なぜ、自分を知ることが必要なのか。(愛着障害について)①
こんにちは。
最近たまたま、愛着障害をお持ちの方からのご相談をお受けすることが立て続けにありました。
そこで今日は、愛着障害とは何かということと、
また、愛着障害においても
自分を知るということがいかに大切かということについてお伝えしたいと思います。
もしもあなたや身近な人に
下記のようなことが当てはまる場合、この記事がお役に立つかもしれません。
・傷つくことがあった時、消えてしまいたくなったり、自分には価値がないと思ってしまう
・他者と深い関係になることを回避する傾向がある、あるいは、他者に極端に甘えたり依存してしまう
・相手に振り回されたり、相手を振り回す恋愛をすることが多い
・幸せなはずなのに...なぜだか幸福感を感じられない
・親との関係や、子育てで悩んでいる
愛着障害とは?
愛着障害とは学術的には、子どもの頃に何らかの理由で養育者(主に親)との愛着形成に問題があり、人間関係や日常生活の様々な場面に影響を与えている状態を指します。
もう少し詳細に、精神科医の岡田尊司さんの書籍より下記のとおり引用させていただきます。
従来、愛着の問題は、特殊で悲惨な家庭環境で育った子どもの問題として扱われることが多かった。しかし、近年は、一般の子どもにも当てはまるだけでなく、大人にも広くみられる問題だと考えられるようになっている。しかも今日、社会問題となっているさまざまな困難や障害に関わっていることが明らかとなってきたのである。
また昨今、発達障害ということが盛んに言われ、それが子どもだけでなく、大人にも少なくないことが知られるようになっているが、この発達の問題の背景には、実は、かなりの割合で愛着の問題が関係しているのである。実際、愛着障害が、発達障害として診断されているケースも多い。
岡田尊司 「愛着障害 子ども時代を引きずる人々」2011 光文社
↑の引用に示した通り、従来は
虐待やネグレクトなどのような、悲惨な状況下で子ども時代を過ごした場合を指すことが多かった愛着障害ですが
近年では「幼少期は何不自由なく暮らしていた」と感じている人でさえ、大人になって以降、(軽度の)愛着障害であることに気づく方が増えています。(私もその一人です)
また、これはあくまで私の見解ですが
私自身や、カウンセリングさせていただいたクライアントさんの事例からかんがみると
必ずしも養育者(主に親)との関係のみが原因とは限らないと思っています。
それは、子どもの頃の人間関係全般(親、兄弟姉妹、祖父母、友達、先生などとの関係)によって相乗効果的に形成されてしまうもの...
例えば私自身は、家族関係全般と、幼少期のいじめ等が私の人生に大きく影響を与えていた事を”本当の意味で”理解するまで
自分には価値がないという無価値観や
私はどうせ愛されないという感覚を抱えたまま生きていました。
なぜ幼少期の経験を、大人になっても引きずるのか...
昔(数十年前)の精神医学では「そんな昔のことを引きずるなんて甘えている」と言われたこともあったようです。
でもね、そうではないのです。
仮に...百歩譲って甘えだったとしても、心の問題は根性論ではどうにもなりません。きちんとした理論の下で、段階を踏んで、解決していくことができるのです。
少し話が逸れました。。
なぜ幼少期の経験を、大人になっても引きずるのか...その理由は
人間は動物と違って、子どもの頃は周囲の人に衣食住の世話をしてもらわなければ、生きていくことができませんよね。
そのため、子どもながらの生き延びる手段として、ほとんど無意識に、他者の言動を敏感に察知し、察知した結果によって、自分の態度を決めるという方法をとっています。
これを心理学では、幼児決断と言います。
愛着障害における幼児決断とは
例えば「私(僕)が助けを求めても、誰も助けてくれない」とか
「私(僕)は生まれない方がよかったんだ」といった
人間関係や自分に関する誤った信念のようなものです。
こういった誤った信念を知らず知らずのうちに、大人になってもひきずってしまうことで、
人と信頼関係が築けなかったり、ちょっとしたことで傷ついて「消えてしまいたい」と思ったり、という状態になります。
ここで再度、書籍から引用しますね。
人の顔色をすごく気にしてしまい、気疲れしやすい。「お前なんかいらない」と言われないか、いつも不安に思う。対立したくないので、つい相手に合わせてしまう。
そういった対人関係に過敏な人は少なくないだろう。
一方、人と親しい関係になるのがわずらわしい。結婚して縛られるのはイヤ。仕事の付き合いはするけど、それ以上の関わりはもちたくない。
このように対人関係が表面的で、深まりにくい人も増えている。
そうした対人関係のパターンを、知らずしらずに支配しているのが、その人の愛着スタイルだと考えられるようになっている。愛着スタイルは、その人の根底で、対人関係だけでなく、感情や認知、行動に幅広く影響していることがわかってきた。パーソナリティを形造る重要なベースとなっているのである。
岡田尊司 「愛着障害 子ども時代を引きずる人々」2011 光文社
↑で引用した前者のパターンは、まさに昔の私そのもの。
ほぼ克服した現在でさえ、読むとドキッとしてしまいます。
愛着スタイルに関しては
私も過去の記事で触れていますので、気になる方はご参照ください。
驚くべきは、私自身の両親との関係は
愛着スタイルで言うとほぼ「安定型」だということです。
ですが、完璧な人が存在しないように
完璧な親、完璧な家族というものも、存在しません。
またそれと同じように、完璧な人生というものも
存在しないのです。
少し長くなってしまったので、本日はここまでとさせていただきます。
今回の記事で引用させていただいた書籍は、愛着障害に関する基本的な知識や事例を得ることができるますのでおすすめですよ。
最後までお読みいただきありがとうございます。
ではまた次回にて(^^)/
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