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17.れいすけにいちゃんのお下がり /純喫茶リリー
なぜか男の子になりたかった律子。
アパートの上の階に住んでいた、れいすけにーちゃんからおさがりの服をもらっていた。
れいすけにーちゃんは同じけやき保育園の年長さんで、
律子が熱をだして保育園に行けない時は、れいすけにいちゃんの家に預けられたりしていた。れいすけにいちゃんのママは苦手だったけど、一人っ子の律子にとっては、おにいちゃんができたみたいでうれしかった。
だから、彼のお下がりを着ていることを誇らしく思っていた。
なぜ、律子は頑なに「女の子っぽいヒラヒラふわふわした服なんか絶対にきてやらない!」という思考になっていたのだろう。
思い返せば、きっとそういう服が手に入らなかったからだ。
もともと、どんなに欲しがっても買ってもらえない。
だから、「自分はれいすけにいちゃんからのお下がりの服が好きなんだ!」と、自然と思うようになったんだと思う。
例えば、流行ってたゴレンジャーでも、赤レンジャーじゃなくて青レンジャーが好きなことにしたんだ。
律子は本当は、赤レンジャーのことがかっこいいと思っていた。
でも、赤レンジャーはクラスの女の子たちに人気だったから、なんだか「それじゃダメだ」って思ってしまったのだ。
だから、律子は青色が男っぽいと思って「青レンジャーが好き」ということにしたんだ。
女の子に人気なものは手に入らない。
手に入らないものは、もともと好きじゃないことにすれば生きやすいと、この年齢で察知していたのかもしれない。
もちろん、律子がそこまで深く考えていたわけじゃないけれど、大人になった今なら、そういうことだったんだろうと理解できる。
ある日、保育園の先生に、「大きくなったら男になりたい」と言った。
すると先生は、「大きくなったらお医者さんで、男の子のおちんちんをつけてもらっえるよ」って、教えてくれた。
律子は中学2年生の頃まで、この話を信じていた。
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