2023/10/12(木)のゾンビ論文 ゾンビプロジェクトの調査
ゾンビについて書かれた論文を収集すべく、Googleスカラーのアラート機能を使っている。アラート設定ごとに、得られた論文を以下にまとめる。
アラートの条件は次の通り。
「zombie -firm -philosophical -botnet -xylazine -biolegend -gender」
「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -biolegend -gender」
「zombie -firm -xylazine -biolegend」(取りこぼし確認)
検索条件は次の意図をもって設定してある。
「zombie」:ゾンビ論文を探す
「-firm」:ゾンビ企業を扱う経済学の論文を排除する
「-philosophical」:哲学的ゾンビを扱う哲学の論文を排除する
「-DDoS」/「-botnet」:ゾンビPCを扱う情報科学の論文を排除する
「-xylazine」:ゾンビドラッグに関する論文を排除する
「-biolegend」:細胞の生死を確認するゾンビ試薬を使う医学の論文を排除する
「-gender」:ジェンダー学の論文を排除する
また、検索条件3では、上記の検索キーワードで不必要にゾンビ論文を排除していないかを確かめる。
今回、それぞれのヒット数は以下の通り。
「zombie -firm -philosophical -botnet -xylazine -biolegend -gender」三件
「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -biolegend -gender」三件
「zombie -firm -xylazine -biolegend」六件(差分三件)
検索条件1-3は医学、情報科学、比較文化学、社会学が一件ずつだった。
検索条件1「zombie -firm -philosophical -botnet -xylazine -biolegend -gender」
モバイルエージェントのほぼ線形な時間分散
一件目。
原題:Near-linear Time Dispersion of Mobile Agents
掲載:arViv.org
著者:Yuichi Sudo(首藤裕一)を筆頭著者として、五名
ジャンル:情報科学
"zombie method"という文字列が出てくる。それの意味するところはわからない。また、不思議な数式が多数出てくるし、図表も全く読めないので、これ以上の深入りはしない。
ジャンルは情報科学。おそらくだが、工学への応用よりもプログラミングか計算の効率を上げる仕組みに関する論文だと感じたので。
エトルリア人、ヴィクトリア人、そしてその後: 現代の美意識
ニ件目。
原題:Etruscans, Victorians, and After: The Modern Sense of Beauty
掲載:Modern Etruscans: Close Encounters with a Distant Past
著者:Francesca Orestano
ジャンル:比較文化学
エトルリア、ヴィクトリアの文化や歴史を紹介?する論文。
エトルリア文化に関係のある映画として『L'etrusco uccide ancora』(英題:The Etruscan Kills Again)や『Assassinio al cimitero etrusco』(英題:Assassination in the Etruscan Cemetery)などが紹介されており、その中でゾンビが出てくるらしい。
ジャンルは比較文化学でいいだろう。エトルリアとヴィクトリア、現代の文化を比較しているため。
国内植民地主義の拒否:チロエ風力発電所提案に対するチロテスの反応
三件目。
原題:Rejecting Internal Colonialism: Chilotes' Response to the Chiloé Wind Farm Proposal
掲載:Wageningen University & Research(Wageningen Universityに提出された修士論文?)
著者:Luna Swelsen
ジャンル:社会学
zombieの単語は"zombie project"(ゾンビプロジェクト)という文字列で出てくる。ゾンビプロジェクトは以下の記事で定義されている。
チロエ風力発電所を立てることが決まっている一方、着工には様々な問題があるらしくプロジェクトが死んでいるのか生きているのかわからない状態であるらしい。ということで、ゾンビプロジェクトという単語が使われる。
論文自体は発電所建築にあたっての様々な問題の推測や地域住民への影響について論じている。
ジャンルは社会学だろうか。社会問題を扱っているので。
検索条件1-2の差分(差分なし)
「DDoS/botnet」で検索結果に差異が生じるか調べる。
今回は差分がなかった。もうずっと差分を見ていない。GoogleスカラーがAI機能か何かで勝手に消しているのだろうか。
検索条件4「zombie -firm -xylazine -biolegend」
上記の条件で誤ってねらいのゾンビ論文を取りこぼしていないかチェックするために、こちらの検索結果もチェックしておく。ただし、ゾンビ企業とゾンビドラッグ、ゾンビ試薬は排除されるように設定してある。
他者性の表現としてのゾンビの物語 – ゾンビの物語における社会的および文化的問題
原題:The Zombie Narrative as the Representation of Otherness – Social and Cultural Issues in the Zombie Narrative
掲載:University of Zadaに提出された修士論文
著者:Diplomski rad
ジャンル:評論
「-gender」で排除。タイトルの通り、ゾンビの出てくるフィクション作品、特にゴシックジャンルの作品の分析。論文はクロアチア共和国の大学院生による。
不穏なジャンル: リン・マーの『断絶』とシルヴィア・モレノ=ガルシアの『ある暗いもの』における超自然的アウトブレイクの物語について
原題:Unsettling Genres: On Supernatural Outbreak Narratives in Ling Ma's Severance and Silvia Moreno-Garcia's Certain Dark Things
掲載:Multi-Ethnic Literature of the United States
著者:Heejoo Park
ジャンル:評論(ジェンダー批評?ポストコロニアル批評?)
「-gender」で排除されたと推測。タイトルの二作品をメインに感染症を扱ったフィクション作品の分析を行う。それが女性差別や人種差別と結びついているので批評の分野まではわからないが…。
ちなみに『断絶』は過去に記事で触れたことがある。書評から推測するに、フェミニズム的観点から生まれた描写が多いものと思われる。『Certain Dark Things』は初出であるし、そもそも日本語で出版されていない。
殺すか、復活するか
原題:To Kill or to Resurrect
掲載:Culture-Bound Syndromes in Popular Cultureという本
著者:Floribert Patrick C. Endong
ジャンル:比較文化学
「-gender」で排除。大衆文化と病全般の関連づけ、本の紹介文では"culture-bound syndromes"(文化結合症候群)と呼ばれる思考回路について論じている。
まとめ
検索条件1-3は医学、情報科学、比較文化学、社会学が一件ずつだった。
メインの検索条件に引っかかった論文には特に触れることがない。その一方で、取りこぼし確認用の検索条件では10月になってから評論のゾンビ論文が非常に多くヒットしているように思う。今回も、ゾンビ作品と社会問題を関連付けて論じるものが三件も引っ掛かった。
これらを排除するにはどうすればよいか。アブストラクトを読んだだけでも、"narrative"という単語はよく見るため、これを排除キーワードとするのがよいと思う。
今回はねらいの論文がなかった。
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