ストレスは”発散”すべきじゃないかもしれない。
こんにちは。
私はよく、「○○(私の名前)はストレス発散しないよね」と言われてきました。
そんな時に考えてきたことは・・・
「発散してしまうと、問題が解決せずにまた同じことの繰り返しなのでは?」ということでした。
みなさんはどう思われますか?
今日はこの ”ストレスへの対処” や ”心の問題” と関連する
”生物・心理・社会的モデル” という考え方について書いてみたいと思います。
”生物・心理・社会的モデル” とは、心理学のひとつの理論で
人の心の問題は、下記のような生物的、心理的、社会的な要素で成り立っているというものです。
♢生物
栄養・運動・睡眠など、身体にまつわること。
例えば、不登校が始まった子をよくよく診てみると、心理的なことが原因ではなく鉄分不足だった、等ということもあります。鉄分不足のケースは、特に初潮を迎えた女の子にありがちと言われています。
♢心理
代表的には、考え方や認知の問題が関連しています。
よく例えられるのは、半分水が入っているコップを見て、「半分ある」「半分もある」「半分しかない」といった複数の考え方の中からどれを選択するか。といったようなことです。
♢社会
社会的地位や収入、人間関係、住む場所や家庭環境などを指します。
例えば、極端な貧困家庭に身を置いていたり、医療・介護などの適切な社会保障を受けられない状況、あるいは複雑な人間関係に身を置いている場合などです。
以上のような要素が絡み合って、人の心の問題が起きているというのが
”生物・心理・社会的モデル” です。
このような考え方をベースにすると、
「○○さえすればうつにはならない」といったような言説は、
「自分に当てはまるかもしれないし、当てはまらないかもしれない」というのを前提にして情報を取り入れないと、誤った対処を続けてしまうことに繋がりかねません。。
例を用いて、説明してみますね。
♢生物的な問題の場合
上記で書いた鉄分不足などの栄養欠損や、運動不足による筋力や心肺機能の低下によるもの、あるいは睡眠不足などもありえます。発達障害等もここに当てはまります。
例えば以前は心理的な問題とされていたある種の疾患も、脳の栄養欠損が原因だった(遺伝子的に特定の栄養が脳にまわらない等)ということも少しずつわかってきています。
そういった場合は当然ながら、カウンセリングのみでなんとかしようとしても、無理があります。。
♢心理的な問題の場合
認知や考え方の問題があったり、事故や事件、虐待などが原因のPTSDが関連している場合、あるいは愛着障害などがある場合です。
この場合は、自分の認知の歪みを知る特訓をしたり、考え方を鍛えたり、足かせとなっているものを取り除く、あるいは幼少期に当たり前に与えられるはずだった愛情や、人への信頼感などを取り戻す治療が必要となります。
♢社会的な問題の場合
上記の例で書いたように、極端な貧困家庭で育ったために教育の機会が与えられず、満足な収入を得る仕事につけない場合等があてはまります。こういった場合は、自尊感情が低くなり抑うつ症状が出ることも。
日常的な例では、学校や職場での人間関係もここに当てはまります。「社会的な問題」が「生物的な問題(健康問題)」に発展し、それが「心理的な問題」にまで派生していきます。
イメージわきましたでしょうか。
ひとことで心の問題、といっても、生物・心理・社会と原因が様々であり、しかも相互の事情が絡み合って複雑になっている場合もあります。
タイトルで書いた「ストレスは”発散”すべきじゃないかもしれない」の意は、例えば当人が心理的な問題を抱えている場合。
やるべきことはカラオケやジョギングで発散することでなはく、認知の歪みを正すことかもしれません。
生物的な問題の場合、やるべきことはカウンセラーに相談することではなく、検査を受けることかもしれません。
さらに社会的な問題の場合は、その環境からできるだけ早く離れることかもしれません。
心はそとから見えないので、なかなかわからないこともあるでしょうが、
根気よく仮説を立てて、向き合っていくことが必要です。
最後までお読みいただきありがとうございます。
ではまた次回にて!(^^)
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