なぜ日本において今、ダイレクトリクルーティングがトレンドになっているのか-日本型雇用慣習とChatGPTの回答から読み解く背景と今後の予測-Difference of hiring process between Japan and other company(Asking ChatGPT both in Japanese and English)
なぜ日本において今、ダイレクトリクルーティングがトレンドになっているのか
最近、日本企業全体の採用の主流を人材紹介経由からダイレクトリクルーティングにしようという動きが方々で見られます。
代表的なものではビズリーチがエージェントの通常スカウトの無料分を廃止しスカウトメールの流通量を減らすといった施策を行っていますし、Indeedでも人材紹介企業の利用が一部制限されるなどの規約上の変更の動きがあります。また一方で、海外発のビジネスSNSであるLinkedIn台頭の裏には、全体の方向性として採用マーケティング→ダイレクトリクルーティングという採用ステップの本流化が目指されているようにも見えます。このような動きは採用サイト・SNSなど複数の業態で起こっており、今後もその流れは基本的には一方通行で流れていくものと見ています。
なぜこういった情勢になっているのか、人材紹介は中抜きでそこにメスが入ろうとしているのか、グローバル視点で見て何かいびつなものがあってそれが改善されようとしているのか、といった点について、日本にいるだけでは根本的に把握しがたい現状があるのでは、と私は感じています。手前みそになりますが、私自身は今ベトナムに本社機能を持ち世界50カ国で使われているSaaSシステムの企業で働いており、かつそのサービスのターゲットが人材紹介企業である点を考えると、俯瞰した視点からグローバルスタンダードを比較した日本の現状、およびトレンドを語るのにふさわしい位置にいるような気がしています。
今回は、このような日本のトレンドを理解するにあたって、ChatGPTを使いながら日本とグローバルの採用文化の違いを確認し、そのうえで今後の展望について考察してみました。
(英語のプロンプトを使ったのは私の英語の練習という意味もありますが、英語情報に近い方が出力結果がグローバルベースになると予想したためです。)
利用したプロンプト
以下が出力結果です。(日本語版は下部にあります。)
ChatGPTの回答(English.ver)
The hiring processes between Japan and European or American companies, particularly in the context of enterprise or SMB (small and medium-sized) companies, have several notable differences. These differences arise from variations in corporate culture, labor laws, and hiring practices. Here’s a detailed comparison:
Hiring in Japan
1. Long-term Employment Focus
- Japanese companies, especially larger enterprises and traditional SMBs, often focus on long-term employment. This stems from Japan's culture of *lifetime employment* (終身雇用), where employees are expected to stay with the company for a significant part of their career.
- Hiring tends to happen in waves, particularly for new graduates in what is called *Shinsotsu* recruitment, where large groups of graduates are hired in bulk once a year.
2.Recruitment Process
- Many Japanese companies prefer a lengthy, formal hiring process, including multiple rounds of interviews and assessments. The emphasis is on cultural fit and long-term development potential rather than immediate skills or experience. - Internal recommendations and referrals are also common.
3. Role of Recruitment Agencies and RPO
- Recruitment Agencies: Agencies are often used when specific skills are needed, especially in industries with a shortage of talent like IT or international business. However, for smaller firms, these agencies can be costly and may only be used for executive or highly specialized positions.
- RPO (Recruitment Process Outsourcing): RPO is less common in Japan, particularly in SMBs, compared to Western countries. Japanese companies tend to have more in-house HR control over recruitment and rely less on outsourcing recruitment functions. RPOs are used mostly by large multinational firms operating in Japan.
Hiring in Europe and the US
1. Flexibility and Skill-Based Hiring
- Companies in Europe and the US, including both enterprise and SMBs, tend to focus more on finding specific skills that fit the immediate needs of the company. Shorter-term employment and job switching are more common.
- Hiring practices may vary significantly between countries in Europe, as each country has its labor regulations and cultural expectations, but overall, the focus is on flexibility and skills.
2. Recruitment Process
- The hiring process is generally faster compared to Japan, with a focus on finding candidates that can contribute immediately. Job postings are common, and candidates are often sourced through online platforms, professional networks, and recruitment agencies.
- SMBs, in particular, might streamline their recruitment process to hire quickly and efficiently to match fast-paced business needs.
3. Role of Recruitment Agencies and RPO
- Recruitment Agencies: Recruitment agencies are used, but they tend to be more expensive and are often utilized for specialized or high-level positions. For SMBs, using recruitment agencies can be seen as a costly way to find top talent.
- RPO (Recruitment Process Outsourcing): RPO is indeed more mainstream in Europe and the US, especially for larger organizations. Even SMBs are starting to adopt RPO models to streamline the hiring process and reduce costs associated with recruiting. RPO allows companies to outsource all or part of the recruitment process, enabling them to focus on core business functions while ensuring a steady flow of candidates.
Key Differences between Japan and Europe/US:
- Emphasis on Long-Term vs. Short-Term: Japan has a stronger focus on long-term employment and cultural fit, while European and American companies prioritize skills and may offer shorter-term or more flexible employment opportunities.
- Recruitment Process Complexity: The recruitment process in Japan can be slower and more formal, especially for new graduates, while European and American companies often move more quickly to hire experienced candidates.
- Use of Recruitment Agencies and RPO: In Japan, recruitment agencies are more widely used than RPO, especially for executive positions or specialized roles. In contrast, RPO is mainstream in Europe and the US, even for some SMBs, as a way to reduce recruitment costs.
