舞台『中村仲蔵』、2月に東京建物 Brillia HALLでの公演を終え、3月から地方公演を回っている。
広島、愛知、宮城、福岡、大阪の順で、
毎週各地の観劇ファンの目を喜ばせ評判は鰻上りと聞く。東京の公演以来、キャストの方々による楽しそうな旅時の写真を見ているのもほっこりして癒される。
ああいいなぁ。
仲蔵、恋しいなぁ。
そうぼやきながら、我慢できるはずなどなく、
もともと地方公演を観に行くのが好きなので愛知と大阪の公演チケットをとっていた。そして、さらに追加して仙台も行くことに。
3/10に名古屋の御園座、
3/15、3/16、3/17に東京エレクトロンホール宮城で
4公演を観てきた。
改めて3/15に開催されたアフタートークショーでのやりとりを書いておきたい。
東京公演でのアフタートークに参加した際に、この中村仲蔵という伝説の歌舞伎役者と、藤原竜也たる唯一無二な俳優のシンクロについて感想をまとめたけれど、仙台のアフタートークを伺うと、あれからより深く複雑に重なる本質を感じられた。
仙台初日はソワレ公演ということもあって、どこか落ち着いた、しかしあたたかな空気に包まれて、
お芝居を終えたばかりの竜也さんもリラックスした表情でマイクを握ってくださった。
司会の植本純米さんからご紹介があり、
「不動のセンター、絶対的エース、藤原竜也!」と呼び込まれ、照れ笑い。(かわいい)
次いで「不動のお兄ちゃん!高嶋政宏!」との声でお兄ちゃんこと高嶋さんが竜也さんから見て左に。
さいごに「空間の魔術師、蓬莱竜太!」と呼ばれて竜也さんから見て右に並ばれた。
三島由紀夫ファンとして大歓喜な高嶋お兄ちゃんの回想に胸がジーン…としつつ、
竜也さんもおそらく蓬莱さんとの仙台の思い出としてうずだんを。(終わりよければすべてよし、仙台、忘れてない…ですよね…?)
お2人ともお芝居の思い出を話してくださり嬉しい。
中村仲蔵も3/15の公園で通算32回目となり、仙台で34公演までを終えた。長い稽古期間からずっと築き上げられてきた信頼関係はまた深いものになっているのだと、柔和に微笑んで冗談を言う竜也さんから感じられる。
池袋でのアフタートークで「居心地がいい」と仰っていたのを聞いても目頭が熱くなったが、
間近で実感することでまたズブズブと沼に浸かっていると自覚……でもまだ足りない(切実)
仙台二日目のカーテンコールでは客席からの熱烈な拍手に応えて、4回ものご挨拶に出てきてくださり、三番叟の衣装のままの竜也さんが、市原さんの手を引いてニコニコ満面の笑顔で手を振ってらした。
「お客さんに拍手をもらうために頑張れる」
「僕にとって舞台の一番の楽しみは稽古にある」
そうまっすぐと、スポットの当たる舞台に立ち続けてきた15歳の身毒丸、少年期から何も変わらないのだと心の底から安心する笑顔だった。
アフタートークで竜也さんはさらにこう仰った。
「真っ暗闇からみんなで作ってきたものをお客さんに評価してもらえるのが嬉しい。お客さんからも、良い刺激をもらっています」
演劇界に生み落とされてより26年。
身毒丸の擬古文のせりふで輝きを放った彼が、
蜷川幸雄氏に導かれ、唐十郎の、三島の、シェイクスピアの言葉の世界で成長し、いまや中村仲蔵を
生きている。
座長としてカンパニー全員を愛し、愛されながら、自分自身の脚でどこまでも突き進んできた竜也さんだからこそ、
客席への感謝を忘れていない言葉が聞けるのだ。
仲蔵公演、残すところ福岡と大阪での9公演となる。
仙台の千穐楽を終えて劇場を出る時に期間限定配信が決まったことを知って小躍りした。
演劇界を背負い立ち続ける藤原竜也の真随を、
より多くの人に観てほしい。
暗闇の中を光を探しながらどこまでも歩み続ける、その凛と美しく眩いあなたの顔。
何度でも生まれ変わるその姿をどのまでも追いかけてゆきたい。