シェア
うのの さあら
2020年7月8日 13:52
ガラスの向こうに見えたのは母だったみた事もないひと昔前のクラシカルワンピースに身を包み明るい色の傘を差したそれは母だった胸騒ぎのようなものを覚えてかけつけようとした私の足を雨が阻むいつもより細く儚く見えた母の腕が乙女のように小さく手を振った向こうには彼がいたそれはまぎれもない彼だったスーパーの袋に家族四人の食材をパンパンにして運んでいる逞しいいつもの母の
2020年5月30日 23:10
ジジという猫を飼っていたジジはクロネコじゃないし私の名前はキキじゃない私は魔女でもないし少女でもないほうきで空を飛ばないしパン屋に居候もしやしないそれでも猫の名前はジジ喋らない猫だけど名前はジジ段ボールにそう書いてあったのだから仕方ないこちらキキじゃない美代子はただ毎日息を吸って吐いている今日は誰かと話をしたろうか水を飲もうとして乾いた唇