外国語発音、日々試行錯誤
ホーチミン市にある語学学校でのこと。
ベトナム語の一限目の授業が終わると同時に、
別のクラスの学生が私たちの教室に入ってきました。
先生に質問するためです。
彼はよどみなくベトナム語を話していました。
たぶん、上級クラスで勉強しているのでしょう。
全く面識はありませんでしたが、
始めの2、3語を聞いただけで、この人は日本人だと私は確信しました。
彼の話すベトナム語は、「間の取り方」が日本語と同じというか、
リズムが日本語と同じというか、
音がブツブツに切れて、音節の繋がりがないように聞こえました。
母音で終わる音節の後にも微妙な「間」が空くので、
特に、母音が強く長く響いて聞こえたのです。
言い換えれば、頭子音が聞き取りにくかったのです。
私のクラスには私しか日本人がいなかったので、気づけませんでしたが、
これが日本人訛りの正体なのかもしれません?
これが、以前イタリア人のクラスメイトが
私の話すベトナム語を聞き取れなかった原因かもしれません?
以下、私の推理です。
私が知っているイタリア語といえば、
「マンマミーア」と「ボンジョルノ」ぐらいですが、
イタリア人の発音を思い浮かべると、
MMamma MMMMia
BBonGGGGiornno
のように、頭子音をやたらに長く発音しているような気がするのです。
つまり、イタリア語には頭子音を長く発音する傾向があるようです。
一方、日本語の発音では、
「ま」を「m」と「a」に分けて認識することなく、
いち早く「m」と「a」の混ざった状態を作ろうとしているのではないか。
そして、混ざった状態のまま発音を終わらせようとするのではないか。
つまり、子音も母音も短くなる傾向があるようです。
「ま」と発音するときの一拍自体が、イタリア語の「ma」の一音節より短いのです。
また、母音だけ長く発音する場合は長母音として発音しますが、
日本語には子音だけを発音する概念がありません。
声調言語であるベトナム語の場合、声調を主に母音で整えるため、母音が明瞭に響く傾向にありますが、
頭子音も弱くはありません。
音節と音節は流れるように繋がって聞こえます。
イタリア語の長い頭子音の発音に慣れているイタリア人が、
頭子音が短い日本人訛りのベトナム語を聞いた場合、
頭子音を聞き取れず、
何を言っているのか分からなかったのではないか。
以上が私の推理です。
聞き手のバックグランドによっては、訛りのある言葉は伝わらないことがあるのです。
できるだけ、その言語の標準的な発音を身につけなければならないと思うのです。
上述の推理が正しいものと仮定して、
外国語を話すとき、私は、息をたくさん吐いて頭子音を長めに発音するネッチコイ話し方を試しました。
また、日本語のような「間」を排除するために、定型のフレーズは一息で一気に発音し切ることを心掛けました。
日々、試行錯誤の連続です。
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