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学位授与機構

鍼灸師免許を取得する方法は
2つあります。

一つは専門学校への入学。
もう一つは鍼灸大学への入学です。
二つの違いは学費、修業年数、学歴です。

学  費:専門学校の方が安いです。
修業年数:専門学校は3年間、大学は4年間です。
学  歴:専門学校卒は専門士、大学卒は学士(鍼灸)

卒業後に就職しやすいか、初任給の違いはあるか
と聞かれると正直、大学でも専門学校でも変わらないと
と言ってもいいでしょう。

筆者は専門学校を卒業しました。
大学より修業年数が短く学費が安かったからです。

とはいえ、学位がないと
学問を修めた気にならないので
卒業後に学士を取りたいと考えた結果、
独立行政法人 大学改革支援学位授与機構に
学士取得申請をすることにしました。

独立行政法人
大学改革支援・学位授与機構は、
大学以外の機関で学位を授与すること
のできる唯一の機関です。

短期大学・高等専門学校の卒業者や
専門学校の修了者等に対し、
学士・修士・博士の学位を授与しています。


学位授与機構とは

学位授与機構では、短期大学及び高等専門学校の卒業者など、
高等教育機関において一定の学習を修め、その「まとまりのある学修」の成果をもとに、さらに大学の科目等履修生制度の利用などにおいて所定の単位を修得し、かつ機構が行う審査の結果、大学卒業者と同等以上の学力を有すると認められた方に対して、学士の学位を授与するとしてます。

この制度のメリットは、
各人の興味・関心に応じて
複数の大学で単位を修得すること。

在学年限の制約を受けることなく
自らのペースで単位修得を行うこと。

学習者ひとりひとりの
ニーズに応じた多様な学びのあり方を
支援してくれる素晴らしい制度です。

学位取得までの大まかな流れ

基礎資格を有する者の確認

単位の取得

学修成果の作成

申請

試験

機構での審査

合格後、学位取得

各項目を詳しく話していきます。

基礎資格を有する者の確認

この制度を利用するには、
下記のいずれかに該当する必要があります。

・短期大学を卒業(専門職大学の前期課程を修了した者を含む)
・高等専門学校を卒業
・一定の要件を満たす高等学校等専攻科を修了
 (高等学校、中等教育学校後期課程または特別支援学校高等部
  の専攻科を修了した者のうち,学校教育法第58条の2(同法
  第70条第1項及び第82条において準用する場合を含む。)
  の規定により大学に編入学できるもの)
・専門学校を修了
 (専修学校の専門課程を修了した者のうち,学校教育法第132
  条の規定により大学に編入学することができるもの)
・大学の学生として2年以上在学し62単位以上を修得
・専門職大学の学生として2年以上在学し62単位以上を修得
・旧国立工業教員養成所または旧国立養護教諭養成所を卒業
・外国において学校教育における14年以上の課程を修了

筆者は、鍼灸の専門学校卒業でしたので、
基礎資格を有するに該当しました。

単位の取得

基礎資格を有する者の
いずれかに該当した後、

大学の科目等履修生制度などを
利用して単位を修得します。

大学の科目等履修生制度によるほか、
機構が認定した短期大学・高等専門学校の専攻科、
大学の専攻科、大学院などでも履修することができます。

取得しなければいけない単位数は
どこを卒業したかで異なります。
第1区分、第2区分、第3区分と
基礎資格を有する者の区部が異なります。

詳しくは、『新しい学士への途』で必ず確認してください。
注意:見るだけならPDFファイルで見ることができますが、
申請する際は必ず冊子を取り寄せる必要があります。

