ゾンビ論文の総括(2023年3月)
2023年3月にグーグルアラートのキーワードに「zombie -firm -company」を設定し、送られてきたメールからゾンビ論文を集計した。ひと月のうち12日分だけアラートが送られ、39本のゾンビ論文を確認した。うち、私の目的に合致した論文は以下の一件のみであった。
Amusing Research in Surveying and Spatial Science
(測量学)
ということで、4月は次の二点を行う。
①医学のゾンビ論文を収集し、検索キーワードに使える共通単語を見つける
②検索キーワードを次のように変更し、哲学ジャンルのゾンビ論文を減らす:「zombie -firm -company」→「zombie -firm -company -philosophical」
集計結果
以下、集計結果を示す。
最も多いのは医学で6件、次に多いのは哲学の10件、次は情報科学の2件、そして黒人映画学、植物学、感想文が続く。
3月の検証結果
3月は以下の二点を目的にアラートのチェックを行った。
①文化人類学を細分化する
②検索キーワードを次のように変更し、経済学ジャンルのゾンビ論文を排除する:「zombie」→「zombie -firm -company」
①は結果がきちんと出たと思う。3月にヒットしたゾンビ論文のうち、私が「文化人類学」に分類しそうなジャンルは次の13件だ:黒人映画学二件、感想文二件、社会科学一件、コミュニケーション一件、音楽学一件、聖書学一件、芸術学一件、民族史一件、文化学一件、映画感想一件、メディア文化学一件。
2月のチェックではたった半月で文化人類学を15件カウントしていたのだから、丸々ひと月でカウントしていれば30件はあったはずだ。そして3月では13件。「-firm -company」で除外してしまった分も含めれば妥当な数と言える。
ただ、分類をうまくできるようになってもメリットは少ない。というか、ない。ゾンビ論文への理解を深めるためにも正確な分類に努めたい気持ちはあるのだが、その先には何もない。
とはいえ、やって悪いことでもないのでこのまま続けることとする。
②はねらい通りに機能していた。「zombie -firm -company」をキーワードとすると経済学ゾンビ論文は一件だけしか入らず、と「zombie」の検索結果差分を調べたところ7件の経済学ゾンビ論文を排除できていたからだ。
しかし上出来というにはあまりに多くの論文をひっかけてしまった。単に「〇〇会社」と書きたいだけの論文に含まれるcompanyの単語が引っかかって、検索から除外されていたのだ。
おそらく、「zombie -firm -company」を「zombie -firm -"zombie company"」とすれば経済学ではないゾンビ論文が除外されることはなくなる。しかし、それで除外から救い出した論文が私のねらいの論文である可能性は著しく低いように思う。インタビュー記事なんかがたくさんあったし…。
チェックする数が増える一方でメリットがないのでは、変更しない方がよっぽどマシだろう。②もこのまま続行する。ただし、4月以降は「zombie -firm -company」と「zombie」の差分はまとめないことにする。ねらいの論文や興味のある論文があれば、その時だけ情報をシェアしておこう。
3月のチェック結果
3月のチェックでは最も多かったのは医学の6件であった。次に哲学の5件。
医学で出てくるzombieの単語は検査試薬の"Zombie Aqua"や"Zombie IR"だった。4月はこれを除外できるように検索キーワードを変更したいが、Zombie XXという試薬は8種類も存在する。
たとえば、「zombie -"Zombie Aqua" -"Zombie Green" -"Zombie NIR" -"Zombie Red" …」のようにすべてを検索キーワードに入れれば医学のゾンビ論文を除外できるが、あまり賢くない。目的のためにはやるべきなのだが、私はできればスタイリッシュに結果を出したい。
となれば、3月中に除外した医学のゾンビ論文を調査して共通する単語を探し出せばよいのだ。たとえば、ゾンビ試薬は死んだ細胞を光らせるので"cell"は必ず共通する。ただ、cellは多義的な単語であるため、これを除外キーワードに設定するとcompanyと同じように想定外にゾンビ論文を除外する可能性が高い。ということで、4月中に除外すべき共通ワードを探して検索キーワードに適用し、5月にその効能を検証するとしよう。
次に哲学のゾンビ論文だが、"philosophical zombie"あるいは"p-zombie"という文字列で現れることが多かったため、これをそのまま除外のキーワードとして使えばよい。ただ、それですべての哲学のゾンビ論文を除外することはできない。「みんな知ってるよね?」と言わんばかりにそのまま"zombie"の単語を使うこともしばしば見られたからだ。ただ、効果がないわけではないので、philosophicalの単語は削るとしよう。
ということで、4月は次の二点を行う。
①医学のゾンビ論文を収集し、検索キーワードに使える共通単語を見つける
②検索キーワードを次のように変更し、哲学ジャンルのゾンビ論文を減らす:「zombie -firm -company」→「zombie -firm -company -philosophical」
なお、検索キーワードの変更は4月6日に行ったため、4月7日以降のゾンビ論文に適用される。
以上。