電車の揺れはぼくを不幸へと誘う
飲み会の後は、なるべく一人で電車に乗らない方がいい。
あの揺れが心地良過ぎて、強烈な眠気を誘ってくる。
もし眠ってしまえば、その後はたいへんなことになってしまうことは誰もが想像できる。
ある日の飲み会の後、一人で電車に乗ることになってしまった。
お酒がぼくの脳の思考をすでにシャットダウンしている。
電車に乗ってシートに座った瞬間から、睡魔が脳を支配してくる。
何としても睡魔に勝たなければならない。
そう言ってはみるものの、相手はかなりの強敵だ。
そう簡単に打ち負かすことはできない。
思考停止状態の脳は、音楽を聴くとか、立ち上がって伸びをするとか、何らかの防衛策を考えようとはしてくれない。
ぼくの味方は精神力だけ。
ぼくは何としても負けまいとひたすら争い続ける。
敗北は帰宅後の睡眠不足と無駄なタクシー代の出費を余儀なくされる。
何よりも奥さんの怒りだけは買いたくない。
抗って、抗った末に、降車駅のアナウンスが鳴り響く。
"あぁ助かったぁ"
ぼくの勝利だ、普通に帰宅できる。
この安堵感は何にも喩え難い。
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