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『もう一度、選んでくれますか?』
数年前までの私は、後悔ということをしない人間だった。
やり直したいことも、戻りたい過去もない、そんな人間。
某むぎ焼酎のCMで《一生に何回後悔できるだろう》というフレーズがあった。
それを聞くたびに、このCMは何を言っているのか、後悔なんてしないほうが良いに決まっているのに、と思ったものだった。
そんな私が、いつからだろう、後悔することが出来るようになった。
やり直したいこと、戻りたい過去が
#2000字のドラマ 『ねえ、しあわせ?』
「ねえ、キミはしあわせ?」
ふとした瞬間に問いたくなる。
キミと初めて出会ったのは、海の近くのまだ何も植えられてない砂地の畑。
熱くも寒くもない時期だった。
当時のキミは今より二回りくらい小さくて、
ビー玉みたいなキラキラした緑色の目で私を見つめて、にゃあ、と鳴いた。
それから小走りで一目散に私のほうに寄って来て、
どう接すればいいものか戸惑っている私の人差し指を夢中でぺろぺろと舐めた。
#2000字のドラマ『おじいちゃんが天国へ行くので、ダイエット始めます』
このたび、わたくし本格的にダイエットをはじめます。
理由は単純。
おじいちゃんが天国に行くことになったので。
私はこの年まで、ありがたいことに身近な人の死にぶちあたったことがほぼない。
ほぼ、というのは、実際にはひいおばあちゃんのお葬式に出たことはあるのだけれど、かなりの年だったし、老衰で、良くここまで生きたな、というのが当時中学生だった私の正直な思いだった。
というわけで、わたくし恥ずかしなが
ショート『「自殺線あるね」と彼女は言った。』
「死にたい」と言ったことがある。
まあ、実際にはそんな露骨な言い方ではなく、知り合いの彼女がいわゆる見える人で、手相も見れるというからその場のノリで見てもらったら、「自殺線がでてるね」と彼女がぽつり。
で、否定をしなかった。
自殺線なるものが存在することは知らなかったが、別段驚きもしない鑑定結果だ。
「でも自ら首を括るとかではなくて、自然死的なかんじ」、そんな鑑定人の言葉が妙にしっくりきた。
自分
#2000字のドラマ『「ニート」にも年齢制限があるらしい』
『ニート』にも年齢制限があるらしい。
もともとは気になる社会学者をフォローするために始めたInstagramで、そんな雑学的投稿が流れてきた。
ニートでいるにも条件があるとは知らなかった。
ただ何もしていないだけでずっとニートでいられると思っていた。
だがそんな俺の考えは甘かった。
何もしなくても年はとる。
年をとればニートではいられない、らしい。
言い訳しろと言われれば、まあいくらでも言葉は出