不要な機能を閉じよう
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iPhoneの最初の9つのバージョンでは、ボタンが1つでした。これは、ミニマルでクリーンなデザインです。しかしある時、プロダクトマネージャーがチームミーティングで、「そろそろボタンをなくしたほうがいいんじゃないか」と発言しました。これはかなり大胆な発想です。
Appleは、「何を入れるか」だけでなく、「何を入れないか」についても真剣に考えており、それが世界で最も革新的な企業のひとつであることを示しています。Appleを見習えば、製品チームは、摩擦をなくし、よりインパクトのあるプロジェクトのためにリソースを確保するために、廃止すべき機能を常に探しているはずです。
しかし、機能の廃止はうまく行わないことには顧客に迷惑をおかけすることになる一方で、機能の廃止を企画し、ビジネスチームの賛同を得ることは、製品の発売よりも難しいものです。私たちPendoのプロダクトチームは、今まさにこの状況を経験しています。プロダクトオペレーションチームやプロダクトマーケティングチームと協力して、Pendoのトレンドレポートを廃止しようとしています。
この記事では、Pendoが行った機能廃止を例に、いつ、なぜ、どのようにして、ある機能を廃止したかを説明します。
プロダクトを閉じる時期とその理由
機能廃止をイノベーションの過程におきるイベントだと考えるのは健全なことです。お客様のごく一部にしか使われていない製品のために、貴重なエンジニアリングの時間を費やさなければならないということは、価値があるとわかっているものをより良くしたり、まったく新しいものに取り組んだりするための時間を犠牲にしているということです。プロダクトを閉じる検討はいくつかのシグナルからをきっかけとして始まります。いくつか例を挙げてみましょう。
・時間の経過とともに機能の使用率が低下している、または減少している
・古い機能を置き換える新しい機能がある
・社内やお客様からのフィードバック
それでは、Pendoの「トレンドレポートの廃止」を例に、これらをそれぞれ見ていきましょう。
社内フィードバック
トレンドレポートは、お客様がセグメント、機能、ページを時系列で比較できるデータ可視化機能でした。一方でこれを代替できるようなより柔軟な機能がリリースされました。顧客への教育と導入プロセスを簡素化、明確化するために、カスタマーサクセスチームとプロフェッショナルサービスチームは、トレンドレポートを閉じることを提案してくれました。
長期間にわたる使用率の低さ
ある機能の使用率が低いと、その機能を終了するかどうかの判断を迫られることがありますが、その背景を考慮することが重要です。例えば、使用率が低いということは、発見しやすさや使いやすさに問題がある可能性があり、必ずしもユーザーがその機能に価値を感じなくなったということではありません。機能廃止を決定する前に、使用率が低い理由を適切に評価、判断することを忘れないでください。
私たちのケースでは、1年以上前にData Explorerがリリースされて以来、トレンドレポートの使用率が大幅に低下し、総訪問者数の約1%で安定しているのに対し、Data Explorerは総訪問者数の2%以上を占めていました。Data Explorerの機能が重複していたこともあり、このデータは機能を閉じる上での強い根拠になりました。
顧客の声
現在もトレンドレポートを使用しているお客様からは、多くの機能リクエストやバグレポートが寄せられました。これらのリクエストに対応するためには、プロダクトオペレーションチーム、プロダクトチーム、エンジニアリングチームが時間を割く必要があり、より優先度の高い項目に注力することができませんでした。このようなお客様の使用例は、Data Explorerで簡単に実現できることから、開発チームは、トレンドレポートの廃止を開始することで合意に達しました。
機能を閉じる際のチェックリスト
製品や機能の廃止を決定した後、実際の作業が始まります。このプロセスには、綿密な計画とコミュニケーションが必要です。お客様が製品での体験を向上させるためのものに不満を抱くことは、最も避けたいことです。
そのため、プロダクトオペレーションチームは、機能を閉じる際のチェックリストを作成しました。ここでは、閉じるプロセスを実行する前に取るべき手順を説明します:
1. 新規使用の停止:影響を受けるお客様のグループを小さくするために、既存または新規のお客様がその機能を新たに使用することを抑制する必要があります。Trendsの場合は、新規のお客様やこれまで使ったことのないお客様がこの機能にアクセスできないようにしました。
2. 既存のお客様に計画を伝える:現在もこの機能を使用しているお客様には、以下のような情報を提供する必要があります。
・機能廃止の事前通知:顧客が業務プロセスを変更するための時間を確保するため、十分余裕をもって通知することが理想的です。
・代替案の説明:お客様が代わりに使用すべきものを伝え、代替機能の使用方法に関する教育資料でサポートするようにしてください。
・移行の指示(必要な場合):機能廃止後に行う必要のある移行作業を文書化して伝えましょう。例えば、Trendsのユーザーの中には、従来のレポートをData Explorerに変換する必要がある人もいました。
社内と社外へのコミュニケーション
お客様とのコミュニケーションには、製品内での通知だけでなく、カスタマーサクセスやアカウントマネージャーからのよりパーソナライズされたメールによる通知も含まれます。この機能を頻繁に使用していたハイタッチカスタマーにとっては特に重要です。しかし、対外的なコミュニケーションの前に、社内での連携を確認することが重要です。
社内での連携を確保する方法は次のとおりです。
・既存のマーケティング資料や顧客向け資料を更新し、その機能や製品についての言及を削除する。必要であれば、それらの言及を代替案に置き換えるべきである。
・Go-to-Marketチーム(セールス、サクセス、プロフェッショナルサービス)とタイムラインを共有する。例えば、新規ユーザーへのアクセスを停止し、その後、すべてのユーザーへのアクセスを停止する予定の日を伝える。
・よくある質問に対する回答をまとめたFAQを社内外で作成する。
製品から機能を削除することは、「less is more」という製品哲学を受け入れるためのもう一つの方法です。プロダクトのリリース時ほど注目されないかもしれませんが、機能廃止はユーザーの体験を向上させる強力な手段です。ただし、全員が同じ見解を持つために、適切なプロセスとコミュニケーションを導入することが必要です。
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原文:How to effectively remove and retire a feature from your product
著者:Mei Luo
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