックやポップスを聞いて、思春期のいざこざも「何くそ、見返してやる」と思っていました。
中学生までは、優等生だったけれど、型にハマっているようでつまらなかった。音楽を聴いて、バランスを取っていたと思います。

美しい写真や文章とは裏腹に、強いガッツと反骨心。
人間味を感じるエピソードで、個人的にはとっても好きなお話でした。
「型にはまっているようで」というところにも、当時から表現欲を感じます。


将来を考えたときに、最初は音楽ライターになりたかったんです。
腕一本で表現して食べてるのが素敵だと思って。
でも、図書館で職業の本を調べたら、「ライター1本で食べて行くのは難しい」みたいなことが書いてあって。

好奇心があって、知らないことを知れるのがいいなと思って、マスコミ系を目指しました。
そのうち、幅広く色々できると思って、ライターや編集に進んでいった感じで。

広告代理店での多忙な生活を経て、フリーランスに転向。
フードスタイリスト(食品に関わる撮影現場のスタイリングをおこなう専門家)の資格も取り、食に関するライティング・編集にも力を入れていたそう。

フリーランスになって3年くらいは、ライターよりも、フードスタイリストの仕事をメインにしていました。
自分の名前で記事を書くのが、怖かったんです。
文章のほうが、より素に近い表現という気がしていて、ボキャブラリーも、自分の中にあるものしかでませんよね。
それに、ほんとうに好きなことは最後まで手を出せなかったというか。
「もしこれでダメだったら、どうやって生きていこう……」ってかなり重く考えてしまっていて。

でも、小さく自分の書いたものを世に出していくうちに、少しずつリハビリをしていった感じです。
それに自分が意識するほど、人は他人のことを気にしていない。
そう思うようになってから心が軽くなりました。


自分を出していくことが怖いと、私もよく思います。仕事と思うと、もっともっと辛いことだったでしょう。
でも、それを超えたてらさりさんは、とても軽やかな笑顔でした。
「少し自分を開いていくと、新しい物が見えていくのかもしれない」と勇気をもらいました。

4.きついけど、今できる範囲で楽しめれば


話が進むうちに、奇しくも、子どもの年代まで同じことが発覚!
びっくりしつつ、いたく共感しまくりでした。
子どもがいながら書くときのコツはなんでしょうか。

 子育ては、チームでやってると思ってて。「私は今これを書きたい」って思ったら、「ちょっと書いてくる」って、夫や子ども達に伝えます。子ども達も一人でいられることが増えてきたから、引き止められることも少なくなってきました。

書く時には、自分の中のもう1人と話しているような感覚。ごちゃごちゃをメモしたり、書き出すことで、いろんな選択肢の中から腑に落ちたものを書いている感じ。
途中でちょこちょこ書くと、いろんなことが入ってよくわからない文章になるので、思いついた時にパッと書くというのが、筋の通った文章になると思う。

今できる範囲で楽しめれば。
ありのままで繕わず行きたいと思っています。
キツいときもあるけど、もがくだけもがいたら少しは人間としての深みが増すと思うから。
やりたいことをやって楽しみながら生きている姿を見せたほうが、子どもにもいいのかなと思う。

自分の書きたい気持ちを我慢せず、集中して書き上げるスピード感。
その時に自分が何を優先するのか、決断に潔さを感じました。
自分がやることに、自分で責任を持つという強さをもつ、てらさりさん。
私も「子どものせいで、できない」と嘆くより、「自分がしたいと決めた」という気持ちをもっていきたいな、と思いました。

5.伝えたいこと、思ったことが伝わった時がうれしい

書くことを楽しみたい、と思うここ最近。
日々、書くことをしているてらさりさんは、どういうマインドで行っているのでしょうか。

書き始め、エンジンがかかるまでは苦しいです。
でも書き出すと波に乗ってくる瞬間があって。
この瞬間を味わうために書いている。

伝えたいこと、思ったことが伝わった時がうれしい。
フリーランスでやっていると、フィードバックをもらえることがあまりないので、感想をもらえたときはとってもうれしいです。

書いている状態そのものを楽しんでいることが意外でした。
波に乗る体験は、身近なところでもできるのか、とハッとします。

色々、細く長く続けたいかな。
好奇心旺盛なので、気になったことは、直感でエイってやることが多い。
失敗したら、落ち込むところまで落ち込みます。けど、そこからは、クヨクヨしてもしょうがないと思うことが多いかな。

東京でビルに囲まれて仕事をしていたとき、身近な自然を求めてはじめたのが料理です。
料理は、やればやっただけ、技術も知識も、栄養も、自分に返ってくると思ったんです。
実家でご飯を食べたとき、新鮮な魚は塩をふっただけで美味しくなるし、「こんなに幸せになれるものを自分の手で作れるなんて天才!」って自画自賛していました(笑)。

料理をするおばあちゃんを見ても、自分の手で生きているなぁと思って。
料理をする、心地よく暮らすための努力が楽しいし、自己肯定感につながったと思います。
普通の人の暮らしをのぞくと、いろんな暮らしがある。
暮らしの美学っていうか。
それを伝えていくことで、その人らしい物差しが見つかるんじゃないかなって思ってます。

いろんなことに好奇心を持つ、てらさりさん。
blogを読んでいても、「これに興味があります!」「これをしていきたい」という言葉にエネルギーを感じます。内なるガッツ!

きっと、幼いころのおばあちゃんとの思い出=食が、ブレない軸になっているのだろうなと感じました。
食は人の数ほどあるけれど、そんな広い道のりも、てらさりさんは軽やかに進んでいくんだろうなと思いました。

6.終わりに

ZINEになんとも言えない気持ちを持ってから、「書くことへの思いを聞きたい。人のストーリーを表現するてらさりさんは、どう歩んできたのだろう。」と、インタビューする日を楽しみにしていました。

プロのインタビューライターでありながら、快く、はきはき話してくださって、本当に時間を忘れてしまいました(オイオイ…)

書くことをどうやって楽しんでいるのかな?という私の疑問は、「書くと決める」ことが今の答えかな、とお話を伺って感じています。

これからも、ZINEやblog、noteなどなど、励まされながら読ませていただきます。
ありがとうございました!

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