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ホンダのオートバイ米市場参入からみる企業行動理論

こんにちは。

年末から下記、「世界標準の経営理論」を読んでいました。(分厚かった)

その中で、出てきた『企業行動理論』がイノベーションや組織変化など、これからの日本に必要な要素についての基礎となる理論であり、学ぶことが多かったので素人なりにポイントをnoteにまとめてみました。

まずこの企業行動理論には従来の経済学の考えへの疑問が根底となっています。

一般的な経済学における企業の意思決定の仮定は簡単に書くと下記のようなもの

合理性・認知の無限性・最大化・プロセスを重視しない

そう、これらはあたかも人間が常に選択肢を事前にすべて把握し、その中から常に合理的でビジネス上、最適な解を1つに絞り込めると仮定している。

しかし実際ににはこれは不可能であるし、その疑問がこの企業行動理論の出発点になっているのだ。

そこで、、

限定された合理性

「人は合理的に意思決定をするが、しかしその認知力・情報処理力には限界がある」これが企業行動理論の大前提になる。

人や組織は認知に限界があること、認知に限界があるからこそ、選択時は認知できる選択肢の中からとりあえず満足できるものを選ぶ、そして行動を起こすことで新たに見えてくる一連のプロセスを重視する。

事例) 米市場におけるホンダのオートバイ市場参入

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今回の書籍に紹介のあった有名なホンダの事例

ホンダは1960年代にアメリカのオートバイ市場に参入し、50ccの小型バイクで他メーカーを駆逐。米国市場全体の66%のシェアを獲得するに至りました。

これに対して世界的コンサルのBCG(ボストンコンサルティンググループ)は、

「ホンダは、日本で大量生産を行ってスケールメリットを実現し、コスト・リーダー戦略を追求し、米国の中級階級層に低価格の小型オートバイという新しい市場セグメントを提供した」と分析し結論付けました。

いかにもコンサルらしい分析。

しかし、実際にどうだったかというと、、当時のホンダ幹部のインタビューでは、

「実際には当時、米国で何かとりあえずやってみようという以外に、特に戦略はありませんでした」とのこと。(正直すぎるし、どこまで本当かは分かりませんが)

当初はホンダは米市場で普及していた大型バイクを狙っていたが、米国での長距離・スピードに耐えきれないという事例が頻発した。一方で、日本から持ってきた小型バイクを現地の人が乗り回している姿を多く目にした。

そこで次第に小型バイクに注目し発売してみたところ、大ヒットになったのだ。

そう、実際にはBCGの分析とは対照的であったのだ。

行動(米市場進出)したからこそ新たな選択肢が見え始めたといえます。

そこで以下の2つの重要な概念が登場する

サーチ:もともと認知が限られている組織が自身の認知の範囲を広げ、新たに選択肢を探す行動。一般に組織は現状に対する満足度が低いほど、サーチを活発に行う。
アスピレーション:自社の将来の目標水準、目線の高さ。経営学では、自社の過去の業績が良かったり、同業他社の業績がいいと、「自分たちはもっとできるはず」と将来への目線が高くなる。

そろそろまとまりがつかなくなりそうなので、まとめに入っていきたいと思いますが、重要なことは、

組織がサーチ行動を取れば、認知が広がり選択肢が増える。

だから、考えることももちろん重要だが、行動すること。が新たな可能性を広げることに繋がるのだ。

そして、ポイントはこのサーチ行動は時間もコストもかかる為、現状への満足度が高まるとサーチをしなくなるということだ。

うまくいっている時に、いかに目線を高く保てるか

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現状に満足するとサーチをしなくなる。だからこそ常にアスピレーション(目線)を高く保っていけるか。これは企業にも個人にも当てはまる学びだと感じました。

ホンダも現状に満足せず、米市場進出というサーチを行ったからこそ小型バイクという可能性・選択肢・成功を手に入れることができたのです。

そして、とはいっても中々うまくいっている時に目線を高く保つのは難しいが、本書では下記のような有名経営者の言葉も紹介されていました。

元セブン&アイ・ホールディングス会長鈴木敏文氏*日経ビジネスより

成功体験が失敗のもととなる。成功はそのとき上手くいっているということであり、時代が変われば同じ手法ではダメだということ

クロネコヤマト生みの親 小倉昌男氏*小倉昌男 経営学より

経営者の過去の成功体験が、時代が変わって新しい仕事を始める時に大きな妨げになる。

サントリーホールディングス社長 新浪剛史氏(就任会見)*日本経済新聞電子版2014年7月1日

佐治氏(前任)の持っている夢はでかい。その期待に応えられるか、大きな夢を実現できるか緊張している。ただ目線をあげないと企業は成長でいない。

サイバーエージェント藤田晋氏*日本経済新聞電子版2014年5月28日

三木谷さんや堀江さん、熊谷さんたちと昔から親しくさせていただいていますが、皆、当時から目線や意識が高かった。そういう方々と付き合っていると、早い話「自分はまだまだ」と感じ、満足した気分にさせてもらえないのです。

このように一見精神論のような「目線の高さ」「意識」について、なぜそれが重要なのかを解き明かす経営学の理論は組織や自分自身の行動を考えるうえでもとても興味深いものでした。

そして現代はソーシャルツールなどで簡単に様々な人の考えに触れることができ、個人が目線を上げるには良い環境ではないかとも思いました。

経済学や経営学が専門の方にとっては、ツッコミどころの多いnoteかもしれませんが、私なりに思ったことを記載させて頂きました。引き続き経営学は学んでいきたいと思います。ありがとうございました。

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