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なぜ、ジュニアからフットサル??日本サッカーの未来へと〜環境から量そして無意識〜



フットサルはサッカーに何が役立つのですか?

フットサルの利点は何ですか?

フットサルをしたらサッカーって上手くなるのですか?

フットサルとサッカーって何が違うのですか?



日本サッカーに関わる方々の多くは、日本サッカーが世界のトップに近づくことを願っています。

ジュニアからフットサルをすることは、世界のトップに近づく要因の1つになると思っています。



〜はじめに〜


「フットサルを子どもの頃からプレーすることは、良いよ!」

フットサルをプレーしている人や世界的な名プレーヤーから、同じようなセリフを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

イニエスタやネイマールなどは、子どもの頃フットサルをプレーしていた話は聞いたことがあると思います。

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スペインやブラジルの多くの子どもたちは、フットサルを経験しています。



子どもの頃から「フットサルとサッカーの両方」をプレーすること。日本サッカーが世界のトップに近づくためには必要だと、私は思っています。

フットサルをプレーすることで、何が身についていくのか。フットサルをプレーすることで、サッカーの何に役立つのか。
今回は、フットサルとサッカーの「共通点」や「フットサルのプレー環境」から考えていきたいと思います。

ご自身のプレー経験や観戦経験などを思い出しながら、読んでいただけるとありがたいです。

では、よろしくお願いいたします。


①共通点

②違い

③3.2秒と1.6秒

④量から質へ


①共通点

サッカーとフットサルは、1つのボール、1つのゴール、プレーする方向が決まっていて、得点を多く取ったチームが勝つスポーツです。

目的は、勝利であり、相手のゴールにボールを運ぶスポーツです。

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ボールをゴールへ運ぶ過程で、相手DFがボールを奪いにきたり、相手DFがシュートを防いできたり、相手GKがシュートがゴールに入らないように守ったりしてきます。

「ボールを奪いにきたな!よし、ドリブルで抜けそうだ!ダブルタッチを使ってドリブルしよう!」→ドリブルを実行する。

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「味方が走り出しそうだ!あ、スペースが空いている!インサイドキックでパスをしよう!」  →パスを実行する。

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「シュートが打てそうだ!キーパーが左側によっていてゴールの右側が空いている!インフロントキックでカーブをかけてシュートをしよう!」    →シュートを実行する。

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試合の中で、よくあるプレーの状況。
選手の頭の中でプレーを実行に移すまでを言語化してみました。

「ボールを奪いにきたな!」(認知)

「よし、ドリブルで抜けそうだ!」(分析)

「ダブルタッチを使ってドリブルしよう!」(決断)

実際にドリブルをする。(実行)

(認知)ー(分析)ー(決断)ー(実行)のサイクルで試合中プレーし続けています。
サッカーもフットサルも同じです。

(認知)ー(分析)ー(決断)までが、目に見えない頭の中で行われている過程です。
その中で(実行)だけが、目に見えるところです。


 では、(認知)ー(分析)ー(決断)のサイクルで判断に迷うと、どうなるのでしょうか?


「ボールを奪いにきているのかな。きていないのかな。」(認知)

「ドリブルで抜けそうだな。いや、抜けそうじゃないかも。」(分析)

「ダブルタッチをしようかな。いや、また抜きをしようかな。」(決断)

判断に遅れて、迷っている間に、目の前のDFにボールを奪われたり、他のDFにボールを奪われたりするかもしれません。

判断が遅れるたびに、状況は変わっていきます。相手DFは目の前に1人だったのに、2人になり、3人になり、相手チームのDFが整ってしまった。ということになりかねません。そのような状況が起こらないように選手は試合中プレーし続け、ボールをゴールへと運びます。

より速く、そして、より良い(認知)ー(分析)ー(決断)をして、(実行)に移していくのです。

プレーする時に相手がいるサッカーやフットサルというスポーツで、相手に勝つ可能性を高めていくには、「絶対に必要なこと」です。

フットサルとサッカーの共通点です。

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②違い

フットサルとサッカーで違っているところは、ルール、コートやゴールの大きさ、プレー人数、使用しているボールなどがあります。

今回は(認知)ー(分析)ー(決断)ー(実行)に大きく影響を与える部分を2つ取り上げたいと思います。

「コートの大きさ」と「プレー人数」です。

ジュニアの試合でコートの大きさは、サッカー68m×50mでフットサル32m×16mです(フットサル施設やサッカーのグラウンド状況、それぞれの大会要項などによって違いますが、おおよそということで考えています)

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コート面積は、サッカーが3400平方メートル。フットサルが512平方メートルです。

フットサルのコートは、サッカーのコートの約7分の1の大きさになります。

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ペナルティエリアほどの広さで、試合をしていることになります。


次に「プレー人数」を含めて考えてみましょう。

ジュニアの場合プレー人数は、サッカーが8人。フットサルは5人です。

単純に1人がプレーするエリアをコートの大きさから計算すると

◯サッカーの場合

   3400÷16=212.5(平方メートル)

◯フットサルの場合

   512÷10=51.2(平方メートル)


サッカーは、約200平方メートル

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フットサルは、約50平方メートル

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が1人のプレーエリアです。

(コートの真ん中では、選手が多いからプレーエリアはもっと狭い。ゴールキーパーは動かないことが多いのでプレーエリアはもっと広いなど、往々にしてありますが、今回はあくまでも単純に計算して、わかりやすくしています。)


