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石川中央都市圏、地域公共交通 リ・デザインのススメ

金沢市が抱える様々な問題はマイカーが大きく関わっている。
その解決策、将来の交通システムをを空想し紹介する。


公共交通とマイカーの上手な役割分担

スマートシティ、ウォーカブルシティを目指すために金沢市に流入する自家用車を減らし新交通システムを軸にした公共交通を再構築する必要がある。

金沢市では道路空間に自家用車が集中し歩行者、自転車のための空間が十分に確保出来ない問題を克服するための交通まちづくりが進められている。

金沢市 都市政策局 交通政策課 制作「金沢の交通まちづくり」より引用
「第三次金沢交通戦略」より引用

渋滞の激しい道路で拡幅工事を行ったとしても渋滞が理由で公共交通を利用していたユーザーがマイカーに転移し新たな需要が生まれることで渋滞がまた再発してしまい、根本的な改善にならないと叫ばれていることから金沢市では郊外に設けられたモビリティハブで自家用車から公共交通へのスムーズな乗り換えを行うことでマチナカでの渋滞が大幅に改善されバスの大幅な遅延等が改善することから公共交通サービスの改善、ウォーカブルシティの観点から歩道の拡幅、自転車専用道の設置が可能になってくることが分かる。

石川中央都市圏の将来の交通システムを空想してみた。

以下に筆者が拙作で恐縮だが簡単に金沢都市圏(石川中央都市圏)の将来の交通システムを空想したので紹介する。

マチナカの渋滞改善の為、金沢市街地に入らずに富山方面、福井方面間を往来できるバイパス道、「金沢外環状道路」そのおかげで渋滞も軽減されたのだが、本来であればその道路を利用して金沢のマチナカにマイカーで入ることは想定されていないはずなのにそれがところどころで起き、一部で渋滞をさらなる渋滞を巻き起こしている。
そのひとつが山側環状の交差点「窪三丁目」から泉野三丁目を経て、広小路、片町に抜けるルートだ。
その道路に設けられているバス専用レーンはマイカーで混雑してしまいバスが大幅な遅延に悩まされてしまっている。

この状況からして自家用車が多数往来できる性能を持ったカツ市街地中心部からやや離れた外環状道路周辺にモビリティハブを整備するのがよろしいだろう。

モビリティハブ設置案

モビリティハブ設置案①南部車庫
山側環状道路沿道には北陸鉄道バスの大規模基地「南部車庫」が立地しており、そこを行先に設定されたバスも現時点で多く運行されていることから南部車庫にモビリティハブを設置するのもいいと思う。

モビリティハブ設置案②四十万駅
南部車庫からもう少し先に行けば北陸鉄道石川線四十万駅が隣接している。野町から接続バス「シティライナー」でマチナカにアクセスできる。
また将来的にLRTが新交通システムに選定されればマチナカ、金沢駅、県庁、金沢港に乗換なしで、石川線のIR線金沢駅乗り入れが実施されれば金沢駅に乗換なしでアクセスできる。
これらのことからいずれにしてもニーズは高いと思う。
更にバス運転手の限られたリソースの最適化、石川線利用者低迷の解決打になりえると考えられるが駅の周りは住宅地になっており大規模な駐車場建設は難しい。

モビリティハブ設置案③森本駅
山側環状と高速道路の結節点、森本インターチェンジから車で5分ほど、海側環状の終着点と国道8号線から車で3分ほどという森本駅がもつ立地の良さを活かして大型の駐車場を備えた大規模なモビリティハブを設置してはどうか。
能登、富山方面から流入するマイカーユーザーの利用が見込める。

モビリティハブ設置案④加賀笠間駅
国道8号から車で5分ほどという加賀笠間駅の立地の良さを活かして大型の駐車場を備えた大規模なモビリティハブを設置してはどうか。
南加賀、福井方面から流入するマイカーユーザーの利用が見込める。

モビリティハブ設置案④内灘駅
のと里山海道の起点から車で4分という内灘駅の立地の良さを活かして内灘駅にモビリティハブを設置してはどうか。
能登方面からの利用が見込める。

モビリティハブ設置案⑤大河端駅
海側環状に隣接しのと里山海道の起点から5分という大河端駅の立地の良さを活かしてモビリティハブを設置してはどうか。
浅野川の対岸は宅地になっていないため比較的土地の取得が容易で大型のモビリティハブも建設可能と考える。

モビリティハブ設置案⑥金石バスターミナル
現在設置されているバスターミナルの機能を強化して駐車場を設けてはどうか。

モビリティハブ設置案⑦大桑付近
小立野通りを基幹バスルートと考え、大桑、土清水、田上、もりの里のいずれかに設置するのはどうか。

人口15万人以下の都市でも持続可能な新交通体系、エコシステム

いまこのような都市は空気輸送と呼ばれるようなほぼ乗客を乗せていないもしくは誰も人を乗せていない一般路線バスが補助金を元に多く走っている。
またコミュニティバスも同じことが言え乗客の減少の結果今の本数の極端な少なさが利便性悪化を引き起こしている。

