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綾野剛の怪しさが堪能できる118分「最後まで行く」

胡散くささ。

それは、ある種の才能だ。

別名「色気」とも言う。

本国で大ヒットしたという、韓国映画のリメイク。ここではそんな綾野剛が堪能できる。

激しい雨の夜。年末の地方都市。

危篤の母が待つ病院へと急ぎ車を飛ばす、しがない汚職警官工藤(岡田准一)。なんと、うっかりと急に飛び出してきた人を轢いてしまう。

そこに現れる、汚職調査に派遣された本社のエリート監察官矢崎(綾野剛)。

予告にも出てくる、このシーンから映画はスタート。

ジャニーズなのに、カッコ良さ封印。だらし無くて情けない中年警官を違和感なく演じる岡田准一の演技力ももちろん素晴らしいが、なんといっても複雑なキャラクターを様々な顔芸で演じ分ける、綾野剛の引き出しの多さに慄く。

アップになる顔がいちいち怖い。顔がいっちゃってる。まともに観てたら、今夜夢でうなされそうだ。

(ちなみに、岡田准一はどんなにだらし無くても暴力振るっても、そこはかとなく「いい人感」が漂う。それもまた、才能である)

2人が主導権を握り合い、騙し騙され、どんでん返しが繰り返されるクライムサスペンス。最後まで息をつかせず、油断ならない。

そして、脇を固める俳優陣も適材適所で完璧な布陣。

工藤の妻役の広末涼子。ダメな亭主に愛想尽かし疲れ果てた「くたびれた感」がリアリティあり、docomoのCMからのデビューを知ってる昭和世代としては感慨深い。

そして、工藤の馴染みのヤクザの親分、柄本明。どんなシーンも目が笑ってない。掴みどころなき底知れなさに、震える。

豪華俳優陣のアンサンブルを味わいたい方、サスペンス好きな方、岡田准一ファン、綾野剛ファン、におすすめ。

ちなみに、普通に死体は出てくるし、画面を凝視し難い暴力的なシーンもあるので、苦手な人は要注意。

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