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それぞれの生き方-『虎に翼』

『虎に翼』の放送が終了しました。

脚本家の吉田恵里香さんが、”寅子とその家族と同志たちの物語”と書いていらっしゃるのをネットニュースで拝見しました。そのとおりで、主人公の寅子さんだけではなく、家族や、大学の同期生の人生も描いていましたね。職場で出会うひとたちの人生観も垣間見て取れました。

半年間欠かさず観ていましたけど、振り返ると、主人公の寅子さんのみならず、登場するひとたちのさまざまな生き方を描いていて、その生き方に決して否をとなえない。そこがよかったです。また、主人公のいろいろな面を臆することなく浮かび上がらせていたので、それがひととしての魅力として伝わってきました。

寅子さんは、その肩書きの多くに「初」がつく人。法曹としてひとを助けていくキャリアを積みあげていく一方で、幼い娘の「いい子を演じている姿」に気がつかない、気がつこうとしない。そのまま時が過ぎ、ある日、花江さんにバッチリ言われてしまう。花江さんは同級生であり義理の姉。

寅子さんが素晴らしいのは、言われたことを受け入れ、状況を改善していこうとしていくところでした。決してあきらめない。案の定、娘の優未ちゃんとの距離はなかなか縮まらなかったですが、最終週では優未ちゃんから「お母さんの子育ては間違ってないよ!」と言われるまでになっていました。そう、親自身は自分が親としてどうなのかは判断できません。こどもが親をどう思っているか、なのです。

花江さんは、家庭を築きあげたひとでした。家族がみな健やかに毎日を過ごせるように細かなところまで気を配っていました。かと思うと、「お母さんみたくできないわー」と言って、できることできないことの取捨選択を宣言してしまうおおらかなところも。いろいろ思案したゆえのことですが。
一家に花江さんみたいなひとがいるだけで、家族はどれだけ救われることでしょう。これ、大切なことだと思うのです。最終回では「花江はすっかり猪爪家の重鎮です」ってナレーションがありましたね!

そして優未ちゃん。大学院の博士課程を中退して、自分の好きなこと、やりたいことをやっていく。「好きなことでは生きていけないよ」とは今も昔もよく言われることですが、彼女はそれを貫いていく。寅子さんも娘が選択している生き方を応援する、でも、親としては心配という気持ちも自分で気づいている。

寅子さんの再婚相手航一さんの息子、朋一さんも、裁判官をやめて家具職人になる。視聴している側も想像がつかないほどの方向転換でした。そのとき、父親の航一さんがかけた言葉が「法律に出会った時とおなじくらい、(家具を作ることに)ワクワクしているのか」。心配な気持ちもあるでしょう。でも、頭ごなしに否定することなく応援する。

いいドラマでした♪

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