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うのの さあら
2020年7月24日 23:30
ねぇ兄さん一杯飲んで行かないかい?お安くしとくよこの子犬キャンと言ったらあんたのもんだお好きな名前をつけてお飾り可愛いリボンをつけてお飾りどうなとしても構いませんさぁ持っていらっしゃいあなたの子犬あなたの秘密を暴いて溶かす可愛い子犬はいらんかえ
さんさんと降る雨にしっとりと濡れる招き猫いつからそこにおいでだい誰も来やしないこんな夜更けの商店街割れたネオンがジリリと鳴ってパチンと弾けた明日への希望落とした簪が川に流れていったってねぇあんた忘れてしまうのがそんなに怖いのかい
夜会巻き髪を束ねて紅を引く季節外れのボロのセーターギュッと大事に握りしめこれが最後と腹に決めもうもうこれで会わないよ捨ててやるのさ虹の果て愛に終わりはなけれども見果てぬ夢に果てはあるそら、この手を開くだけそら、この指開くだけそうすりゃ
ソドムとゴモラの果ての果て金字塔を打ち立てた野球選手夏休みを待つ白い子犬風の吹きやる誰も来ない洞窟今だけ耳を貸してご覧聞いてみたかろ本当の事をあの子の隠した小箱の意味を
待ってたんですよあなたがそこから出てくるって仰るからずっとこの屏風の前で待ってたんですよそこから出てきて私を噛み殺してくれるのをずっとね今じゃあすっかり年老いて私じゃ食べるところもなくなってしまいましてよねぇそろそろ私がそちらへ参りましょう
ヒンメリの糸クルクルと回転軸がずれていくわたしとあなたの区別がつかぬ右と下半身の区別がつかぬ足と乳房の区別がつかぬ溶けて溢れて忘れて混ぜても一度踊って見つけましょうこの天国にも出口はあるのそもそも出なくちゃいけないの?
がめついきゅうりが西向いてわぁらった あははの声に応えて猪が走り出す突き当たりの店で大人の絵本の最新刊が出たってさ バッタが肩を狙ってエイやと跳ねればすんでのところでみよちゃんの下駄の鼻緒が切れたとさ あぁこの空の向こうに龍が飛ぶ
2020年7月17日 23:30
大根を抜いた穴に人参を植えて牛が生えてくるの待ってんだよあんたの靴より肥立ちがいいって評判だよそろそろ完全無欠のサンダーライガーが空から降ってくるよ敵わないねぇ最近は天気予報も当たらないから100mバタフライで IQ150だってさあんたも気をつけたほうがいい
緑の夜が続いたものだからあなたの香りが田んぼにまで染みてずいぶんと目眩がします泥だらけの私の足を救い上げてスルリと風で洗ってくれましたっけ揺れる私の足とあなたの肩涙のように流れた汗が金色に輝いて私はどうと気を失ってぷっくりと丸くて白いカブになりました
張り詰めて凍るくるぶしを誇らしげにかかげて空を歩くどこまでもいけるとあの時は思ったあの時は誓った宣誓の声高らかに 360度の悲しみを遠くサイレンのように響かせたあの日を私はそれでも誇りに思う今はそこにいなくても
バッタが飛んだら養殖のブリが海に帰るんだ先だって亡くなったおじいさんのらくだが出てきたって山もそろそろ燃える頃だね観音菩薩の鼻先みたいに可愛らしいあの子はどこへ嫁に行ったんだっけねぇ
鼻緒が切れて背中が熱い涙とコーラで冷やしたら億年前から知ってたと星が流れて包まれたあぁ、そうでした黄泉比良坂越えてきてようやとあなたに会えましたきっとあなたを待ってます毎度の闇夜で待ってます
葡萄が熟れて色付くようにあたいも瓶詰めされてくの綺麗なおべべで荷馬車に乗っててんつくお宿へ向かいますとうとう流れてつきました最後の宿までつきました売って売られて記憶の果てにとうとう飛んでいきました明日も今日も昨日もなくてカラカラと風に吹かれて消えました
2020年7月17日 22:42
雨、雨、雨降らず降る降るアメ、アメ、アメ溶けて流れる消えてしまえさんざめく鯨の亡霊達葬列はまだ先だ重い苦渋の肢体を引き摺って進めその腹が擦れてねじ切れても弔うにはまだ早い自らの墓場へ己が足で向かう用意された簡易な白い箱などに入ってはならぬその高貴な身をこそ守りたれ