Your assumption is correct in that outside of Japan, RPO is often considered a cost-effective way to hire, whereas recruitment agencies are used more sparingly due to their high costs, especially for SMBs looking to manage expenses.
ChatGPTの回答(日本語版)
日本と欧米(特にアメリカやヨーロッパ)企業の採用プロセスには、多くの違いがあります。特に、大企業や中小企業(スタートアップを除く)を比較した場合、企業文化や労働法、採用慣習の違いが大きく影響しています。以下に詳細を説明します。
日本の採用文化
1. 長期雇用を重視
- 日本の大企業や中小企業は、特に長期的な雇用を重視する傾向があります。いわゆる「終身雇用」の文化が根強く、従業員は一つの会社でキャリアを積むことが一般的です。
- 新卒一括採用が広く行われており、毎年一斉に新卒社員を採用する「新卒採用」が主要な採用方法です。
2. 採用プロセス
- 日本企業の採用プロセスは、多くの場合、複数回の面接や選考ステップが含まれる長期的なプロセスです。即戦力よりも、会社の文化に合った人材や将来的な成長ポテンシャルを重視します。
- 社内の紹介や推薦なども採用手段としてよく利用されます。
3. 人材紹介会社とRPO(採用業務アウトソーシング)の役割
- 人材紹介会社: ITや国際ビジネスなど、特定のスキルが求められる分野では人材紹介会社がよく利用されます。ただし、中小企業にとっては高コストな手段となるため、主にエグゼクティブや専門職の採用に使われることが多いです。
- RPO(採用業務アウトソーシング): 日本では、特に中小企業ではRPOの利用はまだ少ない傾向があります。採用活動を社内で管理する文化が強いため、採用業務を外部に委託することに抵抗感がある企業も少なくありません。RPOは主に外資系企業や多国籍企業で見られる手法です。
欧米(アメリカ・ヨーロッパ)の採用文化
1. 柔軟性とスキル重視:
- 欧米企業は、特に中小企業を含め、即戦力としてスキルを持った人材を採用することを重視します。雇用は短期的で流動的なことも多く、ジョブホッピング(頻繁な転職)が一般的です。
- ヨーロッパ各国は労働法や文化が異なるため、一概に言えない部分もありますが、全体としては柔軟な雇用形態が普及しています。
2. 採用プロセス
- 欧米では採用プロセスは日本に比べて迅速であり、即戦力となる人材を短期間で見つけることに重点を置きます。求人広告やオンラインプラットフォーム、プロフェッショナルネットワークを通じた採用が一般的です。
- 中小企業では、迅速かつ効率的な採用が求められるため、プロセスもシンプルにしていることが多いです。
3. 人材紹介会社とRPOの役割
- 人材紹介会社: 人材紹介会社は、エグゼクティブや専門職の採用には利用されますが、特に中小企業にとってはコストが高いことから、利用は限定的です。
- RPO(採用業務アウトソーシング): 欧米ではRPOが主流になりつつあり、特に大企業では広く利用されています。中小企業でも、コスト削減や採用プロセスの効率化のためにRPOを採用するケースが増えています。RPOは、企業が採用活動を外部に委託することで、採用の効率化を図り、本業に専念できるメリットがあります。
日本と欧米の主な違い
- 長期雇用 vs. 短期雇用: 日本では長期雇用や文化的な適合性が重視されるのに対し、欧米ではスキルや即戦力が求められ、短期的な雇用や転職が一般的です。
- 採用プロセスのスピード: 日本の採用プロセスは比較的長期的でフォーマルですが、欧米では迅速に人材を採用する傾向があります。
- 人材紹介会社とRPOの利用状況: 日本では人材紹介会社が広く使われる一方で、RPOはあまり普及していません。欧米では、RPOがコスト削減の手段として主流であり、人材紹介会社は主に高額な手段とされています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
まとめ-ダイレクトリクルーティングを推す流れは必然なのか
実はChatGPTの利用から少し遠ざかっていたんですが、久々に使ってみたところ文章の精度の高さに驚きました。かなりシステムのクオリティが上がっているようです。OpenAIすごい。
こういったところで日本の欧米の採用文化の違いがあるわけですが、ダイレクトリクルーティングにスポットが当たる背景にはさらにもうひとつの視点が必要です。それは日本の人事部の採用力が歴史的に見て低い、ということです。
これは採用人事の方を批判したいわけではなく、日本はもともと雇用慣習として終身雇用が一般的だったため長年にわたって中途採用の必要性が他国に比べて乏しく、単純に採用活動自体の量が少なかったために起こった海外との差異だと思われます。そのため、自由な働き方が推奨される社会情勢に採用人事に求められるスキルセットの変更が間に合っておらず、ダイレクトリクルーティングというお題目だけが先行しているような状態なのではないか、という仮説です。(実態はグローバル企業と日本の大手企業の両方で採用人事をした方であればわかるのではないでしょうか)
歴史や文化慣習の違いはありますが、グローバル化の促進によってこのような差異は減っていくのが道理でしょうし、それに対応できるビジネスマンが社会に求められるのはある種当然というところ。人材紹介業の方にも順応が求められるはずで、すでに人材紹介業から採用代行業へ軸足を移している企業様も一定は見受けられています。
今後日本の採用がどう変化していくのか、注視したいところです。