生活の質を上げようとしたら心が折れました
こんにちは、亀山真一です。
歩いて通勤を始めて2ヶ月ほど、だいぶ慣れてきて今度は乗り換えルートを短縮したくなりました。つまり、遠回りになりがちなエレベーターではなくエスカレーターを使いたい!
杖を使ったエスカレーターの利用方法は学生の頃に教わっておりました。基本は乗る時も降りる時も健脚(僕の場合は左足)から前に出します。
ただ、通勤客で混雑する地下鉄の駅は少々危険なので前以て近所で練習しました。焦ってつんのめったり乗るまでに何段か見送ってしまったりということがあったため、駅では後ろに人がいないことを確認し物理的にも心理的にもゆとりを得る必要があります。
満を持して最短ルートで乗り換えたところ、いつもより一本早い電車で帰ることができました。逆に5分10分残業しても、いつもの電車で帰れそうです。やったー!
しかし、喜んだのも束の間。
気付くと過去の手術の傷が、かさぶたが捲れて絆創膏では心許ない感じになっていたのです。
装具のせい……ではないよね? さすがに違うよね!?
慌てて病院に電話しましたが、こういう時予約センターでは埒があきません。別の科にかかる日に形成外科のナースステーションに駆け込みました。
なんとか診てもらえましたが、処置枠の若手ドクターは僕がどれだけこの傷に悩まされてきたのか知りません。8年前、同じような症状から皮膚移植が必要になってしまった身としては、本当に怖かったんです。
「今、軟膏は何使ってましたっけ?」
「ヒルドイドです」
「……だけ?」
「だって傷口こんなになってなかったんですよ。ゲンタシンの残りもありますけど、もう使わなくていいと」
「そうですね、ゲンタシンはいらないです」
ヒルドイドは医師の処方がないとなかなか手に入らない高品質の保湿クリームです。薬効成分は特にありません。
ゲンタシンは使ったことがある方も結構いると思います。いわゆる抗生物質です。
「じゃあ、痛かったらやめるんで」
ドクターは医療用のハサミとピンセットで傷口の汚れを落としにかかります。めちゃくちゃ痛いですが、いくら悲鳴をあげてもやめてくれないと分かっている僕は深呼吸しながら膝頭をさすり続けます。
結局、処方されたのはイソジン系の軟膏でした。
「毎晩ちゃんと傷口きれいに洗ってくださいね」
「じゃあキシロカインゼリーも出してください!」
「……分かりました」
キシロカインは塗るだけで使える麻酔薬で、傷口をゴシゴシ洗わなければいけない時にオススメです。
中学の頃から10年お世話になった以前の担当医は「できるだけ痛くないように」と色々気を使ってくれましたが、今はこちらから要求しなければ生活の質は上がりません。
「何本出します? 3本で足りますか?」
「……次の予約いつですか?」
「ああ、そっか。軟膏が効いてるか見たいので一週間後でいいですか?」
「なら、はい。大丈夫です」
診察室を出る頃には憔悴しきっておりました。しかも他の科のはしごを終えて帰ったら……薬局にキシロカインが置いてない!?
あいつ重宝する割に滅多なことでは処方されないので、よく取り寄せになるんですよね。その日の夜は完全に心が折れた状態でそっと傷口を洗いました。早く治ることを願っています。
もう一つ、夏休みに近所の眼科へ行った話をしましょう。
僕が職場で音声の文字起こしをしていることは度々noteに書いています。
眼鏡にマスクにヘッドフォンは、文字通り耳が痛いのでデスクワークを何故か裸眼で行ってました。
そこでふと、コンタクトレンズを買おうと思い立ったのです。
ずっと怖くて敬遠していたけれど、眼科勤めの母に後押しされてコンタクトレンズショップへ。そして提携の眼科で視力検査と医師の診察を受け、いざ試着!
……30分ほど格闘して、心が折れました。
同じタイミングで視力検査をしていた小学生が3秒で装着してみせた隣で、僕はケースからレンズを取り出すことすらもたついていました。趣味手芸の時もあったのに、いつの間にこんな不器用になっちまったんでしょう。
「目はちゃんと開いてるので、あとはレンズが乗るまで瞬きを我慢してください」
無理だよ、目薬だって差す瞬間に目を瞑っちゃうのに……。
「最初は上手くいかない人も多いから大丈夫ですよ」
看護師さんが目一杯フォローしてくれましたが、物理的刺激のせいで涙が止まりませんでした。
ちなみに眼科勤めの母によると、こういう光景はホントにあるあるだそうです。
「兄妹でコンタクト作りにくると、だいたい妹の方はさっと着けちゃって、お兄ちゃんの方は『また来週練習しようか』ってなるんだよね」
さて、また来週挑戦できるほど、僕のメンタルは回復してくれるでしょうか……?