見出し画像

ゾンビ論文の総括(2023年08月)


概要

2023年8月にGoogleスカラーのアラートに次の検索条件を設定して、ゾンビ論文の収集を行った。

条件は次の通り。

  1. 「zombie -firm -philosophical -bot -xylazine -biolegend -gender」

  2. 「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -viability -gender」

  3. 「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -biolegend -gender」

  4. 「zombie -firm -philosophical」(ゾンビ企業と哲学的ゾンビを排除)

  5. 「zombie」(取りこぼし確認)

各検索キーワードの意図は次の通り。単語の前にハイフンをつけると、その単語を含まないものを探す検索条件となる。

  • 「zombie」:ゾンビ論文を探す

  • 「-firm」:ゾンビ企業を扱う経済学の論文を排除する

  • 「-philosophical」:哲学的ゾンビを扱う哲学の論文を排除する

  • 「-DDoS/-bot」:ゾンビPCを扱う情報科学の論文を排除する

  • 「-xylazine」:ゾンビドラッグことキシラジンに関する論文を排除する

  • 「-viability/-biolegend」:細胞の生死を確認するゾンビ試薬を使う医学の論文を排除する

  • 「-gender」:ジェンダー学の論文を排除する

各期間でメインの検索条件に引っかかったゾンビ論文は32本であり、私の目的に合致した論文は見つからなかった。

また、9月の検索条件を次の4つに設定する。ただし、検索条件1をメインの検索条件とする。

  1. 「zombie -firm -philosophical -botnet -xylazine -biolegend -gender」

  2. 「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -viability -gender」

  3. 「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -biolegend -gender」

  4. 「zombie -firm -philosophical」(取りこぼし確認)

  5. 「zombie -firm -consciousness」(条件4との比較)

以下、7月の調査の詳細を記載する。



集計結果

まず、集計結果を示す。

2023年8月のゾンビ論文集計結果。最上行の日付はアラートメールが送られてきた日付。
ジャンルごとに集計結果が多い順にソート済

最も多かったのは情報科学の七件。そして評論と医学が五件と続く。二件以下は誤差レベルで混じる可能性があるため、無視してもよいだろう。



8月の検証結果

8月は以下五件の検索条件を設定し、次の三つを検証していた。

  • 情報科学の論文を排除するためのキーワードを「-DDoS」と「-bot」で比較する。

  • 医学論文を排除するためのキーワードを「-viability」と「-biolegend」とで比較する。

  • ゾンビ企業と哲学的ゾンビを完全に排除する。

前者二つの検証は検索条件1-3で検証し、後者一つは検索条件4-5で検証した。

  1. 「zombie -firm -philosophical -bot -xylazine -biolegend -gender」

  2. 「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -viability -gender」

  3. 「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -biolegend -gender」

  4. 「zombie -firm -philosophical」

  5. 「zombie」

検証結果を以下に示す。検索条件ごとの差分は次の通り。

2023年8月の検索条件ごとの集計結果。最上行の日付はアラートメールが送られてきた日付。
比較したい検索条件に差分が認められた場合を色付けしている

アラートのメールが送られてきた13日のうち、7日で検索条件1-3に差異があり、11日で検索条件4,5に差異があった。

検索条件1-3の差異となった論文は次の七件。日付と論文のタイトル和訳、排除した検索キーワードを記載しておく。

まとめると、
「-DDoS」で排除が三件。かつ、ねらい通りに機能した。
「-viability」で排除が三件。うち一件のみがねらい通り機能せず。
「-bot」で排除が一件。かつ、ねらい通りに機能しなかった。

個別の記事でも触れたが、「-bot」は全くと言ってよいほど役に立たなかった。排除できなかったわけではないが、比較対象の「-DDoS」でも排除可能だったため、あってもなくても変わらなかったのだ。

この理由はすでにわかっており、「-bot」ではなく「-botnet」を使わなければならないのだ。botはゾンビPCと同じ意味であるため、"zombie computer"や"zombie"と表記された場合はbotという単語が使われず、botという単語が使われた場合はzombieという単語が出てこないからだ。

そこでbotnetの出番だ。botnetはゾンビPCの集団という意味であり、特にDDoS攻撃に使われるPCをたくさん操る場合に使われる単語である(と思われる)。あとはどちらの方が頻度よく使われるかどうかさえ調査すればよい。

ということで、「-bot」を「-botnet」へ変更する。

「-viability」と「-biolegend」の比較は、もう少しN数を稼いでから結論を出すべきだろう。今のところ「-viability」が優勢だ。

次に、三つ目の検証結果を述べる。表の通り、「zombie -firm -philosophical」で排除できて、哲学的ゾンビを扱った論文は六件、ゾンビ企業を扱った論文は七件、どちらにも触れていない論文が八件あった。

2023年8月の検索条件4,5の比較。
比較したい検索条件に差分が認められた場合を色付けしている

その八件の論文は次の通り。チェックした日付と、論文のタイトル和訳、排除したキーワードと私の所感を併記してある。

並べてみると、「-philosophical」で排除しているケースがほとんどである。哲学的ゾンビに触れていなくても哲学とゾンビが交わるケースがある、ということである。たとえば、『SETIの社会科学的側面』や『世界を救うために誰を殺しますか?』、『宗教、ポピュリズム、現代性:白人キリスト教徒のナショナリズムと人種差別との対峙』の三件はゾンビに関係あるなしにかかわらず興味を引く記述が多かった。

とすれば、私にとって「-philosophical」でざっくりと論文を排除することはデメリットなのかもしれない。もっと哲学的ゾンビをピンポイントでねらって排除するキーワードが必要である。

哲学的ゾンビは「意思や意識が存在しない人間でも見た目ではその有無を確認することができない存在」として定義されている。であれば、「-consciousness」(意識)というキーワードで排除を試みるのがよいように思われる。

一方、「-firm」での排除は非常にうまくいっているため、このままでよいだろう。たまに排除しすぎることもあるが、構わない。ゾンビ企業は完全排除の対象として、取りこぼし確認用の検索キーワードに「-firm」を必ず入れることとする


9月の検証

9月は以下の検証を行う。

  • 情報科学の論文を排除するためのキーワードを「-DDoS」と「-botnet」で比較する。

  • 医学論文を排除するためのキーワードを「-viability」と「-biolegend」とで比較する。

  • 哲学的ゾンビを完全に排除するためのキーワードを「-philosophical」と「-consciousness」とで比較する。

ということで、8月の検索条件は次の4つに設定する。

  1. 「zombie -firm -philosophical -botnet -xylazine -biolegend -gender」

  2. 「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -viability -gender」

  3. 「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -biolegend -gender」

  4. 「zombie -firm -philosophical

  5. 「zombie -firm -consciousness

頭の三つは経済・哲学・情報科学・ゾンビドラッグに関する・医学・ジェンダー系のゾンビ論文を避けるための検索条件。最後の二つはゾンビ企業と哲学的ゾンビの排除がねらい通りに機能するかを調べるための検索条件である。

変更は9/1(金)以降のゾンビ論文に適用される。

以上。


いいなと思ったら応援しよう!