獅子座サインのサビアンシンボルから「自己表現」について考える
「表現」という言葉から何を思い浮かべるでしょうか。
歌ったり、踊ったり、絵を描いたり、楽器を演奏したり、あるいは何かを創作したり。一般的には、自分の内面にある世界を「何か」を通じて表す行為を「表現」と呼びます。
12サインの中で「表現」と関わりが深い獅子座のサビアンシンボルを眺めてみると、その表現は強烈な「自己存在の表明」として示されています。自分が所属する世界へ自分の存在を強く押し出し、生きている実感を得ているようなところがあります。
この生きている実感は、自分という存在を極限まで研ぎ澄ませることで得られる、生きる喜びなのかもしれません。
存在の表現
最初に、生物における「存在の表現」について考えてみます。
生物の世界は弱肉強食のルールで成り立っています。食物連鎖の底辺に位置する生物にとって、自分の存在を目立たせる行動は敵に狙われる危険性が高まるため、非常に危険です。しかし、普段は警戒心を張り巡らせている生物たちも、自分の存在を強く示す時があります。求愛行動をする時です。
繁殖期になると、オスは風変りなダンスや体の一部の誇張など、さまざまな表現でメスの気をひこうとします。ライオンや孔雀のようにオスの方がメスより目立つ姿をしているのも、メスをめぐる競争(性淘汰)のためだという説があります。
自分の存在を表現することは、人間も含め生物にとって基本的な活動のひとつと言えます。その際、表現を受け取ってもらう相手の存在が不可欠であることも重要です。
「存在の表現」と書くと難しいように感じますが、赤ちゃんが声を出して泣き、自分の気持ちや欲求を伝えようとしているのも、立派な「存在の表現」になります。
獅子座サインの「自己表現」
獅子座サインのキーフレーズは「I will」。「自分はこうします」という強い意志を示す時に使われる表現です。一般的に言われている獅子座サインの特徴は、プライドが高い、堂々としている、勇気がある、目立つことが好き、周りを喜ばせるのが好き、親分肌、ロマンチック、創造性がある……そんな感じでしょうか。
強いイメージの言葉で語られることからわかるように、獅子座は他のサインより「自分は生きているんだ!」という強い実感を持つことが必要です。獅子座サインの「生きている実感」は、自分の存在が究極レベルに到達した時や自分の存在(による影響の大きさ)を他者が称賛した時に得られる場合が多いでしょう。
以下、獅子座のサビアンシンボルをいくつか抜粋してご紹介します。
獅子座2度
An epidemic of mumps.
《日本語訳》おたふく風邪の流行
2度はサインの思考や行動の源泉となる性質です。獅子座サインが強烈なイメージを持っているのは、周囲へ大きな影響を与える(あるいは周囲を感化する)性質に根差しているからかもしれません。「おたふく風邪」は言葉のイメージは悪いのですが、広い範囲で大勢の人々に影響を与える象徴として考えることができます。
獅子座5度
Rock formations at the edge of precipice.
《日本語訳》絶壁の端にある岩層、奇岩
5度はサインが自分の存在を外界へ示す際の手法、振る舞い、生き方です。獅子座5度に示されているのは、周囲と同化せずに突出しようとする性質です。「サビアンシンボルから見る、魚座のアイドル性と獅子座のヒーロー性」の記事でも触れたように、この奇岩は気が遠くなるような時間をかけた結果でもあります。
自分自身の存在レベルを究極まで高めようとした結果、周囲から突出するということです。獅子座サインは目立ちたがり屋と思われることもありますが、それは獅子座サインの性質がネガティブに出た場合です。
獅子座15度
A pageant.
《日本語訳》山車
15度はサインが自身のアイデンティティを表現する際の手法です。獅子座15度の山車(だし)は、リオのサンバカーニバルを思い浮かべるとイメージが湧くかと思います。煌びやかな衣装を身に着け、アレゴリアと呼ばれる豪華な山車の上で踊れるのは、選び抜かれたトップダンサーだけ。観衆からも大きな注目を集める花形ポジションのひとつです。
ドラマチックな舞台(状況)で自分の存在をアピールし、多くの人々から注目を浴びることで、獅子座サインは自身の存在意義を実感できるでしょう。
表現はコミュニケーションの一種
ご紹介した獅子座サインのサビアンシンボルをみると、自分を表現するには「相手(自分以外の存在)」や「場(状況)」が必要であることがわかります。これは、表現が「存在の表明」を基本とする、コミュニケーションの一種だからかもしれません。
表現をコミュニケーションの一種と考えた場合、誰にとっても表現することは必要ですし、それにはまず自分の表現を受け入れてくれる「場」を持つことが大事なんだろうと思います。特に1対1ではなく1対大勢の場合、自分の表現がそこで受け入れてもらえない時は、自分と「場」のマッチングに失敗している可能性があるかもしれません。その大勢の人々は「場」にひもづいているからです。
牡羊座から魚座まで各サインの5度に登場する象徴が示す意味を読み解いていくと、自分と他者(あるいは状況、社会、時代)との関係性が示され、そのサインの表現方法や表現する際に必要な要素の片鱗がうかがえます。
表現と場についてはいろいろ考え中なので、まとまったら別の記事にしようと思います。
サビアンシンボルの解釈について
当記事の内容は、サビアンシンボルを考案したマーク・エドモンド・ジョーンズやサビアンシンボルの解釈を著したディーン・ルディアの解釈とは異なります。サビアンシンボルに登場する要素を象徴として扱い、象徴が意味する内容に基づいた独自の解釈を行っています。
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