最大多様のスキルを活かし、最大幸福の社会へ
先日、シェアリングエコノミー協会の理事でもあるスキルシェアのココナラがマザーズに上場しました。ココナラの初値は公開価格(1200円)を大きく上回り、終値は2599円。19日終値ベースの時価総額は558億円となり、市場から大きく期待されています。
いわゆるクラウドソーシング業界の先駆者としては、クラウドワークスが2014年に上場し、会員数はココナラの倍の400万人以上、働き方改革を牽引し、プログラマーやデザイナー、ライターなどの職種のインフラとなりつつあり、フリーランスの増加に寄与している。
にもかかわらず、ココナラの時価総額(19日終値ベース)は、クラウドワークスの2倍、さらに先行して上場しているランサーズの5倍という状況です。
株主構成やIRなどココナラの戦略と、タイミングがはまったということもあるでしょう。ただ、それ以上に市場からの未来への期待として明確に感じたことは、「多様性を推進し、様々なスキルを持った多くの人がサービス提供者として稼げるサービス」になること、わかりやすくいうと、CtoCのフリマアプリ、メルカリのスキルシェア版を想像するとイメージしやすいかもしれません。
一人ひとりの『自分のストーリー』や自分の得意が多様なスキルの売買になる
私自身、創業者の南さんたちとは、まさにココナラのサービスをローンチしたばかりの頃に、ご縁があって、イベントに参加させて頂いたり、ブログで紹介させて頂いたり、私も何回もサービスを提供したり、利用したりしています。非常にニッチでユニークなスキルが、売買されており、しかもクラウドソーシング系のプロフェッショナルな仕事というよりも、500円という関わりやすい金額で、得意とか好きを仕事にしている人が多く、サービスのやりとりもとても感情的というか、人の暖かさを感じる機会が非常に多かったです。
例えば、私は小説家志望の方に、私の短編小説をたった1週間、500円で書いてもらいました。SNSのアカウントや過去の資料を渡すだけで、自分だけの小説を書いてくれたのです。この方は人気出過ぎて、もうサービスは受け付け終了されていますが、本当に感動した体験でした。
他にも好きな文字を書道家に筆文字のロゴにしてもらったり、ちょっとしたマーケティングリサーチをしてもらったり、Youtubeの活用方法を教えてもらったり、たった500円なので気軽に使えます。
ココナラのビジョンは、「一人ひとりが『自分のストーリー』を生きていく世の中をつくる」というもので、2012年にその時に想いをブログで記事にした(かなり長文です!)のですが、今読み返しても本当に振れていません。
ちなみにココナラで私が提供していたサービスは、こちら。
自慢できることではないですが、人よりも結婚も離婚も経験があるので、その経験談は今困っている人にシェアしてみようと登録したら、何件も売れて、中には離婚相談された方が、リピーターとして、結婚相談までしてくれて方もいました。1人1人の相談内容が濃く、1人の人の人生を変えるくらいの影響だったので、こちらも真摯に真剣に対応していました。さすがに時間が取れなくなってきて休止しましたが、ココナラの凄いのが、こういう経験すらスキルとして売買できてしまうのです。
そんな多様なスキルを在庫を持つ必要も郵送する必要もなく、売買できるココナラが200万人規模で上場したというのは、今後数年で1000万人規模になってもおかしくありません。
多様な価値観を持つ人たちに出会う多拠点生活
先日、NHKのクローズアップ現代+で、「多拠点生活」の特集を組んでいただき、当社が提供するADDressのサービスに、実際にディレクターが会員として多拠点生活を実践し、編集も含めてリモートワークをされている様子を放送して頂きました。
コロナ禍でテレワークが拡がり、都心で働き、高い家賃を払って、密な環境にいることに対する違和感から、地方へ移住する人たち増え始めています。けれども知らない土地へ移住するのはそんなに簡単なことではありません。だからと言って、別荘を買ったり、地方に家を借りて2拠点生活を始めるのもコスト的にも管理や地域との繋がりをつくるのも大変です。
そこで月額4万円(税別)で初期費用なし、光熱費もwifiも家具家電も込みの全国130ヵ所以上ある多拠点型のシェアハウスで、空いていれば個室をいつでも利用できるADDressの会員が急増しています。
NHKのディレクターは、そんな多拠点生活をしている人が、どのような人でどこで、どのように暮らしているのか、自ら体験しながら、交流しながら、丁寧に紹介されていました。
(NHK クローズアップ現代+より引用)
北鎌倉で出会ったのは、教育機関職員で働く男性。ひとり暮らしでリモートになると、他の人と会うことも来てくれることもない。自分だけが所有する物は、コーヒーとテニスラケットがあれば幸せだという言う。
南房総では、赤ちゃんを連れた家族。旦那さんと喧嘩も多かったそうですが、育休を取ってくれて生活環境を多拠点生活に変えて、今はこの生活が嬉しいという。
続いて出会ったのは、長野県伊那市でフリーランスのWebデザイナーの女性。職場も同じ彼氏とテレワークになったらさらに近過ぎるので、距離を取って多拠点生活を始めたと。1回離れてみて、それでも結婚したいと思えたら、その時結婚すればいいとのこと。
他にも様々な場所で、会社員や自営業など様々な方が登場し、出会っていました。ディレクターは、「多拠点生活だと多様な価値観を持つ人たちに出会えて、自分の考え方とかものの見方が広がったという話もたくさん聞きました。」と言います。
スタジオでは、慶応義塾大学の宮田裕章教授が、以下のようにまとめていました。
これは“最大多様”、“最大幸福”というようなことばを当てたりしているのですが、一人一人の多様な生き方というのが先にあって、その上で社会をどう作っていくのか。このような選択肢の中で、より新しい社会を作ったり、あるいは豊かな、かつ多様な生き方は何なのかということをわれわれが追求していくことができるようになるのかなということです。
多拠点生活に集まる人たちは本当に多様な生き方をされており、誰かと比較するものでもなく、自分にとっての幸せを1つ1つ見つけて、実践されています。そこには共同生活する会員や管理者の家守、地域の方々との繋がりや関係性、人の価値観に触れ合うことも、とても大きな影響を受け、自分自身を見つめ直す機会になります。
同じ会社、同じ地域、同じ友達や家族だけの生活で当たり前だと思い込んでいた自分が、どんどん解放されていく。そんな体験が多拠点生活にありますし、働き方、生き方が解放されていきます。
ココナラの多様性を拡げ、1人1人の生き方やストーリーが仕事にもなり、社会や他者に受け入れられているという感覚とも通じるものがあるんじゃないかと、番組を見て、ココナラの上場のニュースを見て感じた次第です。
功利主義で資本主義の原点ともいえる、「最大多数の最大幸福」の時代から、「最大多様の最大幸福」の時代へ。大量生産、大量消費の規模の経済の時代は終焉を迎えつつあります。まず多様な生き方、個人があって、その上で成立する社会を創っていきたいと思います。