【感想】光のとこにいてね
美しく、瑞々しい表現にハッとさせられる。
切なくて、ドキドキする。いい読書体験。
ただ主人公たちの決断には共感するのが難しかった。
大人になった主人公たちの子供に対する振る舞いに、欠落したものをずっと感じて。
それは拒絶や無関心のなかで幼少期を過ごした彼女たちが最も憎んだはずものではなかったか。
家族がいても、子供がいても、
自分の人生を生きようとする人たちの話。
そういう生き方をしてもいいんだと。肯定してくれる話。なのだけど。
特に最後の展開なー!
子供を第一に考えてくれよー。たのむよ。世界にあんたら二人しかいないわけじゃないんだよ。
全部のモラルをかなぐり捨てて飛び込んでいくのは美しいけどさー!
うーむ。
個人的な考えだけど。
自分が親になってみて感じたのは、人生の主人公から降板する感覚。
子供が生まれると、自分の人生の主人公は子供になる。
それは自分よりも遥かに眩しい存在として、スポットライトの中に突如現れる。
自分はその周りでなんやかんやと世話をやく脇役になっていく。
それでいいし、それがいい。
でもいつか、子供は自らこの舞台を去っていく。
設えられたスポットライトから足を踏み出し、暗がりへと歩き出す。
そうしてようやく、自分は自分の人生の主人公に戻ることになる。
その時自分は、主人公の佇まいを保っているだろうか。
自分にスポットライトが戻ってきたとき、
ぽかんと口を開けて棒立ちになってしまうようなことがないように
準備をしておきたいとは思う。
でもしばらくは、もうしばらくは、光り輝く期待のルーキーの姿を見ていたい。
そういう気持ちが芽生えている。これが親かと。
そんなもんだから、自分の人生の主人公であり続けようとする
2人の女の子にうまく共感できなかったかもしれない。
でも、まあ、よかった!かな。うん。
いけよもう。こうなったらいくっきゃねーだろ。おりゃー!
ってなって終わった。
まあ、薬飲んで車乗っちゃダメだし、
プリウスで特急電車に追いつくことはできないし、
できたとしたらめちゃくちゃスピード違反だし。
そこはもう、ほんと。
だめ、ゼッタイ。