シェア
うのの さあら
2022年1月29日 23:30
言葉なんかいらないから音だけが聴きたい肌だけに触れてたい背骨の数を数えて鉛の海に飛び込めば南国の香りで氷山に沈むさようなら僕の街水際で彷徨ったギムレットが遠くの汽笛に泣いていた #あたおか散文
私の頭が欠けちゃってその隙間に光と闇がぬめりこんじゃって街頭で神と悪魔の言葉を選びもせずに放つようになったなら今と同じように私に微笑みかけてくれますか声をひそめて嘲笑う愚民どもに傷つきもせず一つの柱と化した私を一つの景色としてくれますか私もうじき #あたおか散文
かっこよくも可愛らしくも美しくも賢くもなれなくて奇態な醜女になりました私を捨てて去っていく取り残された月に言いました醜聞を恐れて隠れても君の姿は変わらない根絶やしにして切り刻むその荷に似合う明日があるよ陥ちる事さえ叶わずに消えてく月が言いました #あたおか散文
うさぎが一匹うさぎが二匹蛙が五匹象が十匹トカゲが跳ねたら天竺まではあと半里内臓の裏返し水で洗ってよく干しても一度煮たら出来上がりカサカササラリと逃げ出しほだすブーゲンビリアが恋しくて泣いて済んでりゃせわねぇわ #あたおか散文
2022年1月28日 23:30
拡張現実の卵の黄身のようにあの娘が頷くものだから僕は居場所を失ってエルドラドの果てへ転がり落ちたまだ見ぬ世界の終焉ばかりが広がって崩れて落ちて壊れて朽ちる赤黒く焦げた鍋の底抜けたら蛇の出るそうな #あたおか散文
殺すやら殺されぬやら盲いた峠金属の鳥が夜を告げてガラスの靴で御百度参りどんどんヒャラリぴぃヒャラリ針の筵で地獄の花見空中ブランコ目玉の行進ハーメルンの街へいざ踊り出ん #あたおか散文
2022年1月21日 23:30
耳を開いて目を外すムソルグスキーを飾って空を嗅ぐ金糸雀の肌に触れ君の言葉を舌で味わう木の実が消えたらうさぎの足を追うため息の色にうたた寝の悦楽を想う #あたおか散文
赤と黒あかとくろアカトクロ犬の名前はアカ猫の名前はクロ先月届いた紙風船に書かれた遺言は愛と名付けられ砂漠の錆びついた貯水タンクは嫉妬と呼ばれ焦げ付いた木靴は憎悪と呼ばれました頭巾を被った女の子は猫背の魔女に誘われ霧の生まれる紫の森へ消えました #あたおか散文
代替え品の人生を歩いてみれば夜気の中鳴かぬトカゲが尻尾を落とすだんだら坂を下ってみればそこが地獄の三丁目案内板は無いなれど終の住処と業火の抱擁 #あたおか散文
カッサンドラに魅入られし真朱の蝶が迷い込む檳榔子黒の森の中羽を休める花とてなくていずれ弾ける線香花火落ちる火種が産み落とす金糸雀色の声なき卵いづれ孵るか孵らぬか謎を孕んだ忘却の棺 #あたおか散文
ドミソドミソドミソシレシレシレ知れ規則的に落ちる涙の薫り子犬の濡れた匂いまもなく霜月霜月駅です降り口はございません喀血する君への想いを青のカンバスに塗りこめてマチエールだけが届ける僕の言葉シレシレシレ知れ翼を無くした枕の質量 #あたおか散文
緑と赤とそれから黄色お熱がさっぱり下がりません黄泉の国まであと半里あなたの足跡おってさえ辿り着きたいその寝屋に今は誰ぞがしだらなく横にはべっておいででしょうかただ勤勉に繰り返すため息のような背景画虎の威をかる狐の肢体飲まれてみれば夜気の優越 #あたおか散文
手首が取れてまだら虫が出てきた物ですから三階の非常階段が係長で赤3センチずれたら山桃が落ちるんですありがとうございます気にしないでくださいヤマゲラが鳴いたら駒が回って寝過ぎた坊やが馬の腹なんですどうにもおかめひょっとこで何やってるの!あなた!あなたが作ったのね! #あたおか散文