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うのの さあら
2021年4月30日 23:30
ガーベラの上で眠りたいワタシハナニガタリナイノ?落ちて落ちていくレコードの回転数針もないのに奏でる吃音ワ、ワタ、タリナイぱちりぱちりリズムに乗せて踊る埃と舞う音符逆回転で流れ出すワ、ワタ、スギタワタシハデスギタ ノゾミスギタ漆黒の海溝が割れた #あたおか散文
歌を忘れたカナリアの嘆きの断末魔雨に煙る #あたおか散文
私が私でなければ私を必要としてくれるでしょうか土塊から生まれた無知なオケラ私が私でなければ私に手を伸ばしてくれるでしょうか泡になりそこなった人魚でもそんな空虚な手を死の傍らに眠る忌み子のように私は必要とするでしょうか私ではなく私という「作品」を必要とするあなたを物言わぬからくり人形のように私は愛していると言えるでしょうかそれを愛と呼ぶ卑しい唇
失敗ばかり数えてた指くずおれて粉砂糖指切り小指消えました食べて甘けりゃ役にもたつのに口にも運べずべた付くばかりほら見て蟻が私の躯を啄んで集って食んで消え去って土へと還ってもう会えず木馬の回転数がすれ違うごめん今度は良い子でうまれてくるね #あたおか散文
琥珀色の水で過去を洗う体を溶かす明日の朝には過去の代わりに早鐘の義務無意味な作業が私を生かすそう意味なんてない形もない過去もない全ては幻想全ては妄想そんなものはなかっただから安心してねんねしな坊や良い子だあるのは整列したタスクだけ #あたおか散文
2021年4月23日 23:30
ルミ子ちゃんが忘れていった口紅履き潰したヒールの踵が折れた曲がった足の小指いつから倒れていたのだろこの香水は何人目の誰名前はなくて身体があって身体はあって声はなく香りはあって顔はないくすぐる髪 ガサリと揺れるコートの音手のひらよりも指先の記憶 #あたおか散文
感情の消えた街を歩く砂風に舞う過去の手足赤子の泣き声坊や良い子だ鬼が来る目と耳瞑ってやり過ごせどんどんがらりと揺れる家酒樽の中で震える子狐お爪切りましょパチパチパッチン知恵の実握って柔らかに蒸す湯気が立ったら朝が来る #あたおか散文
乱数の眠り風の子守唄粒子の嘆き五月雨の慕情しみったれた片方の靴下あぁ、忘れられた日常母ちゃんいくつ寝たら帰ってくるの?咲かない桜落ちない椿視線の合わない会話爪弾いても聞こえない弦の周波数てれつくてん小鳥の足音パタリと絶える #あたおか散文
三杯分の珈琲を分け合う君がいなくても今日は滞りなく暮れていくケンケンパの丸が続いてく歪んだ丸の空いた穴から希望がこぼれて全てを手放すこれでいいのでしょう?ねぇ雀米粒拾う雀さん私は何も欲しくないそれが良いのというのでしょう #あたおか散文
聞こえない歌声35度の親指外れたままのボタンペイズリー柄の気絶多摩川に浮かぶ仮名の羅列涙で沸かした珈琲出会った日に別れたい忘れちゃったの?私達の秘密草むらに生み落とした後ろ暗い融解 #あたおか散文
双生児を分かつメス塩辛く流れて思い出河から身を投げたあの娘はどこへ行ったやらぽたり、ぽたりとこぼれてくグラスのテキーラかき集め泳ぎ疲れて2本のガラクタ木こりの兄さんちょいとコレ切って落として火にくべて寄ってあたって行きゃせんかい #あたおか散文
こたつの上のみかん中華料理屋のあったかい烏龍茶甘い紹興酒一人の夜のラム見返りのない愛のカケラ例えばそのようなもの #あたおか散文
2021年4月16日 23:30
飲み込んだ切先喉の奥で行き場を失うまぶたの裏で点滅するネオンいよいよ侵蝕される世界白く柔らかな時計の針時を刻む前に逆回転遠ざかる針の距離押し広げられる過去の記憶人魚が持ち得ない飛び立たない蝶の夢身を持ち崩した青い胞子が世界を隠す #あたおか散文
同心円上の愛行間の悪魔戸板に打ち付けて閉じ込める見えない聞こえない触れない触らない全ての平穏非核三原則仕切り直してゼロから欄干の上から空へ飛び上がるつまりはまた同じ場所へ帰還せよ帰還せよ失敗したならやり直しデータの保存には失敗しました #あたおか散文