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【個人的】2021年に出会った面白いマンガ10作品

今年もたくさんのマンガに出会った。記録は1ヶ月半程度で挫折してしまったので読んだ冊数はわからない。でも確実にライターを初めた影響で新しい作品や、今まで見過ごしてきた作品を知ることができた。

ライターになって初めて公開してもらった記事もその年に読んだマンガの10選だったから今年も同じ方式で紹介してみようと思う。

ただし今年は「2021年に初めて手に取ったマンガ」だけの縛りにしてみた。単行本の盛り上がりの最骨頂に達している『アオアシ』や涙なしには読めなかった『Dr.STONE』、完結した『さよなら私のクラマー』『進撃の巨人』など枚挙に暇がなさすぎた。

うめざわしゅん『ダーウィン事変』(既刊3巻)

人間とチンパンジーのハーフであるチャーリーと人間たちとの友情を描く物語かと思ってたら全然違った。いや、全然違くはないけども。実在しない「ヒューマンジー」と呼ばれる存在を、ヴィーガンや動物愛護の観点でストーリーに絡めていく展開に舌を巻いてしまう。

難しいテーマながら、きちんとエンタメされていて面白いのがすごいし、それと同時に達観したチャーリーの言動やテロ集団の思想にはSNSを通して得た多様な価値観へのアンテナを刺激されて、考えさせられるものがあった。

泉光『圕の大魔術師』(既刊5巻)

周囲のクチコミでどんどん読者の輪が広がっていっているのを見ていてずっと気になっていたのを遂に。読了後に口を揃えてこれは名作と感想が飛び出るのにも大大大納得だった。

小中学生の頃、本の中には本当に言葉通り無限の世界が広がっていたし数えられないくらいいろんな冒険に連れて行ってもらっていた。その頃の気持ちを思い出さずにはいられない。高揚感で胸が高鳴るあの感覚よ

「あ、ここから何かが始まるんだ」と確信する第1巻から尻上がりに面白くなっていく物語をこれから楽しみにしていきたい。

安田佳澄『フールナイト』(既刊2巻)

描かれるダークな世界観に心を鷲掴みにされてしまった。陽の差さない世界と「転花」と呼ばれる制度。聞いたこともないその設定だけでここがもう安田先生の作り出した物語の中なのだと、引きこまれてしまう。

登場人物の心理もこの強い世界観に負けじと描かれていて、この登場人物たちは確かにこの世界で生きているんだなとその存在を感じ取れた。『電波青年』でも人の心情が動いたその先へお話を持っていくのがものすごく上手だと思ったので、この先にすごく期待している。

小林有吾『アオアシ ブラザーフット』(既刊1巻)

名作『アオアシ』のスピンオフ。最初、青井葦人の兄・瞬もサッカーの道へと進む物語と聞いて、「え?!」と思った。だって、アオアシ本編でそんな素振り全く出してなかったじゃない。すみません、17巻にめちゃくちゃ書いてありました。ミスです!!

小林先生の描く「目」がとても好き。覚悟、狼狽、歓喜、その時の感情が目からビシビシ伝わってくる。どこか悲しそうで覇気のなかった瞬の目がグッと変わる瞬間。これは興奮せずにはいられないでしょう。

よしながふみ『大奥』(全19巻)

「男女逆転大奥」という響きで実写の映画を知っていたから、何か奇抜な試みだなと思っていた。よもやこんなにも重厚に実際の歴史をなぞった物語だとは。読んで衝撃を受けてしまった。

日本史が好きだったから、もちろん仕組みとしての大奥はなんとなく知っていた。けど、そこには人が住んでいて当然そこには関係性が生まれていて、なんて本当の意味では認識していなかったかもしれない。

我々の知っている実際の歴史と、描かれている物語が本当につなぎ目が見えないくらいリアルに縫い合わされていて、その見事さという意味でもたくさんの人に読んで欲しい。改めて歴史にも興味が出たし、高校の図書室とかに置いておいて欲しいな。

