第一回チキチキ茅原実里カバー選手権「みちしるべ」
茅原実里の歌声はとてもクセがある。どういうわけか、他のアーティストのカバーがしっくりこない印象がある。
それを確かめるには、その逆で、茅原実里をカバーした楽曲を聴くのが一番だ。
どういうわけか、みのりんカバーはここ1年で激増している。それをまとめるだけでも価値があるし、それらから結論が引き出せるなら、さらによい。
みちしるべ9選
【Vocal Cover】みちしるべ - 茅原実里【原曲キー】V系Vocalが歌ってみた「TVアニメ ヴァイオレット・エヴァーガーデン」エンディングテーマ
衝撃のカバー。ヴィジュアル系ロックバンド・摩天楼オペラの苑さんが、そのまんま歌い尽くす。超ハイトーンとビブラートは、聴けば一発で分かる。
あまりにも苑さんになっていて、茅原実里本人の柔らかさや細さを全部塗りつぶす歌唱ではある。しかし本人に寄せてもどうしようもないのが、メタルだ。ここまで歌いきるのも、立派な解の一つ。要するに「喝采と激情のみちしるべ」だ。
Violet Evergarden Ending - Michishirube (Cover ESPAÑOL FULL) [Versión 2021] - Iris
「みちしるべ」のスペイン語カバー。譜割りがとてもよく、言葉がとても短く訳しにくい日本語が原曲であること自体を忘れてしまう出来映え。歌唱者のPamera Calvoさんが自ら演じるPVもよく、現代版ヴァイオレット・エヴァーガーデンの様相を呈している。
☾ みちしるべ / 茅原実里 covered by Ellise 【歌ってみた】
台湾のVTuber・Elliseさんの、くっきりとしつつ繊細な歌声が輝く。バックトラックはところどころ微妙だが、なんとなくだけど、茅原実里を理解している感じの響きがあり、好き。どこがいいというより、全体として好き。
ヴァイオレットエヴァーガーデン 「みちしるべ」 / 茅原実里 ‐cover‐【マサユメ】
ユニット・マサユメのカバー。ピアノの印象が強い楽曲が、しっかりフォークに変わる。ヴォーカルのゆめこさんのソプラノも綺麗で、癒やし成分があふれている。ほかの人とは、ちょっと声の鳴らし方が違う。
みちしるべ - 茅原実里 / RiKu.【Cover】 アニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」京都アニメーション
ロックバンド・AINSELのヴォーカリスト・Riku.さんの歌唱。苑さんとみのりんの中間を行くような感じで、エレキギターのようなビブラートが耳に残る。後半になるほどパワーが出てくる、勇気をもらう歌声。なるほどこの解釈が正しいかもしれない、と本気で思う。
Violet Evergarden - Ending (Classical Guitar Cover)
アルゼンチンのミュージシャン・Tuviさんのクラシックギター独奏。言葉にはしづらいのだが、なるほど、と聞き入ってしまう。
〖AirahTea〗Violet Evergarden ED - Michishirube みちしるべ (Piano Ver.) (ENGLISH Cover)
カナダのAirahTeaさんによるカバー。ピアノ伴奏と一緒に聴く楽曲。本人の透明感ある歌声もさることながら、韻を踏んだ英訳もよい。
「Violet Evergarden ED - みちしるべ (이정표)」 │Cover by Darlim&Hamabal
韓国のユニット、Darlim&Hamabalのカバー。ここまではアレンジ版を紹介してきたが、こちらは王道を往く真っ向勝負。音域や歌い方もかなり本人に近く、透き通ったヴォーカルは流石。
【男性2人で歌ってみた】みちしるべ/茅原実里(cover)
一番びっくりして、一番感動したカバー。はなロゼさんの、男声ツインヴォーカルカバー。コーラスラインも、アコギの軽やかなアレンジも、背景に果てしなく広がる雪景色も、みんな好き。再生数が少なすぎるのだけが不満。もっと評価されるべき!!!生で聴きたい!!!
なんとなく思ったこと
茅原実里といえば「Paradise Lost」かと思っていたが、案外そうでもない。Netflixで視聴できる「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の主題歌は、認知度が高いのだ。そして、もともとの音色が少なめだからこそ、アレンジの多様性が群を抜いて高い。これが「Paradise Lost」だと、原曲のデジタル感とストリングスの前を踏襲して、同じようなフレーズを熱心に打ち込まざるを得なくなる。アレンジの幅は、むしろ狭くなる。
「みちしるべ」が、ここまで幅の広いアレンジを許容するとは思わなかった。これは、茅原実里の原曲だけを聴いていては分からない気づき。