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君の話を聞かせて

「君の話しを聞かせて」

これ、映画『C'mon C'mon』(2022)のキャッチコピーのひとつ。
ずっと気になっていた作品の試写会に当選し、先日、一足先に鑑賞してきた。


このキャッチコピーのほかに
「大人も子供もどっちもどっち」 「大丈夫じゃなくても大丈夫」
この2つもあるのだけれど、


もう、とにかく……
このキャッチコピーがこの作品の全てを表しているな、と拍手と言うよりも握手をしたい、そんな気持ちになった。私が伝えたいし、伝えてもらいたい言葉そのものでも合った。


この作品自体が本当に良くて、
私の今の状況(今までのも含めて)にとても合っていたし、
これからの人生で大切にしていきたいと思える。

観賞後は、
自分の心に沁み渡るように、この作品の良さに浸っていたし
それもとても気分が良かった。
でも、うまく言えないけど、
柔らかすぎて心のどこかに馴染んで消えてしまいそうな感じもした。

最近は、
感情や思考を言語化することが知的だったり、
語彙が豊かなことが良いこととされている(気がする)けど、
記号に表せない気持ちを抱いていることは
一見モヤモヤするけど、良くないことではない。
(むしろ今は、言語化できることに焦点が当てられすぎているとも思う。)

私だって、この“何か”をうまく説明できないからこそ、言葉をたくさん知っていて伝えられる人に憧れるのだけれどね。(そういえば部活動のミーティングの時に、よく同期から説明が遠回りすぎる・言葉にしてちゃんと言ってみてと指摘されていたな)

言語化が全てではないと思っている私。
でも今回は、馴染みすぎてしまう前にどうにかしたいと思ってた。



そこに現れたのがこのキャッチコピー。

難しいようなクリエイティビティ(?)に溢れているような
特別目新しい言葉ではないのだけど、
全員に届く言葉で、わかる言葉で表現されてるこのコピーは
この映画を表し、
観た時の気持ちがすぐに思い出せるような言葉で
この作品がストンと物体として心に留まった感じがした。
今回の場合は、このストンと留まってくれている感じが私にとって心地良かったみたい。
この言葉たちに出会えて(もちろん作品ありきなのだけれど)安心できた。


大事なメインの作品についてはと言うと……
ジョニー(ホアキン・フェニックス)が甥っ子のジェシー(ウディ・ノーマン)の面倒を見るために数日だけ一緒に生活をするお話で、映像は白黒なので”会話”に集中できる作品。


これを観て
相手の話をちゃんと聞きたいし、私の話も勇気を出して伝えなきゃな、伝えたいなと思った。私は敏感で察しすぎてしまい、聞けないし、自分でもいえない人間だからこそ。

そして、純粋に子供に戻りたいと思った。
子供にも大人にもなる苦しいあの頃に戻れたら、私はどんなことを思い、願い、夢をみ、怒り、喜び、悲しみ、楽しんで大人たちに話すのだろうか。
感情を表すのが苦手な大人になる前に、もっとそれをしてくれば良かった。


この作品の内容とこのコピーを含め、
伝えることや言葉がいかに尊いかを改めて認識させられた日だった。とっても良い日だった。



私の人生は映画によって彩られているから、(映画がないと生きていけない!)今後は映画についてのnoteも増えてくると思う。むしろほとんどがそこから派生した思考や感情についてを綴るんだろうな。

この作品、
私の母にもきっと沁みるはず。伝えよう。

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