27. 前のめり空回り/純喫茶リリー
ゆりこちゃんと出会う前の律子は、楽しそうなクラスメイトの輪から外れて、でも羨ましくて。どこか疎外感を抱いていた。
いつの間にか、そんなクラスメイトに敵対心を抱き、負けん気が強くなっていた。
周りに「すごい!」って言われたくて、授業も張り切って、
目立つことに一生懸命。
やたらと手をあげて、大きな声で先生に話しかけ、ついでに余計な一言まで加える。お調子者の目立ちたがり屋だ。
それもこれも、喫茶リリーで、いつも大人の話に首を突っ込んでいたからだろうか?
授業中でも私語が多く、よく先生に注意されていた。声が大きすぎるのだ。
自分の知ってることを周りに知らしめたかったのだろう。
「私おもしろいでしょ!すごいでしょ!」と、周りの注目が欲しかったのかもしれない。
自己顕示欲モンスターだ。
学校の成績はなぜか良く、テストで100点を取ることもしばしば。
授業中で目立つチャンスを逃すまいと、授業はしっかり聞いていたからに違いない。
でも律子にとっては「100点」が重要なのではなく、「すごい」って思われることが重要なのだ。
律子はテストで満点を取ると、誇らしげにママに見せた。
でもママは
「そんなのあたりまえ」
の一言。
思っていた反応とは違った。
褒めてもらえなかった。
律子が心底自信満々に見せたその100点も、どうやらママには特別に見えなかったらしい。
そうか。
あたりまえなのか。
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