原作 稲垣理一郎/作画 池上遼一『トリリオンゲーム』(既刊2巻)

非常にシンプルに読んでいて爽快感がある。RPGゲームをプレイするみたいなワクワク。最高の仲間を集めて、邪魔する者や難所が現れて、持てる武器全部で試行錯誤して、それらを乗り越えて。その先に最高のゴールが待っている。

会社を立ち上げるなんてしたことないけど、多くの起業家が夢破れていく中で成功を勝ち取った人たちもいる。ここまで破天荒ではないとしても同じように何もないところに夢を見出しているんだろうな。かっこいいですよね。

地下沢中也『預言者ピッピ』(既刊2巻)

ひょんなことから知って買ってみた、2011年に最新刊が出たきり続きが出されていないSF作品。衝撃を受けた度で言えば今年トップクラスだったかもしれない。

ピッピの預言が必ず当たることを信じきった人々が、預言された大災害の実現をカウントダウンして待つ光景に背筋がゾッとした。

「何事も起きてはいないのに既に何かが起きているような・・・」という台詞が作中に登場したけど、変更のできない確定した未来がわかっている状態ってめちゃめちゃ怖いと痛感。

六内円栄『Thisコミュニケーション』(既刊5巻)

成果を手にするために手段を選ばない冷徹さ(それが仲間殺しであっても)を持つ指揮官。そして超キレもの。こういう存在って「とはいえ仲間」と思ってる仲間たちの幻想を軽く飛び越えて物語にカオスをもたらすから、割と出てくるとワクワクする。

仲間の少女たちに付与された「殺されても生き返る」「殺される1時間前の記憶が消える」という設定。だから「殺すならその目撃者まで含めて1時間以内に全てを終わらす必要がある」という設定が秀逸。制限付きのタイムリープ(回数が限られているとか、徐々に戻れる時間が短くなるとか)のような縛り要素を死ぬ側ではなく殺す側に付与する面白さ

ストーリー展開の早さもキャラの決断の早さを体現しているようで読み応えも抜群だった。

片山あやか『菌と鉄』(既刊1巻)

個人的にかなりヒットで、今年何度もいろんな人にいろんなところで紹介してきているけど、世界観の設定とキャラ作り、登場人物の関係性と、ストーリーを先に進めて人物の心情を動かすための仕掛け、アクションの作画。全部が凄まじかった。

片山先生、一度産休に入られていたので、次巻はまた少し先だとは思うけど、パワーアップした続編が読めることが2022年の楽しみ!影響を受けているらしいジョージ・オーウェルの『1984年』も昔読んだけどあんまり覚えてないから機会があれば読み直したい。

ジョージ朝倉『ダンスダンスダンスール』(既刊22巻)

絵から音が聞こえてくるような表現、キャラの感情が自分に突き刺さってきてしょうがない言葉や表情、今まで読んできて「大好きだな」と思った作品と共通するところの多い、刺激的な作品だった。

読めば読むほどキャラクターたちが愛らしく、その一方でバレエとして表現力はぐんぐん上昇していってこれ以上いったら読者として見守るこっちの感情はどうなってしまうんだろうという思いの激流に翻弄されている。

アニメ化もするし、あの物語が動く絵と音楽で見れるなんて、なんて楽しみなんだ。

今年もたくさん面白いマンガをありがとう

引っ越ししたり、伴って本棚作ってみたりしたけどあんまり完結済みのものを一気に読んでみたりとかはできなかったのでまた興味あるマンガにどんどん手伸ばしていきたい。

それでいて、ライター始めてから読むとまた違った目線で読めることにも気づけたから昔読んだっきりの作品も改めて読み直していきたい。

2021年も面白い作品にたくさん出会えて大感謝でした。物語を生み出す全ての人とそれを支える人たちへの感謝とリスペクトが止まらない!


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