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下北沢のカレーと月日

 今日は日記屋 月日が主催する「日記祭」に行く為、東京の下北沢に向かった。日記祭とは普段noteで日記を投稿している方もそうでない方も、自分の日々を本にして出店し、青空の下で色んな人と交流できる素晴らしい祭りだ。

私も普段から日記を投稿しているのでこれは見逃せないのだ。最近日記がダレてきているので、勉強もかねてこの祭りに身を投じることにした。しかし一番の理由はフォローしてる方が本を出してるからだったりする。

 なのでまず下北沢に行く。電車で一時間程度で行ける距離で助かった。これほど自分の出生先に感謝した日は無い。しかし着いて分かったのだが下北沢、古着屋が多すぎる。駅周辺の通りにある古着屋の隣に古着屋がある。あとその上に古着屋があるし、その向かいにも古着屋がある。

そして駅周辺からちょっと離れた場所に行くと人が全く居なくなるのに、どこの古着屋にも推定20もの人間が必ず居る。

つまり下北沢の人間は古着屋で生成され、下北沢の駅周辺を活動区域に設定し、活動限界を迎えると古着屋で往生するのではないかと言う結論が出た。

 そんな事を思いながら日記屋 月日に向かった。月日は思ったより人が多かった。老若男女、外国人、犬、とにかくいっぱい。青空の下で楽しく雑談する人、トークショーを聴いてる人、コーヒーやカレーを楽しみながら本を読む人、ちょっとでけぇ公園位のサイズしかないのに、色々なドラマがあって、グルグル回っているだけでも楽しかった。

そしてフォローしている方、Qwertyさんのブースに行った。

彼女の日記は人間味にあふれている。暖かいけれど、決して飾らない。度々出て来る映画や音楽や本はどれも見たことも聞いたことも無い物だけれど、それが彼女の人生を構成しているんだなと思う。

歳だって多分…3年くらいしか違わないのに、知識量と文章力に差があり過ぎる。一度頭の中を見てみたい。きっと素材から違う、僕が発砲スチロールで、Qwertyさんは柔らかい木材だと思われる。

あと度々でてくる彼氏さんとのやり取りね?羨ましい。というかどちらも羨ましい。文学が過ぎて日記まで書く彼女を持つことが羨ましいし、文面からでも伝わる絶対に優しい彼氏を持つことが羨ましい。

恋愛を半ば諦めている私にとって、Qwertyさんの日記は「こういう人生も素敵だ」と思えるほどの力があるのだ。

っっっていう事をね?本人の目の前で言えばよかったのに、しっかり緊張して、しっかり数秒で口の中の水分がなくなって、後がつっかえちゃうことばかり気にしちゃって、ちょっとしか話してなかった。それでも優しく対応してくれるどころか、僕の日記の事も褒めてくださって「も~~」どころか「ふぁ~~↑」だった。

本当なら彼女の日記だけ買って帰ろうとしたのだけれど、他に出店している人たちの事も気になって色々周った結果、もう二冊程他の人から買っていた。

日記祭の中にあるカフェで黒糖ほうじ茶ラテを啜りながら日記を読み、しばらくその場の雰囲気を楽しんでから離れた。時刻は丁度昼過ぎ辺りだった。

 さて、メインは終わったけど舞台は下北沢だ。下北沢の主食はカレーライスだと室町時代から決まっているらしいので、それに準じて食べる事にした。訪れたのは『茄子おやじ』というカレー屋さんだ。選んだ理由は人目のつかない場所に関わらず行列ができていたからだ。辛抱強く待って入店するとレコーダーと小説が並ぶレトロチックな内装が出迎えてくれた。案内されたカウンター席でチキンカレーの大盛、ゆで卵トッピングを食べた。

ゆで卵はしっかり中まで火が通っている。だいぶ分かっている。

カレーは飲み物と言われているが、もし仮にそうならこのカレーは確かに食べ物であった。こんなにしっかり味わって食べたカレーも中々ないのだから。1700円もしたけど、下北沢のカレーと銘打つならこれくらいは常識かと早くも慣れてしまったようだ。

 やりたい事も十分にできたので、下北沢から離れることにしたが、帰りの電車の窓から夕陽が覗く度にもっと長居したかったと後悔した。しかしこれで今生の別れなわけがない。私もいつか、本を作ってみようかと思う。

もし出すなら下北沢の古着屋と古着屋の間に出店します。タイトルは『掛けられた古着と古着の間が一番過ごしやすい』ですかね。嘘です。

終わり

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