声の低さはコンプレックスだった②
「雨が上がって、そこに虹がかかるように……」
(①の続き)
高校に入学しても、相変わらず地声は低いまま(そりゃそう)
動画で、自分の声の低さを自覚させられるような部分があれば、その部分は全て早送りかスキップ。そういうとこ相変わらず笑
でもこの頃から、ほーーーんの少しずつ、自分の声の低さと向き合い始めていたのかもしれない。高校時代の音楽の先生のおかげで。
そのコンプレックスは武器になる……?
大学生になって、TVでハモネプを見て憧れていたアカペラサークルに入った。ここでの経験があったからこそ、自分の声の低さとの向き合い方が180度変わった。
アカペラサークルに入ると、自然と女子の中でも、どちらかと言えば低めのパートを担当することが多かった。
1回生の頃、よく担当していたのが“サード”という低めパート。その“サード”と、元々ついていたあだ名を組み合わせた時の語呂が良かったのもあってか、
声低い系女子
という印象がサークル内で徐々についていった。
2年目の前半あたり、「結構地声低めやし、それを色々活かせそう!」と周囲の人が直接言ってくれることが増えていった。それと同時期ぐらいに、女子だけのバンド(通称:ギャルバン)で声低めの先輩がベースしてるのを見た。
そういうことがきっかけになったのか、 いつの間にか心の片隅に、いつか自分もあんな風にベースやってみたいな、という想いを抱くようになっていた。
その想いは、静かに、どんどん強くなっていって……
個人練として、普段の発声練習では使わないF3よりも低音域を出す練習を始めた。そんなに低い音域を使う時が本当に来るのか……?…わからないけど
とにかくやってみようと思った。
その練習を始めてみて、調子が良いと自分が出せる最低音はG2、調子が普通であればA2まで出せるようになった。
2年目の終わり頃、「声の低めの人を探してて……」と、ベースとしてバンドに誘ってもらった。もの凄く嬉しかった。「やる!」と即答した。
更に1年ぐらい経って、“こういうバンド作ろうとしてて……ベースパートで入ってほしい”と、別のバンドにも誘ってもらった。もう本当に嬉しかった。
卒業まで続けたアカペラサークルでの4年間。いつの間にか、自分の“低い声”は武器になって、その武器でバンドの音を支えるようになった。
声の低さはコンプレックス……“だった”
就活中のエピソード。とある企業の選考。1、2時間ぐらいでグループディスカッションもして、集団面接もして、個人面接もして、と盛り沢山。
(※この時の選考のこと忘れたくなくて、当時の就活ノートに詳細を書き残していたので、それをもとに書いています。)
ぶっ飛んだテーマだったグループディスカッションを何とか無事に終えて、集団面接も何とか乗り越えて。残すは個人面接。
(集団面接の質問で中学校時代の演劇部のエピソードを使ったことを踏まえて)
面接官(以下 面):「元演劇部だったということもあってか、しっかり頭で考えたものを話し出すときと、突発的に考えて話し出す時の声の高さが違いましたね。」
………え!!??待って、待って、何の話!?
なぜ面接官がそんな指摘をしたのか、真意が全く掴めない。内心めちゃくちゃ焦る。
面:「普段から声低いですか?」 私:「普段から声低いねってよく言われます。大学で入っているアカペラサークルでも、声が低いということから一番下の皆を支えるパートを担当することが多いです。」
就活の面接で声低い話が展開されるなんて誰も思わないよ……笑
面:「そういう自分にしかできないことっていうところに活かせて良いですよね!ちなみに声が高かれば良かったのにな、と思ったことってありますか?」 私:「あります。小学校低学年の頃、他の皆は地声で全部歌えるのに、自分だけ高音が出にくくて、裏声で歌わないと歌いきれないということがあって、その頃は……」
面:「(もの凄く驚いた様子で)そんな前から!!??……女性は男性のような声変わりはしないですもんね……ハハハ。……でも、他の人ができないようなことが、その声の低さによって出来たりして、強みになっていいですよね!どう思いますか?」
「今は(自分の声の低さが)強みだと本当に思っています!!!」
どう思いますか?と聞かれて、即答。本当に間髪いれずだったと思う。自分でも驚くぐらい、自然にその言葉が出て来た。しかも、その言葉を言い放った時の表情は、自分でもわかるぐらい超笑顔だったと思う。
心の底から本気で、自分の声の低さを強みだと、思えるようになっていたんだと実感した。
あんなにも大嫌いで、コンプレックスだった自分の声の低さを……
何だか胸のつっかえが取れたみたいにスッキリした。
(この企業の選考は無事に最後まで通過。本当に嬉しかった。)
自分のこの声の低さは……個性だし、強みだ
こう思えるようになるまでに、本当に時間がかかった。
声が低いからこそ出来たことが、いくつもあったし。
あ!あの声低い子ね!と自分のこと覚えてもらいやすかったり。
「粉雪」とかの低めの曲を原キーで思いっきり歌えたり……etc.
向き合い方を変えられれば、コンプレックスを個性や強みに変えられることだってある。
コンプレックス“だった”、この声の低さに、今では感謝している。
「雨があがって、虹がかかるように…。」
そんな風に、コンプレックスを1つ乗り越えられたような気がする。