「悪友」という歌集を読んだ
Twitterにて、榊原紘さんの「悪友」という歌集に載っている短歌が呪術廻戦の五条と夏油の関係みたいだと聞いた。
気になる気になる、と思っているうちに気づけば紀伊國屋書店のレジに並んでいた。
感想を聞いてほしい。
めちゃくちゃ良かった〜〜〜〜!
良質な言葉を摂取したあととは思えぬこの語彙力のなさ!申し訳ない!!
Twitterですら140文字あるのに、短歌は31文字しかない。限られた文字数の中で、より情景の浮かぶよう洗練する言葉選びの素晴らしさよ。
好きだなと思ったのをいくつか紹介させてください。(榊原紘さんも引用しても大丈夫って仰っていたので)
魂に骨があったらいいのにね。焼け残ったらお守りにする
少し気持ち悪いなと思うひともいるかもしれないのだけど、わたしは骨が好きだ。中原中也の「骨」 という詩を読んでからなのか、白くてつやりとした遺骨に惹かれる。だめだとは思うけど、好きな人の最後に残ったものをこっそり、骨壺なんて窮屈なところに入れないで、大切に大切に持っていたい。指で撫でて、気がついた頃には磨かれてつやつやになっていることだろう。
わたしの願望って短歌にするとこんなに素敵な表現になるんだなって思ってびっくりした。
憧憬は殺意にも似て新しい名前を授けるひとを見てより
陸橋に朝陽が染みて魂がはぐれそうなら呼んだらいいよ
立ちながら靴を履くときやや泳ぐその手のいっときの岸になる
五条と夏油っぽいことは忘れて読んだのだけど、心がざわっとして、どうやったらこんな言葉を生み出せるのかな〜って不思議な気持ち。
わたしが禪院直哉のことばかり考えているからか、直哉っぽいなと思うのが何個かあった。短歌は自由にいろんなことを想像できて楽しかった。はぁ……彼にも悪友がいたらなぁ……。
榊原紘さんは二次創作としての短歌もやっている方で、ハイキューから着想を得たものもあった。わたしも短歌をやってみたいなと思って、31文字をこねくり回しているがなかなか思いつかない。
でも、そこがいい。久しぶりおもしろいものに出会えて嬉しい。
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