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ジンギスカンの添え物の玉ねぎが美味い!

札幌に一人で出張に行った。
食の宝庫で何を食べるかと考えると、やはり最初にジンギスカンを思い浮かべる。

やはり初日の夜はジンギスカンだ。

息子に勧められて「だるま」という店を訪れた。
午後6時前に店先に行くと、平日にも関わらず、お客さんが並んでいた。

カウンターだけの小さな店だが、店内はお客さんで溢れかえっていて、店員さんも所狭しと忙しそうにしていた。

ぼくはその列に並んで気が付いたのだが、皆さんが二人以上の団体さんで、一人で並んでいたのはぼくだけ。

だから優先的にカウンターに座らせてもらった。

注文は店員さんに相談して、ロースとマトンにした。

ビールも注文した。
お肉が出されるまで、空のまま熱せられているジンギスカン鍋を見ながらチビチビとビールを飲んでいた。 

すると「野菜を入れていいですか?」と突然店員さんに聞かれた。

店員さんは忙しそうだったので、説明してもらえる雰囲気ではなかったので、ぼくは訳もわからず「はい」と答えてしまった。

店員さんがジンギスカン鍋に投入したのは、大量の玉ねぎと長ネギだった。

ぼくがこの世で最も嫌いなものがジンギスカン鍋を埋め尽くしたのである。

"これはたいへんなことになったぞ"
ぼくは戦慄した。

カレーライスやシチューに入っていて、形がはっきりしていない玉ねぎですら、ぼくは食べられない。

お鍋などに入っているような長ネギは、もう何十年も口の中に入れたことがない。

やがて肉がやってきたのだが、ジンギスカン鍋が玉ねぎでいっぱいになっていて、肉を焼くスペースがない。
ぼくは意を決して玉ねぎに箸を伸ばした。

鼻を摘んで口の中に入れ、噛み砕いてみた。
"美味い!"
あんなに大嫌いだった玉ねぎが美味しい。

"なんだ、これは!"
玉ねぎを美味しいと思ったのは、生まれて初めてだ。

それからぼくはジンギスカン鍋の中の玉ねぎと長ネギをたべまくった。
何か一生分の玉ねぎを食べた気がする。

さすが食の宝庫だ。
大嫌いだった玉ねぎですら、ぼくを魅了してしまった。

肝心のお肉のことだが、羊の肉は牛と比べて油っぽくない。
牛の赤身肉のようなイメージだ。

最近は歳のせいか焼肉を食べると胃がもたれるが、ジンギスカンならちょうどいい。

おじさんにはもってこいの焼肉だ。

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