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『白狐魔記2 蒙古の波』 斉藤洋
※注 この記事はネタバレを含みます。
仙人の元で修行をして化身の術を身につけた狐・白狐魔丸の人間探求の物語第2弾です。
前回は義経を逃してから白駒山で眠りに落ちたところで終わりました。
彼が次に目が覚めたのは鎌倉時代、前回から85年後です。
タイトルにある通り、元寇がテーマです。人殺しが嫌いな白狐魔丸ですが、結局武士の争いに巻き込まれていきます。
児童書なので簡潔に簡素に書かれているのですが、ちゃんとポイントが抑えられていて、読み応えのある内容になっています。元寇も学校で習った内容より詳しく書かれています。最近、元寇を詳細に説明したYouTubeを見たのですが、その内容とほぼ同じで臨場感がありました。
今回、白狐魔丸が惹きつけられた人間として、竹崎季長が取り上げられていて、その猪突猛進ぶりにちょっと笑ってしましました。騎馬5騎で元寇に突撃しすぎちゃうとことか、手柄を先こされないように、夜小舟で夜襲しちゃうところとか、なんだか憎めないキャラクターです。
人の生死をやんわり描くのではなく、残酷な部分もちゃんと隠さず書いてあるところがとても良いと思いました。白狐魔丸を通して、私たちも「人間とは何なのか」ということを考えさせられる本です。