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【過去を思い出した話】平等と公平

会議が始まるとコソコソとスマホを触っている20代の若手君がいました。
スマホを見ていると言うよりも、どうやら会議の録音を録っているようです。
議事録担当を任されているのだとメモをしているのを見て気づいたので、議事録のためだと判断して特に指摘はせず。

ただ、コソコソしなくてもいいのに
と思っていた時、
過去に言われた言葉がフラッシュバックしました。


『平等』は実現できないが、『公平』にすることはできる

唐突ではあるのですが、フラッシュバックしたのだから仕方ないです。

過去に私が勤めていた会社の役員が、会社を辞める意思を伝えた私に、説得の意味を込めて言った言葉です。

みんなに平等を提供すれば歴史が物語る通り、組織は崩壊しますが、公平であれば助け合いと正しい評価は受けることが社員はできます

と力説していました。

私はその話を聞いても内容が刺さることはなく、その会社を数ヶ月後に去りました。

その役員は私が退職した後、その会社を事実上辞めさせられる形で去ったそうです。

なぜ知っているかと言うと、その人が辞めて1年後に私はその会社に戻ることになったからです。

その話はここではしませんが、

ここでは【平等】と【公平】について。

【平等】とは偏りや差別なく、全てのものが一様で等しいこと。
【公平】とは偏らず、依怙贔屓がないこと。

平等            公平

上のイメージのような考えになります。

企業においては、同じ条件を与えて格差が成績となり、評価となります。これは【平等】といえます。
ただ、みんなが同じようにはできないので、助け合って全員が一定基準の水準を受けられるようにすること。
これが【公平】になります。

福祉の考え方は【公平】による視点で考えられます。
誰もが人間として最低限の生活ができるように考えられています。
会社でも、誰もが働きやすい会社を目指すようなことを公言する会社も近年増えました。

ただ、【公平】とは、格差を認めてこそ実現する世界です。
正しく格差を把握せずに、【公平】を目指そうとすると、ただの業務負担の偏りを生み出し、実を生み出す人材は去り、会社に依存する働かない社員を残すことになります。

私がその時、その会社を辞めた理由は、管理職の半分が、ほぼ中途採用の中年管理職に置き換わろうとしていたからです。
オーナー企業が二代目社長に変わり、実績を残した管理職よりも自分の言うことを聞く人間を管理職に置いてコントロールしようと思ったのでしょう。

もし、従来の実績や業務経験豊富な管理職たちが、【公平】を目指すと言うなら、(できるかどうかは別として)私はおそらくそれを否定はしなかったと思います。
現場も業務もわからない、経験もなく入ってくる中途管理職。
失礼ながら(恥ずかしながら?)、実力のある人がわざわざ選ぶような会社ではなかったので、
力のない管理職たちに様変わりし、ただのオーナーのお上は自分の言うことを聞くだけで、格差を把握する以前に業務すらわからない人たちが【公平】を実現するなんて、少なくとも今言う話ではない。

最低限の土台を作る前にそれを役員の立場のあなたが口にした時点で、答えは変わりません。
辞めます

と言ったんですよね。結構正確にそう言いました。
なぜ正確かと言うと、
やっと前段のスマホ録音の話に戻るのですが、

念のため音声録音していたからです。

まだ20代でしたが、あの頃の方が今よりも会社や社会を信じていなかったんですよね。

あれから5年経過しました。
スマホで打ち合わせを録音していた20代の頃の自分とは、少し考え方が変わってきていると思います。

今の私の、平等と公平についての解釈は、

【平等】は与えることができる
【公平】は与えることができない
ただし、自分のやり方次第で、【平等】を【公平】にすることはできる

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