その先をみてみたいから弾きたい、と思う
来月初日、コンサートを開きます。ちょうど2週間後です。
昨秋、noteに「ステージをひかえた日々」という記事をいくつか綴りました。今年もなにか綴ろうかな、と思っているうちに、今になってしまいました!
今回、ショパンの「幻想ポロネーズ」をお届けします。ショパンのポロネーズというと「英雄ポロネーズ」が圧倒的に有名です。曲名を知らなくても、メロディを耳にすれば「ああ、この曲」とお気づきになると思います。『題名のない音楽会』の放映中に流れる出光興産さんのCMで、ホールでピアニストが一節弾いていますよね、あの曲です。
「英雄ポロネーズ」は、ショパンの円熟期、というか、彼は39歳で天国に旅立っているのでほんとに短い作曲家生活なのですが、初期、才能の円熟期、才能の昇華期と分けてみると円熟期に作曲された曲です。
「幻想ポロネーズ」は、体調が悪いなか才能が高次元に昇華していくような時期、なので私はここで昇華期とここで表現してみたのですが、その時期に作られた曲です。よく「バルカローレ(舟歌)」と並んで晩年の傑作と称されます。
今回のコンサートで「幻想ポロネーズ」を選曲するのは、ピアノフレンドのおひとりからリクエストをいただいたことがきっかけです。大曲なので、ステージでお届けできるかどうか瞬時思案したのですが、素晴らしい曲であることはもちろん凄みがある曲なので、”覚悟”を決めました!そう、いま、自身で書いていてわかったのですが「凄み」がある曲なのです。
はじめてステージで弾いたのは15年以上前で、7年前にも一度ひとまえで弾いたことがあります。ひとまえでの演奏は今回で3回目になりますね。
いちど仕上げた曲をまた弾くとき、いつも体験するのですが、同じ楽譜をみて同じ曲を弾いているのに、かならず新しい発見、新しい気づきに出会うのです。かならず、です。
新しく気づいたからといって、それが演奏で体現できるかというと、実は必ずしもそうではありません。いままで弾いてきたクセがあって、頭でこう弾こうと思っていても実際は別の弾きかたになってしまうことが多々あります。なので、私はいつも「上書きします」と口頭で自身に言い聞かせます。脳と手指に「こう弾こうね」とアファメーションするわけです。
大曲なので、9月ぐらいから練習を始めました。私にしては結構早い時期からの準備で「余裕、余裕!」って思っていたのですが、譜読みに1ヶ月はかかり、譜読みが終わってまたのんびりしてしまって(ほかの曲を練習していました!)、今月に入って「ひとりリハーサル」した際、穴だらけがわかって、再度、詳細な譜読みに突入💦 昨日は、文字通り、朝から晩まで曲に向かい合っていて、現在、右の前腕が筋肉疲労しています(苦笑!)。
詳細な譜読みってどんなことを指すかというと、弾いていて「なんか違うなー」と思って弾きかたをいくつか試したりしたり、突然スラーの意味がわかったり、ここは何を(ショパンが)伝えたいんだろうって探りながら弾いたり。そんなことをしていると1小節に10分、20分は軽く過ぎていきます。
もっと早く(詳細な譜読みを)やれよーっていつも自身で思いますが、そう、差し迫ってこないと緊迫感と集中度があがらないのも確かなことで。
ピアノにずっと向かっていて、もしかしたら自分はいわゆるオタク気質を兼ね備えているのではないか、と思いました。こうでもない、ああでもない、ってわずかな小節を何回も繰り返していますものね!なにがそこまでさせるか、なにが原動力なのかっていうと、掴めたなにかを掴めた通りに弾いたらどういう音空間になるのか、それを知りたい、体感したい、という思いなのです。そして、ステージを開会するのは、掴めたものが音色になっていくその光景をみなさまと共有したい、からなのです。
おかげさまで、昨日一日かけた譜読みで、また新たな「幻想ポロネーズ」をつかめた気がします。当日まで、進んでいきましょう!今日は前腕の休養日になってしまいましたが💦 腕の脱力が必要な「月の光」をこれから練習したいと思っています。
「幻想ポロネーズ」どんな感じになるのかな?と思っていただける方、ぜひお運びをご検討くださいませ♪