GUのスーツを購入した
以前、このようなことを書いた。
転職活動を、そろそろ始めるにあたって、まず必要になるのはスーツだ。それをGUで購入した。
ジャケットとパンツを合わせて1万円しない。ネクタイはしまむら、ワイシャツにいたってはダイソー(500円)だ。社会人セットは1万円と少しだった。
このスーツ、本当にジャージなのかと値札に書いてある素材表示を見る。ポリウレタン、ポリエステル、レーヨン…。そして横にも縦にも斜めにも伸びる。
ジャージ素材ってそもそもなんだと調べたら、イングランドのジャージー島でかつて漁師たちが愛用していたセーターのことらしい。なので生地としては編み物になる。そしてどの方向にも伸びる。
ほとんどのスーツは織物でできている。縦糸と横糸がある。だから縦にも横にも伸びず、斜めには伸びるそうだ。
このスーツ、ジャージ生地であることは間違いなさそう。人気もあり、欲しかった黒色はパンツが品切れで、グレーを購入した。といっても非常に品のあるグレーで、いわゆるねずみ色とはまったく違う。
昨日購入し、今日着てみた。証明写真を撮る必要があるからだ。昔のくせで腕時計と鞄を持ってしまった。まぁ、スーツ姿の人間が手ぶらで歩いているのも違和感がある。これくらいのコスプレは許してほしい。
証明写真は、自分でも嫌になるほどオッサンが写った写真だった。
そうだよな。10年前は25歳のガキで、今は35歳の青二歳。10年経てば45歳のおっさん。なんだか容姿の老いだけ先取りしている気がするけど。
若者というには歳をとりすぎ、おっさんと自称すると別のおっさんからまだ若いと言われる、ナイーブなお年頃である。腹も出るし、自意識的には思春期に近い。
証明写真を手に、コンビニへ向かう。撮った写真をスキャンしてiPodに入れる。今どき、履歴書もPDFで印刷する時代だ。さっきの25歳のガキ時代では、履歴書は手書きでよこせという会社も多かった。そんな会社なら願い下げかもしれない。
でも、何もない状態から、いきなりスーツを着だすと、社会の気に当てられる。外へ出るのも怖くなる。電車にはもう二度と乗れない気もしてくる。
色々な仕事をしてきたけど、いちばん社会を感じる瞬間ってやはり電車の中かもしれない。それも満員の。誰もが自分勝手で、誰でも目的地がある箱の中。
あの無音の喧騒に、また身を投じるのかと考えても、不思議とうんざりしない。不思議と、またそうなれることに少し感謝している自分もいる。
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