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日記|男は、追いかけるぐらいが、丁度いい。

事務職、36歳になっても、いつも面白いことや、楽しいことがないかと思って生きてはいるが、やっぱり刺激的なことはそうそう起こらない。

音楽を聴き、仕事帰りに海を見るのが一番の楽しみ。

恋愛指南書は、世の中にごまんとある。

サブカルクソ女の私は、自己啓発本を毛嫌いしては「何が、これをすれば、彼の心を鷲掴みだ~?ボケが!」と言いつつも、気になり端で見ては「ふんっ!くだらない」とぼやいては、心にメモするのである。

だから、私はモテないのだ。

そんな私だが、恋愛をして、結婚することは出来た。
自分でいうものなんだが、愛嬌があるのだ。

誰かが、ひとたび話し始めると、関心があるフリをして聞いたり、頷いたり、質問をしたり、ころころ笑ってみせると、懐いてくれる。

オタク気質がある男子は、話しを聞いて、質問し、関心があると、すぐに懐いてくれる。時には、反論したり、少しバカにしたりすると、喜ぶ。

これに、気が付いた時は、天才かと自画自賛したし、これは、もしや恋愛マスターかもしれぬとも思った。

そうして、私は、オタク気質のある夫を見つけることが出来た。
私の実力ではなく、運であることは、認める。

だけど、こんなことは高らかに宣言しなくても、恋愛指南書にごまんと書いてある。



恋愛弱者の私は、自分のことを構ってもらいたくて、ついついと、尽くしてしまう傾向にある。

彼氏の興味のあることを調べて、好きになり、会話をしてみたり。
食い道楽自慢の手料理を作っては、食べさせてあげたり。
欲しいものを先回りして、与えたり。

良くないことだ。断じて、男子を甘えかすことは許されない。
何故なら、男子は甘やかすと、図に乗りはじめるからだ。

図に乗った男子が、どんな悪行を繰り広げるかは、女子たちは知っているはずだ。

そんな調子に乗った男子は、アフリカのライオンに見習って、谷底へ蹴り飛ばして奈落へと落とす必要がある。
ずたぼろになった男子を見て、笑いかけるのだ。

私は、谷底でずたぼろになった夫を見つけて、傷ついた心を癒したのだ。
ちょろいもんよ。谷底で待っていればいいんだから。



夫と付き合う前に、大恋愛をしていた。
その彼を尊敬していたし、結婚しようと思っていた。
周りの友達も、結婚するもんだと思っていたらしい。

だが、尽くし過ぎた。

尽くし過ぎたが為に、調子に乗りはじめた。
悪行を重ね、耐え切れなくなり、アフリカのライオンではなく、大阪のおばちゃんの服のトラのごとく、谷底へおもっきり、蹴り飛ばしてしまった。

大阪のトラこと、私は、蹴り飛ばした拍子に、一緒に谷底へ落ちてしまったのだ。ボロボロになり、ずだぼろ彼氏に別れを告げて、谷底で別々の道を歩いていった。

「もう、恋愛なんてしない!!」なんてかましてたら、谷底で夫を見つけたのだ。

これは!と嬉々として、ハイエナこと私は「絶対に、男子を甘やかさない!!」と心に決めて、夫と仲良くなっていった。

最初の内は、順調に甘やかしていなかった。
私の持ち合わせている、恋愛テクを、全て出し切った。

ころころ笑ってみせたりして、愛嬌を振りまいたり。
そうかと思えば、連絡を返すのを遅くしてみたり。

なんて変哲もない、しょうもないお土産を渡してみたり。
かと思えば、傍若無人に振舞ってみたり。

だが、ハイエナの私は、恋愛弱者なのである。

自分が追いかけられていると思ったら、気が付いたら、どぷんっと沼に入ってしまっていたのだ。

モテる女性は、心が強い。
モテないのに、モテ女の真似をすると、痛い目にあう。

どっぷりと浸かった沼の中で、私は考えた。
「別に、沼の中でもいいじゃないか!泳いでみせよう」と持ち前のポジティブさを発揮して、開き直り、沼の中を楽しんでいた。

そして、夫もまた、図に乗りはじめてしまった。

歳が離れているからといって、男は、所詮いつまでたっても男子な訳で。

思いっきり、彼の胸倉を掴んで
「言いたいこと、あんだったら言えよ!いつまでも、そうやって生きていけばいい。そんなふうにしていると、いつか周りに誰も居なくなるからな!」と呪いの言葉を掛けて、部屋のドアをバタンと閉じて私は出て行った。

夫が、まだ彼氏だった頃に、こう言って一度別れた。

思いっきり、奈落へ蹴落としたわけだが、夫は崖から登ってきたのだ。
どうしようもないようなことを、つらつらと書いた手紙を私のところに送ってきた。

「いつもの待ち合わせ場所に19時に待っている。あなたが来ないくても毎日待つ。もし、許してくれて、来てくれたなら、性格は直ぐには治らないけど、治すよう努力する」と書かれていた。

なんだか、ドラマみたいだな~と妙な気持ちになったことと、崖を登ってくる人がいるのか!と感心もした。

なぜ妙な気持ちになったかといえば、「性格は直ぐには治らないけど、治すように努力する」この一文が、夫の性格を表しているなんて、露知らず、恋愛弱者の私は、いつもの待ち合わせ場所へ訪れて、夫のケツを蹴った。

夫の態度は、あまり変わることは無かったが、仕方ない。私が自分で選んで許したのだから。


思い返してみれば、手の平でコロコロと転がしている時は、楽しいもんだ。
が、こと結婚となると、相手を手の平で転がしているのが、とても虚しくなる。

どちらかが、稼いでるや、どちらかが、立場が強いやはどうでもいいことで、そんな事考えながら、結婚生活という修羅場は乗り切れない。

だって、知らない人と一緒に暮らすんだもん。衝突しあうしかない。

だけど、時々二人でいて、幸せだなぁ~という瞬間があれば、それは結婚して良かったということなんだと私は思う。

大きな幸せを手にするのは、恋愛で。
小さな幸せを大切にするのが、結婚だと、思いながら、生活している。


恋の駆け引きってのは楽しいもんだ。だから、不倫や浮気する人が多いんだろな~。

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