ロシアの視点と学級会の消滅
私の知り合いでアメリカにいるロシア人やロシア系アメリカ人の中でも、依然としてロシアを支持している人がいます。
アメリカに帰化までしてるのになぜ?とも思うのですが、「西側のニュースはプロパガンダばかりで、ロシアの主張が全く考慮されていない」と不公平に感じているようです。
ロシアの行動は西側から見れば支離滅裂に思えます。ウクライナのドローン攻撃に対して、ロシアの報道官が「民間人を犠牲にするな」と反応するのには、「お前が言うか?」と感じる人も多いでしょう。
ぶっちゃけ私も彼らのトンデモ理論にあきれることもありますが、ありきたりな反ロシア論はメディアでいくらでも語られているので、ここではあえてロシアの立場に立って考えてみたいと思います。
国際社会のルールとロシアの行動
まず、現在の国際社会における基本ルールを整理しましょう。
武力行使の禁止:武力の一方的な行使&国境線の変更は許されない
比例の原則:たとえ被害を受けた側でも過剰な反撃はNG
ロシアがウクライナに侵攻したことで、これらのルールは大きく破られました。ウクライナ国内に対する軍事行動と、一般市民への残虐行為は、どちらもレッドカードに値するものです。
一方で、ロシアは「ウクライナで迫害されているロシア人を助けるため」「ドンバスやルハンスクはロシアの領土だ」という主張をしており、彼らの視点では「自分たちの領土を守っているだけ」という理屈もあります。ただ、それでも領土紛争がない首都キーウにまで侵攻したのは国際的には一発レッドカードです。
イスラエルで大義名分喪失
ハマスとイスラエルの紛争についても、似たような分析が可能です。ハマスが国境線を越えて一般市民を殺害したのはレッドカードです。
一方で、イスラエルもガザに対する大規模な攻撃を行い、多くの一般市民が犠牲になっています。これもまた、国際的には非難されるべき行為です。比例の原則から言うと、すでにイスラエルはレッドカード状態で、国際世論としてはそこに正義を見いだせないでしょう。
そしてイスラエルに対するアメリカの見事なダブルスタンダードぶりは一部の同盟国すらがっかりさせて、アメリカの「正義」の失墜は甚だしいところがあります。
アメリカは既に他国を軍事支配している
ロシア人の知り合いがロシアを支持しているのもそこにつながってます。
歴史的にみても、アフガニスタン全土への侵略やイラクでの大量破壊兵器の疑惑に基づく侵攻は、どちらも国境線の変更と比例の原則に違反していると言えます。見た目上国境は変わってないように見えても、傀儡政権を樹立させて自国軍を駐留させる手法はキーウに侵攻したロシアの狙いと変わりません。
アメリカは過去何度もレッドカードにひっかかり、同じくレッドカードのイスラエルを支持してるのに、なぜロシアが同じことをやると非難されるのかというのが納得いかないところなのだと(まあ自分をアメリカと対等の二大大国だと思ってるプライドのなせる業かもしれませんが…)。
アメリカは他にも多くの国に軍隊を駐留させています。世界大戦の敗戦国を筆頭に、韓国、英国と、自国外にこれほど多くの軍隊を展開している国は他にありません。
沖縄でも軋轢が生じていますが、特に日本の米軍権限は主権侵害と言えるレベルで、自国の首都上空を他国の軍隊が排他的に使える権利を有している国など世界中探しても日本くらいしかありません。
ラッセル・クラーク氏の記事で、「オーストラリア、日本、英国は、今や真に独立した国家というよりも属国に近い」というコメントがありましたが、これを見るとあながち間違いではないと思えます。
そういえば👆のnote内でご紹介したニューヨークの金塊保管庫には、日銀が保有している日本国の金も預けられちゃってます。
客観的に考えれば、これだけ他国を事実上の支配下に置いている国は異様です。シリアやアフリカに軍事支援して非難を受けているロシアの立場からすれば、これもまた不公平以外の何物でもないのでしょう。
言いたいことも言えないこんな世の中じゃ…🤢
これまで正義の名のもとに、世界の警察として振る舞ってきたアメリカですが、バイデンのイスラエル対応で化けの皮が剝がれた感があります。
そしてアメリカファーストを掲げるトランプの登場で、アメリカが喧伝してきた大義名分は消え去り、力が強いものが主義を通せるガチンコ勝負の時代の幕が上がりました。
たとえて言うなら、仲良しグループが幅をきかせて「はみ出し者」を学級会で吊るし上げるクラスから、直接不平不満を言い合って殴り合いのケンカもするクラスになるような。
ある意味その方が緊張が走ってよい世界になるのかもしれません。
まあその判断基準がトランプの好き嫌いで「ロシアはOKだけどイランは潰す」みたいなことになりそうで怖いですが、そこは共和党の重鎮たちにがんばってほしいところです。