『スプリング・ブレイカーズ』
0.ハル それは、中学に入学して一ヶ月くらい、クラスの友だちに慣れてきて、それと同時に小学校で一緒だった連中との距離が徐々に離れてきた、どっちつかずの頃のこと。
その日の学校帰り、川沿いの路を独りで歩いていた。「宇宙の宇の字はウカンムリ」という歌詞とも言えない一節にメロディーを付けることに夢中になっていた。不意に頭に浮かんだフレーズにメロディーを付けて遊ぶ遊びだ。深い意味はない。しかし、夢中になるあまり、周りが見えていなかった。
「きみは面白いことをしてるねぇ」
急に声を