排気口新作長編公演『午睡荘園』を終えて。
昨日、8月1日。
約1年と4ヶ月ぶりの舞台『午睡荘園』が千穐楽を迎えた。
それと同じくらい久しぶりにnoteにログインしたら、記憶にない下書きが数件。
今回の作品には、言葉にできない気持ちがたくさんあって、一晩眠ってもどうしたらいいか分からないから、noteにしてみようと思った。
文才なんてないけど。
とりあえず今はこの1ヶ月分の喪失感と、感情のフリーマーケットが開催されてるせいで全身がとてつもなく重い。
とにかく繊細な言葉のトリックと愛おしい登場人物が、ユーモアを交えながら様々なテーマに切り込んでいく今作は、ショッカー戦闘員が暮らすアジトでの夏の1日が描かれている。
初めて排気口に出演するのがこの作品でよかった。
8月4日から配信が始まるので、劇場でみた方はもう一度、これから観る方はこちらから、ぜひ。
※購入は8/14まで。
何度見ても発見がある作品になっている。と私は思う。
おひねりなんてものもあるそうで。
私の役はレミコ。
実は今回の作品の主役だった。
台本の一番最初に役名があった時は嬉しかった。
まだ配信が控えているから、ネタバレすることは書かないでおくけど、約1ヶ月の稽古〜本番期間。
私の中には確かにレミコがいた。
というかレミコだった。
少しだけ残っている自分にもレミコが混ざっていて、ギリギリの日常生活と自分の名前を認識することがやっとの分量しかなかった。
帰宅して、愛犬の後頭部の乾燥わかめみたいな匂いをスーハーしてどうにか生きていた。
私はずっと"マイノリティとマジョリティ"という考え方自体を俯瞰してきた。そもそも矛盾を感じるからだ。
だからレミコの感覚は不思議だった。
レミコを知るために色んな作品を観たし、色々と調べた。
小屋入りして、本番を重ねるほどにレミコの高揚感は増していく。
上がって上がって、絶頂に至ったところで突き落とされる。
そして真っ暗になる。
それの繰り返し。
真っ暗な中で目を開けると、どうしようもない孤独感に涙が止まらない。
ぬいぐるみを抱いて、必死に蓄光を探して歩いた。
いつもなら劇場周りのランチを共演者と楽しむのが公演期間の日課だが、地下の楽屋に朝買ってきた食事と共に引きこもっていた。
泣きながら自転車で帰った日もある。
夜ご飯なんて喉を通らなかった。
ホルモンバランスまでもレミコになった。
私を乗っ取った役はしばらくすると私のどこかに隠れて、いつでも入れ替われるようになる。
過去一番に私を奪ったレミコに、金メダルをあげよう。
わたしの好きなハーゲンダッツのリッチミルクもあげるね。あとで食べて。
もう、大丈夫だよ。よく頑張ったね。
おやすみ、レミコ。
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