アリエリー教授の「行動経済学」入門-お金篇-を読んで
ハイライトをメモ
お金はアメリカ人の離婚原因の第一位であり、ストレスの原因の第一位だ 。
お金の悩みがあると 、あらゆる問題解決能力が目に見えて落ちる。
お金のしくみについて私たちが意識的に理解していることと、実際にお金を使う方法とのギャップについて合理的に考え 、使う方法を説明する 。
一般的な 「お金 」のことはよくわかっていると思っていても 、お金とは本当はなんなのか 、どんな利点があるのか 、
そしてどんな思いがけない影響をおよぼすのかを 、私たちはよく理解していない。
では 、お金とはいったいなんだろう?
また私たちにとっての利点や影響は?
お金は価値を表象する 。
お金自体に価値はなく 、それを使って手に入れられるものの価値を表しているにすぎない 。
汎用性 :お金はほとんどのものと交換できる 。
分割可能性 :どんな大きさのほぼどんなものとも交換できる 。
代替可能性 :お金は同等の価値を持つどんなお金とも交換できるから 、特定のお金をもっておく必要がない 。どこでどうやって手に入れたものであれ 、どの一〇ドル紙幣にもほかの一〇ドル紙幣と同じ価値がある 。
貯蔵可能性 :今もこの先も 、いつでも使うことができる 。
いいかえれば 、さまざまな金額のお金を使って 、いつでも (ほぼ )すべてのものを買うことができる 。
このことが 、お金に最後の、そしてもっとも重要な特徴を授けている 。
これらの特徴をすべて考え合わせると 、お金がなければ私たちの現代生活が成り立たないことは明らかだ 。
あなたは毎週月曜日に五〇〇ドル与えられ 、一週間そのお金だけでやりくりするものとしよう。
週初めは自分の決定が未来におよぼす影響なんて考えない 。
夕飯を買い 、一杯やり 、目をつけていた素敵なシャツを買うとき 、自分が後々なにをあきらめることになることを自覚していない。
週末になって、週初めの出費が今の残金に影響をおよぼしていることを痛感する。
数年前 、研究助手とトヨタの販売代理店に行って 、お客に 「新車を買ったらなにをあきらめることになりますか 」と聞いて回った 。
ほとんどだれも答えられなかった。
その夏のスペイン旅行と翌年のハワイ旅行をあきらめることになるとか 、今後数年間は毎月二回のすてきなレストランでの外食を我慢しなくてはとか 、大学のローンを五年も余分に払うことになる、などと答えたのはほんの数人だった 。
ほとんどの人は自分が今使おうとしているそのお金を使わずに持っておいたら、
この先の一定期間にわたって、もっと色々な経験やモノを獲得できるということを考えられないか 、考えたがらないようだった 。
今の楽しいことにばかり目を向け、嫌なことから目を背けて考えないようにするのが、人間の脳みそだ。
また、人はすべてが相対的であることを忘れる。
六〇ドルのワイシャツか 、定価一〇〇ドルから 「おつとめ品 !四割引 !わずか六〇ドル ! 」に値引きされた 、まったく同じシャツがあったとき、あなたならどちらを買うだろうか。
本来はどっちを買おうが関係ないはずだ。
値札にどんな文字や記号が書かれていようが 、六〇ドルのシャツは六〇ドルのシャツだ 。
たしかにそうだが 、相対性が心の奥深くに作用するせいで 、二枚のシャツは同等に見えない。
お勤め品だったから、などと言って、本当に欲しいかどうかではなく買ってしまう。
同じお金を払うにしても、人間は心理に左右されることが多々あることが事実だ。
人間の脳みそはよく出来ている。
その仕組みを理解し、惑わされないよう、自分の出費について今一度見直しておこう。