その結果どのような都市が形成されたか説明すると駅前は過去の栄華を残した人通りの少ないシャッター街が軒を連ね駅の利用者はほぼ学生と高齢者だ。一方国道沿いのロードサイド店舗、郊外には「イオン」や「コストコ」といった大型商業施設や家電量販店で賑わいを見せている。

そのような都市がいかなる対策を取らずこのような車社会が深刻化した場合どのような悪影響が出るか紹介する

地域交通が弱体化しロードサイド店舗が賑わう車社会で喜んで運転免許を返納する市民は多くないだろう。
運転免許を持ち続け運転を続けた場合、交通事故の増加。
運転免許を返納した場合は交通弱者の増加となる。
交通の便が悪いことから車離れが進行した若者の人口流出が高齢化に拍車をかけ人口減少が更に進むだろう。
人口減少の結果交通弱者の増加、深刻化のみならず大型商業施設撤退に繋がる。
その結果、高齢化が進み交通弱者が増え商業施設が少ない都市が出来上がるのだ。
いま北海道にはこのような都市が多く存在する。

ここで提案したいのはこのような都市ではバスではなく「のるーと」のようなAIデマンドバスやヘルシンキ市のクッツプラス、willer社が提供する「mobi」のようなラストワンマイル移動サービスを提供する相乗り交通や免許所持率が高い北陸地方という特性から、利用可能な人口母数が多い乗り捨て型カーシェアリングサービスも基本交通サービスと位置づけ、駅から高校など多くの利用者がいる路線のみ一般路線バスを運行すべきではないか。
これらの新交通サービスを運転すればバスの「空気輸送」を無くすことができ、mobiであれば本数、時刻表に縛られないマイカーで移動するような交通サービスを提供できる。
クッツプラスの前例のようにデマンド交通の利用者が増加し、既存のミニバスの台数で賄い切れなくなりこれ以上台数を増やしたら赤字になってしまうようなフェーズに入ったら利用者の多い箇所にモビリティハブを設け、デマンド交通の予約数が多ければ運行される「デマンド基幹バス」なるものを整備すればよろしいと考える。
つまるところ、これも基幹バスとフィーダーバスのシステムを作る新たな視点からのアプローチといえよう。
長距離は鉄道、中・近距離は基幹バス、デマンド交通やシェアサイクルといった公共交通の再編は必須と言えるだろう。

また駅を中心としたまちづくりもコンパクトシティには大切な要素だ。
人口が集中する地域では元から鉄道が多くの人に利用され自然と駅周辺にスーパーなどの生活必需品を取り扱う店舗、行政施設が置かれてきた。
地方都市でこれを目指すにはこのような都市とは逆から攻めていかなければいけないと考える。
つまりマイカーから駅利用、そして鉄道利用といったフローだ。
まず行政施設を駅周辺に設置、ロータリーや駐車場の整備、待合施設などの駅の設備強化の下準備
次にパークアンドライドの推進と利用者向けの大胆な割引施策、鉄道と駅のイベント開催や目的地となる県民向けの都市の空洞化が進んでいる金沢のマチナカ往来に向けたブラッシュアップ。
そして公共交通の再編が必要だと考える。

そのような施策を打って、駅前やマチナカに人通りが増えればウォーカブルシティ、いまのロードサイド型店舗が栄える都市が欠けている大型商業施設以外の「楽しい場所」ができる。
現に大型商業施設は出費も増えるし、そこまで楽しいとは思わない人、世代が存在し「地方=つまらない」と言われる由縁であろう。

具体的な鉄道利用の推進のためのブラッシュアップ施策として国道沿いといった渋滞が酷い路線に向けて渋滞がなく速く目的地へ移動できる鉄道の強みをアピールした広告の掲示、パークアンドライドの周知、北陸三県の事情にあったMaaSの隣県との共同開発が思いつく。

ここでいう事情にあったMaaSとは自動車所有率が高い北陸地方でもマイカーユーザーを含む多くの人に利用されるようなもので従来の公共交通利用者からの支持だけを得るものではない、大きな存在意義を持つものと定義する。
まず主な機能と言えるだろう経路検索だが、デマンド交通、乗り捨て型カーシェア、バス、鉄道等をマイナンバーカードとの連携を実施し利用者の免許の所持状況、年齢、持病の情報を取得し、モビリティオペレーターから提案された経路を一括で予約&購入できることが求められる。
また、在住している市内の交通機関を乗り放題にするようなサブスクリプションプランや「tabiwa by WESTER」などのアプリケーションで提供されているような企画切符が用意されているものである。


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