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あたおか散文

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流れ落ちるままに生み落とした「あたおか」な散文たち
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2021年4月の記事一覧

欠損という条件を満たす空に浮かぶ洞穴

ガーベラの上で眠りたい

ワタシハナニガタリナイノ?

落ちて落ちていくレコードの回転数

針もないのに奏でる吃音

ワ、ワタ、タリナイ

ぱちりぱちりリズムに乗せて

踊る埃と舞う音符

逆回転で流れ出す

ワ、ワタ、スギタ

ワタシハデスギタ 

ノゾミスギタ

漆黒の海溝が割れた
#あたおか散文

ぐずぐずと崩れて還元される穢れを知り尽くす身体の一部

私が私でなければ
私を必要としてくれるでしょうか

土塊から生まれた無知なオケラ

私が私でなければ
私に手を伸ばしてくれるでしょうか

泡になりそこなった人魚

でも
そんな空虚な手を

死の傍らに眠る忌み子のように

私は必要とするでしょうか

私ではなく
私という「作品」を必要とするあなたを

物言わぬからくり人形のように

私は愛していると

言えるでしょうか

それを愛と呼ぶ

卑しい唇

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カチカチとカウンターが周り元の位置

失敗ばかり数えてた指

くずおれて粉砂糖

指切り小指消えました

食べて甘けりゃ役にもたつのに

口にも運べずべた付くばかり

ほら見て蟻が

私の躯を啄んで

集って食んで

消え去って

土へと還って

もう会えず

木馬の回転数がすれ違う

ごめん

今度は良い子でうまれてくるね
#あたおか散文

生真面目に並ぶ奇怪な正義

琥珀色の水で

過去を洗う

体を溶かす

明日の朝には

過去の代わりに

早鐘の義務

無意味な作業が私を生かす

そう意味なんてない

形もない

過去もない

全ては幻想

全ては妄想

そんなものはなかった

だから安心してねんねしな

坊や良い子だ

あるのは整列したタスクだけ
#あたおか散文

禿げた部分はマジックで塗りつぶしてもう20日にもなる、あの人どうしているのやら

ルミ子ちゃんが忘れていった口紅

履き潰したヒールの踵が折れた

曲がった足の小指

いつから倒れていたのだろ

この香水は何人目の誰

名前はなくて身体があって

身体はあって声はなく

香りはあって顔はない

くすぐる髪 

ガサリと揺れるコートの音

手のひらよりも指先の記憶
#あたおか散文

かまいたち、木枯らし、寒ざらし

感情の消えた街を歩く

砂風に舞う過去の手足

赤子の泣き声

坊や良い子だ

鬼が来る

目と耳瞑ってやり過ごせ

どんどんがらりと

揺れる家

酒樽の中で震える子狐

お爪切りましょパチパチパッチン

知恵の実握って

柔らかに蒸す

湯気が立ったら朝が来る
#あたおか散文

止める止まる止まっている動かない繰り返さない起きない轟いてうめく雲

乱数の眠り

風の子守唄

粒子の嘆き

五月雨の慕情

しみったれた片方の靴下

あぁ、忘れられた日常

母ちゃんいくつ寝たら帰ってくるの?

咲かない桜

落ちない椿

視線の合わない会話

爪弾いても聞こえない弦の周波数

てれつくてん

小鳥の足音

パタリと絶える
#あたおか散文

日の下で常ならぬ言の葉をこぼして見返らぬ

三杯分の珈琲を

分け合う君がいなくても

今日は滞りなく暮れていく

ケンケンパの丸が続いてく

歪んだ丸の空いた穴から

希望がこぼれて

全てを手放す

これでいいのでしょう?

ねぇ雀

米粒拾う雀さん

私は何も欲しくない

それが良いのと

いうのでしょう
#あたおか散文

沈黙と静寂、固着した粘性負の方向に三歩歩く

聞こえない歌声

35度の親指

外れたままのボタン

ペイズリー柄の気絶

多摩川に浮かぶ仮名の羅列

涙で沸かした珈琲

出会った日に別れたい

忘れちゃったの?

私達の秘密

草むらに生み落とした

後ろ暗い融解
#あたおか散文

伐採された移動の手段を狼煙にして呼び込んだのは大仰な寝床

双生児を分かつメス

塩辛く流れて

思い出河から身を投げた

あの娘はどこへ行ったやら

ぽたり、ぽたりと

こぼれてく

グラスのテキーラかき集め

泳ぎ疲れて

2本のガラクタ

木こりの兄さんちょいとコレ

切って落として火にくべて

寄ってあたって行きゃせんかい
#あたおか散文

点描

こたつの上のみかん

中華料理屋のあったかい烏龍茶

甘い紹興酒

一人の夜のラム

見返りのない愛のカケラ

例えばそのようなもの
#あたおか散文

割れたプレパラート

飲み込んだ切先

喉の奥で行き場を失う

まぶたの裏で点滅するネオン

いよいよ侵蝕される世界

白く柔らかな

時計の針

時を刻む前に逆回転

遠ざかる針の距離

押し広げられる過去の記憶

人魚が持ち得ない

飛び立たない蝶の夢

身を持ち崩した

青い胞子が

世界を隠す
#あたおか散文

両脚器の作る保護膜

同心円上の愛

行間の悪魔

戸板に打ち付けて閉じ込める

見えない

聞こえない

触れない

触らない

全ての平穏

非核三原則

仕切り直してゼロから

欄干の上から空へ飛び上がる

つまりはまた同じ場所へ

帰還せよ

帰還せよ

失敗したならやり直し

データの保存には失敗しました
#あたおか散文