フットサルのプレーエリアは、サッカーのプレーエリアの約4分の1になる訳です。

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フットサルはサッカーに比べてプレーエリアが狭くなります。

サッカーの時よりも相手が速くボールを奪いに来たり、ドリブルで抜いていこうとするスペースが狭かったり、味方にパスをするコースが速くなくなったりすることが、「必然的に起こる」訳です。



③3.2秒と1.6秒

1人のプレーエリアが狭いと、相手がボールを奪いに来るまでが速くなるので、プレーを判断する「考える時間」が短くなります。

ドリブルしたりパスしたり実行の部分を成功させようと思うと、(認知)ー(分析)ー(決断)の時間を速くしないといけなくなります。

ボールを持っている時に、どのくらい考える時間が与えられるのでしょうか。

フットサルとサッカーでどのくらい違うのでしょうか。

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50mを8秒ちょうどで走る選手(ジュニア年代で考えています)は10mを走るのに、1.6秒かかります。(ダッシュしてから加速するまでのスピードとか、50mの残り数メートルはもっとスピードがあがる。といったことは考えていません。あくまでも単純計算です。)

相手が自分のプレーエリアに入ってきて、自分の目の前に到着するまで、

サッカーの場合

1.6×2=3.2(秒)

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フットサルの場合  1.6秒

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頭の中で、今想像してみてください。

自分の足元にボールがパスされてから、3.2秒考える時間がある。1.6秒考える時間がある。

3.2秒でも考える時間が短く感じたとは思いますが、1.6秒だと、さらに考える時間が短く感じたのではないでしょうか。もちろんフットサルやサッカーでも、プレーする余裕がもっとある時もあります。逆に、3.2秒や1.6秒よりも短い時間しかない時もあります。

いずれにせよ、フットサルでは、

(認知)ー(分析)ー(決断)をとても速く行い、実行に移すことが、「必然的に起こる」のです。




④量から質へ

フットサルのプレーは一つひとつ、責任がとても大きくなります。

フットサルのフィールドプレーヤーは、4人なので1人に課せられた「役割」がサッカーよりも大きくなります。プレーする人数が少ないので、ボールを触る回数はサッカーよりも多く、ボールを持っていなくても「プレーに関与すること」は「常に」求められます。

プレーの責任が大きいのです。

綱引きを7人で引っ張るのと、4人で引っ張るのとでは、必然的に1人の重要度が違うという感じです。

フットサルではサッカーよりも、ポジションチェンジが多く行われます。フィールドプレーヤー4人とも守備や攻撃を何度も行います。高いレベルで守備も攻撃も参加が求められます。

攻撃のプレーも守備のプレーでも、高いレベルで求められつつ、1人のプレー責任が大きいということです。

また、ゴールまでの距離が短いので、ミスをすればすぐに失点につながることが多くあります。相手のミスをつけば得点のチャンスもすぐに訪れます。ゴールに直結するプレーがフィールドのあちこちで起こるということは、一つひとつのドリブルやパスの重要度がかなり高くなります。

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ポジショニングは1m。タイミングはほんの少し。
細部までこだわってプレーすることで、勝つ可能性が高くなります。

プレーするスペースがサッカーより狭く、プレー人数が少ないフットサルでは、選手一人ひとりのプレー関与回数が多く、一人に課せられたプレー責任も大きくなるということです。

プレー責任が大きく、さらに、よりよい決断までを1.6秒で求められるスポーツがフットサルです。自然と判断力が鍛えられていきます。

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フットサルを1ヵ月プレーした選手と、1年プレーした選手とでは、判断力の差はたくさんつきます。

ジュニア年代からプレーした選手と、プレーをしたことがない選手とでは、判断力が磨かれる経験の差は圧倒的なものになります。

経験したからといって、大人になった時にすばらしいプレーヤーになるとは限りません。ただ、判断力を磨くことで試合中プレーするのに余裕を感じられるようになるのは、間違いありません。

量をこなすことで、見えてくる世界があります。

フットサルを長年プレーしてきたことがある方は、感じてきたことでしょう。

圧倒的な量をこなすから質へと転化していきます。


サッカーやフットサルのように、相手がいるスポーツは、その瞬間、その瞬間で、より最適なプレーを求められます。「無意識レベル」にまでプレーを行うことができれば、余裕を持って、相手よりも優位にプレーできる。

ジュニアからフットサルをする。

判断力が必要なプレーをたくさん経験し、決断までのスピードを「無意識レベル」にまであげていくことは、「世界と戦う未来のサッカー選手」には、大きなプラスになるはずです。

ジュニアからフットサル。 
大きな可能性がそこにはあります。

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〜終わりに〜

スペインやブラジルは、子どものころからフットサルをプレーする環境があります。

イタリアは、フットサルインサッカーというメソッドをジュニア年代で確立させ、ユベントスやACミランでも取り入れていっています。イタリアサッカーのプロクラブはジュニア年代でフットサルのリーグ戦も行っていくそうです。

今回は、ジュニアからフットサルをプレーすることの良さを、コートの大きさやプレー人数から、考えてみました。

フットサルのプレー環境そのものが、(認知)ー(分析)ー(決断)ー(実行)のサイクルに大きな影響を与えていることが、伝わっていれば嬉しいです。

他にも、フットサルをプレーすることでサッカーに生かせるところがありそうなので、また整理していきたいと思います。



日本がW杯で優勝する。みんなで観る。

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最後まで、読んでいただき、本当にありがとうございました。
















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