【ボクシング】圧倒的な実力差を埋めるために必要なこと
26日、井上尚弥とタパレスのスーパーバンタム級四団体統一戦。
圧倒的な下馬評に対して、結果は井上尚弥がKO勝ち。ただ、10ラウンドまでの長丁場と内容について予想外のものでした。
今回はタパレスの戦略から個人的に学べたのが、5点。
①基本の重要性
②ポジショニング
③相手視点に立っての戦略
④メンタルの重要性
⑤脅威だけではない威力のある武器
実力差のあるマッチメイクでもあったこの試合。その実力差にタパレスがどう挑むのかが、個人的な注目でしたが、
戦略的にはタパレス側が上回った結果になったと思います。
井上尚弥はスピード、ジャブと距離がポイントになると試合前に言っていました。
リーチ差6センチ。井上が距離については優位であるにも関わらず、むしろパンチが届かなかったのは井上のほうでした。
タパレスの元々のスタイルは後ろ足に体重を乗せて、打たれない位置に頭を置き、ボディをL字にまげた腕でガードする。もらわないための構え。いつもは顔の位置を届かないところにすることでガードは高く無い選手でしたが、
今回、ガードを上げてガッチリブロッキング。これに本来のスタイルも合わせてパンチが当たらないようにしていました。
心理戦も井上尚弥の立場を踏まえていました。
期待値の高過ぎるボクサーは倒すことを求めます。もしこれが、勝敗だけにこだわるなら、大差の判定勝ちで井上は勝てる内容。
ただ、倒すために井上は前に出て手を出す、相手のブロックの固さに誘うためにノーガードを見せる。結果、元々井上がいっていた距離は自分から詰めざるを得ず、
ハンドスピードを武器とするタパレスのパンチが何発か命中。距離を支配していたのはタパレスでした。
見せ方もタパレスはうまいかったです。自分は当たらない位置に頭を置きながら、ハンドスピードを活かしたジャブとカウンターで手を出しているので、手数では大きく負けていない印象を見る人に与える。
合わせてメンタルの強さですね。結果ブロックの上からダメージを受けるようなパンチをもらっていました。それほど井上尚弥のパンチは強力なのですが、それでも前に出るスタンスを崩さずに、逃げる姿勢は見せなかったです。
①本来は変則的な構えでもらわないボクシングスタイルでしたが、ブロックを固めて基本的なボクシングレベルを高めていました。結果として本来のスタイルが生きる。奇を狙う戦略も基本あってのもの。基本の重要性を思い知らされました。
②ポジショニングについて自分の土俵で戦うこと。パンチが、届かない位置、でも、こちらのパンチが当たる位置。相手の土俵には上がらないポジショニングの取り方。
③相手の立場を踏まえての戦略。相手の狙い、どうしたいのか?どうしないといけない立場かを考慮しての戦略。
④ビビったら負けですね。実力差を埋める上で、大切なのはやはり気持ち。
⑤今回、タパレスのパンチが何発か当たりました。効いたパンチもあったと聞きますが、井上尚弥の顔は無傷に見えるほどに綺麗なものでした。前のフルトン戦でもそうでしたが、パンチが怖く無いのはやはり主導権を奪えない。
タパレスは危険なパンチを持っていると言われていましたが、結果ダメージを与えるパンチをヒットさせることは出来ず(井上選手がもらわないからでもありますが)。
怖いなと思わせるだけではなく、本当に試合を決める武器の重要性。
私自身も、学ばせてもらえる内容だったと思います。
両選手、二階級四団体統一の井上尚弥の偉業と、勇敢に挑んだタパレス陣営に賞賛。