オチの一瞬
こんにちは、亀山真一です。
昔の課題シナリオ7つ目のお題は「ケンカ」です。今回はほんの少し、けれども確実にラストを変えました。リフレインだけではショートストーリーとしては弱いので最後のシーンのト書きで一瞬の含みを持たせています。
それより前のシーンだって直してはいるんですが、シンプルに読みやすくするためのものなので「変えた」とは違うんですよね。ふむ。
ところで、僕が一度だけ友人に手をあげたことがあるという話は、noteにも書いた気がしたので探してみました。僕じゃなくて美鶴さんの話になっていました。(中の人は同じだけど)
『知らない』
乾寛太(19)大学生
松笠類(20)大学生
坂崎令菜(22)寛太の元彼女
〇道端(夕)
乾寛太(19)と坂崎令菜(22)が立っている。令菜が寛太の頬を平手打ちする。
令菜「もう知らない」
走り去る令菜。呆然と後ろ姿を見つめている寛太。
〇教室(昼)
閑散とした大学の教室。窓際の席に松笠類(20)と寛太が座っている。類は菓子パンを頬張り、寛太の前にはほとんど手を付けていない弁当が広げられている。
寛太「というわけ」
類「で、振られちゃいましたと」
寛太「え、うん……まあね」
類はお茶を飲んで溜め息をつく。
類「あんたも続かないね」
寛太「何だよ、偉そうに。お前は彼氏いたことすらないだろう」
類「ないけどさ、あたしの方が年上だしアドバイスできることはあるかなって」
寛太「いや、年上って三ヶ月じゃん」
類「まあ、そうだけどさ」
類は菓子パンの袋を丁寧にたたんでいる。
類「女の子は大事にしなよ。年上だからって甘えたい時もあるでしょう」
寛太「ホントさっきから何なの?」
類「何って、失恋の話を聞かせるってそういうことでしょ。あたしに相談したかったんじゃないの?」
寛太「別に……」
類はいきなり語調を強める。
類「何? せっかく人が心配して言ってやってるのに」
寛太「は?」
類「もう知らない!」
類は立ち上がると、寛太に平手打ち。
〇道端(夕)
令菜が寛太に平手打ち。
令菜「もう知らない」
〇教室(昼)
類はニヤリと笑うと、颯爽と教室から出ていく。呆然と寛太はドアの方を見つめている。
寛太「え、松笠……? 松笠、ちょっと」
昼食や荷物を放置したまま、寛太は類を追って出ていく。