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うのの さあら
2021年3月26日 23:30
妥協妥協の産物で白い鳩さえ黒くなり元の姿を忘れてさえずるさえずる声さえ掠れては私が誰だかわかりゃせん忘れてくれと泣き腫らし思い出してと泣き腫らし探してくれと泣き腫らし当の私も無くした私見つけようかてありゃしませんわいな帰り道ものうなりました #あたおか散文
琥珀色の飴玉に閉じ込めた安らかな夢拙い言葉ほんのり甘く強かに熱く黄身の粘り気赤い舌足りない欠片を劣情で埋める蠢くブラフそんな事じゃないんだ滴る魔の夕暮れ最後のロープ掴み損ねてリングに戻る #あたおか散文
君はどうかそこにいて美しく柔らかな花と光のなかで暖かに笑って僕が必ず見つけ出すからこの闇と嵐の中からきっと君を見つけ出すからカバンの中のカビたパン見てはいけない昼メロの艶かしさ立て続けに起こる怠惰の結末全てを越えて探しに行くから #あたおか散文
あなたがいてと言うのなら私はここに佇みましょうただ小さく咲いて佇みましょうあなたが散れと言うのなら私はここで散りましょうたださりげなくお邪魔にならずに散りましょう私の命と存在を全て預けて流れましょうただ一瞬でも見つけてくれたあなたの為に #あたおか散文
近づけば鳴る遠くの鐘がキンコンカン千切れた足で踊るワルツ剥がれた爪が弧を描く赤い流線決死の覚悟で捕まえた手綱悲しいくらいに強い瞳鉛のように重い天使の羽軽やかに舞い上がる芦毛の馬踊りましょう地の果てまで歌いましょう水面の上で #あたおか散文
どんなに愛してもいつかは遠く離れた景色それでもその愛が嘘になるわけじゃない甘く熱く柔らかなその時を閉じ込めて壁に塗り込める触れることはかなわなくてもただ記憶の中で踊る床に響くあなたの靴音と丸いコルネットの音と私のため息 #あたおか散文
2021年3月26日 19:07
神を知るものは悪魔を知り悪魔を知るものはまた神を知る何も知らないものは何をも得ずに全てを得る得ていることも知らないままにただ全ての中に調和して立つ #あたおか散文
2021年3月12日 23:30
誰もが皆孤独の海の中で溺れているのだろうか雲の向こうの月を想うようにただ誰かを愛しながら触れることさえ 叶わずに君にとって都合のいい僕でありたいと願いながらそれも出来ずに悶えているのだろうかこの冷えすぎた夜の街灯の下で #あたおか散文
純粋さと粗暴さとせつなる愛への枯渇とその愛への怯えとロマンティシズムと切なく散り続ける希望と絶望と虚無が同じ身体の中でせめぎ合うそんなあなたの声をただずっと聴いていたくて雨をみつめている雨音に似たあなたを思い出しながら #あたおか散文
遠くで汽笛を聞きながらとは、なんともいい表現だなと、思うのだけど汽笛を聞かないわよね近頃今私たちは遠くの何を聞いてるのかしらね高速を走るトラックの音かしらさかりのついた猫の恋かしらポリバケツに落ちる吐瀉物の音かしら何も良いことがなかったこの街で #あたおか散文
一つ目小僧の帰り道閉じた世界に目を開く開かずの扉の鍵はどこ捕まえていつまでも飛び続ける蝶々これ見よがしに舞い踊るありもしない手にも入らない虚飾の広間に一輪の百合もうそろそろお帰りになる頃と思っておりました雷の閃光雷鳴の荘厳つま先が導くありか #あたおか散文
風に乗って飛んできた剃刀が遺跡に刻んだ恋の後先痛みのかけらを集めて埋めて鏡と一緒に葬って千年の後に会いましょう淫らな髪を結いあげたあの娘のうなじへあと少し柘植の櫛なら届こうか壊れた心に届こうか掘り起こされた恋に仇をなす主の覚悟が聞きたいものよ #あたおか散文
黒いコートは猫の毛だらけ財布の中はレシートだらけ鞄の中は屑だらけヒールの中は砂だらけお腹の中は脂でまみれて血濡れの心は傷だらけ風で飛んだ看板の大村崑は裏返しネガでもポジでも錆は錆爪先立ちの鼠のダンス排水溝のぬめりと朝食のジャム #あたおか散文
野に山に解き放たれたる獣たち咆哮の先に咲き誇る散り散りざらざら粉々それでも残る野生と炎消し炭になっても途絶えぬ嬌声月に向かって飛散しろ村祭りの夜艶かしく光る路傍の石 #あたおか散文