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「量産型」は褒め言葉になったのか?ー「皮肉」から「憧れの対象」へ

*こちらの記事は、2018年9月8日に私のはてブロにて掲載した記事を少し修正して掲載しているものです。

現在、この記事を加筆修正したものを含む、「量産型」という言葉のゆくえに関するエッセイや考察をまとめた同人誌を作ろうと画策しているので、他の媒体にも公開しておきたいなと思ったので、こちらにも転載することにしました。
私が今一番「気になる」言葉(文化)です。


元記事「「量産型」は褒め言葉になったのか?―ささやかな備忘録」

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大学院の研究の関係もあって、女性ファンの文化とかを調べたりすることがあるのだけど、
最近凄く気になるのが「量産型ヲタク」または「量産型オタク」なる存在である。 

主にドルヲタ界隈*1で使われている言葉のようであり、 検索をかけると、
リボンやハート、文字で加工をした可愛らしい服を着た女性やネイル、アイドルうちわ、俳優のブロマイドなどの写真がたくさんヒットする。
(トップの画像は私がイメージ画像として素材をお借りしてカメラロールにいたマイメロの写真で作成したものだが、大体こうした雰囲気の画像がヒットする。マイメロ、顔隠してごめんね…。)
見たところどうやらヲタクとしてのある一定のファッションやスタイルに関して使われている言葉らしい。
また、「私は量産型ヲタクです」といった文言のみならず「量産型ヲタクを目指しています」「どうしたら量産型ヲタクになれるかな」といった”私はそれになりたいのだ”という意味合いの文言まで沢山ヒットするのである。

私はこの状況を知った時凄く驚いた。
何故なら私の中で「量産型」という言葉が表す意味というのは、外部から見て同じような格好をした無個性な集団を批判したり揶揄したりするというものだからだ。

つまりどちらかといえばマイナスに使われていたイメージのある言葉なのだ。(元々の「量産型」という言葉はガンダムの「量産型ザク」が由来となって使われ始めた言葉らしく、試作を経て量産されるロボット等を表す言葉だったようで、イメージにプラスもマイナスも無かった模様であるが。)
 
例えば数年前に流行した「量産型女子大生」なんていうのは量産型という表現が一般に浸透するきっかけの1つであり、上記のイメージをそっくりそのまま表している存在であろう。

同じような茶髪の巻き髪、ベージュのトレンチやジャケット、パステルカラーの洋服…といった格好の女子大生がわんさかいて見分けがつかないことを批判して使われた言葉であったと思う。
当時自分も丁度学部生だったのでよく覚えている。

(現在は上であげた定型スタイルはそう多くは見掛けなくなったが代わりにパンツにスニーカー+リュックの女性が凄く増えたように感じる時期があったりと「定型」がうつろっているだけで量産型女子大生は消えていないのでは?というのも面白い着目点かと思うのだが話が逸れるのでまた別の機会に。*2 )

まあとにかく、上記のように、ファッションやスタイルにおいて使われる「量産型」という言葉はマイナスイメージの言葉ではないかと私は考えていたのである。
でも、現在多数のオタクの女性たちが「量産型」に"なりたい"と言っている。

つまり彼女たちにとっては「量産型」という言葉は褒め言葉であり、憧れの対象であり、
自らにプラスのイメージを付加させるための表現として「量産型」という言葉を使っていると考えられるだろう。

これは非常に大きな言葉の意味の転換なのではないか?と興味深く感じているのである。
「量産型」は褒め言葉になったのだろうか?

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ジャニーズを含むアイドル界隈、また俳優界隈、歌い手界隈などの「量産型ヲタク」と呼ばれるスタイルはリボンを頭につけたり、ふんわりとした洋服を着ていたりと確かにパッと見て「可愛い」と感じられるものだと思う。

私もロリィタなどを着ることもあるし、やや違うがガーリー系の洋服を好んで着用することも多いので、彼女たちの服装が「可愛い」を表すことはよく理解できる。
「推しの前で可愛い自分でいたい」という気持ちはどこのオタクもきっと一緒なのだろうなと思う。

(続編の記事も近日アップします。)

*1 主にジャニーズのファンの間で多く使われている模様 でも特徴を見てみるととうちの界隈も似た感じの子を見掛けることが良くあるなと思う。

*2 この量産型女子大生の変遷を上手くまとめてくれている記事を見つけて、面白かったので参考までにリンクさせて頂こうと思う。
なぜ女子大生は「量産型化」してしまうのか? 元量産型の女子大生が語る、絶滅した「ガーリー型」の謎と、わたしが量産型になってしまうまで。

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