筆者は、専門学校修了し、かつ高等学校卒業などの
大学入学資格がある
に該当。

さらに、専門学校は修業年限が3年以上、
かつ修了には2,550単位時間以上必要な課程
でしたので、
第2区分
に該当しました。

1. 第2区分は、専門学校などを卒業後1年以上
わたって授業科目を履修し、31単位以上
取得するにあたります。

2. 単位ですが、この31単位と専門学校などですでに修得した
単位と合わせて、合計62単位以上となる必要があります。

3. さらに、62単位のうち、
16単位以上専門学校などを卒業した後に、
専門科目の単位を含めて取得しなければならないとされてます。

単位取得イメージ 新しい学士への途より一部改変 

4. そして、専門科目の単位以外の単位の取得として、
専門学校ですでに取得した専門科目の単位以外の単位とあわせて
合計24単位以上となる必要があります。

単位取得イメージ 新しい学士への途より一部改変

5. さらにさらに、外国語の単位の取得として、
修得単位には、外国語の単位を必ず1単位以上含まなければ
なりません。

このように、細かい取り決めがあります。
筆者も相当迷いました。

筆者は単位取得は通信大学などで
科目履修生となり単位取得をしました。

そして、これが一番ややこしいところなのですが、
申請の際には、修得した全ての単位について、
どの単位が専門科目の単位関連科目の単位
当たるのかは各自の判断です。

筆者も最後まで単位取得ができているのか
どうかわからずじまいでした(泣)

ただ専攻の区分ごとの修得単位の審査基準は、
掲載されています。鍼灸学ですが↓

新しい学士への途より

学修成果の作成

無事に取得単位が集まれば、
次は学習成果の作成です。

専攻区分『鍼灸学』では、
学修成果をレポートで提出する必要があります。

レポートは、学位の取得を希望する人が、
選択した専攻の区分において、学士の水準の学力を
有しているかどうかを審査する資料として
提出を求められています。

そして、レポートに関しても細い設定があります。

レポートのテーマは、
審査を希望とする専攻区分の学問分野に即した内容のもの。
鍼灸学なので、鍼灸の視点でのテーマが必須
申請者自身の考察・意見を論述したもの
単なる統計のまとめなどはダメです。

レポートの内容に関しては、
詳しくは、『新しい学士への途』で
必ず確認してください。

そして、レポート枚数はA410〜17ページ分
過不足なくと指定されています。

レポートの形式も具体的に
記されているので、『新しい学士への途』で
必ず確認してください。

ちなみに手書きはダメです。
文書作成ソフト(Wordなど)の使用を指定されています。
そして生成AIを用いたレポートも却下としています。

レポートとは別に、
レポートの要旨も別途必要です。

レポートの要旨は、
A4サイズ1枚で1,000文字程度と指定されています。
様式が決まってますので、確実に守ってください。


申請

学位授与の申請は、
インターネットを利用した電子申請を行なった上で
証明書などの必要書類を郵送する必要があります。

学位授与電子申請システムに
ログインするためには、『令和○年度学位授与申請書類』
を取り寄せておく必要
があります。
必ず取り寄せておいてください。

また、基礎資格を有する者の確認で
自分が選んだ区分を証明する必要があります。

なので、卒業証明書や科目履修した単位の証明書など
全て揃えておきましょう。

筆者の場合、第2区分でしたので、
高校卒業証明書など
専門学校卒業の証明書(所定の用紙があり)
卒業学校の単位修得証明書(成績証明書)
卒業後に科目履修した単位修得証明書

が必要でした。

専門学校卒業の証明書に必要な書類も
新しい学士への途』で確認してください。
住民票なども必要です。

特に、科目履修した単位証明書は
学校によっては自分の手元に届くまで
時間がかかりますので、余裕を持ってください。

筆者は、申請の締め切り期限3日前に
卒業学校の成績証明書がないことに
気が付き大慌てで、県外の母校に取りに来ました…。
(急遽対応して頂けた事務スタッフさんに感謝です。)


電子申請が終わったら、
必要書類を集めて、書留で郵送してください。
学位審査手数料受付証明書も必要なので、
郵送前に手数料(¥32,000)も払い込む必要があります。

締め切り期日をしっかり確認してください。
4月期と10月期の年2回申請できます。

それにしても、なかなか複雑ですよ。
心が折れないようにしてくださいね。
丁寧にすればできます!

試験

申請が無事に届き、受理されれば
連絡が到着お知らせはがきが届きます。

その後、申請受理の場合は、
試験日の10日前までに受験票が届きます。

試験会場は
東京か大阪のどちらかを選べます。
4月期に申請した人は、大体試験日は6月
10月期に申請した人は、大体試験日は12月です。

申請から試験までに約2ヶ月間
あります。
しっかりと試験対策を行いまそしょう。
ちなみに過去問などありません。

鍼灸学の試験は、
小論文試験のみです。

小論文試験の時間は90分間です。
A4用紙2枚配られ、与えられた設問に
関して小論文形式で答えます。

設問は人それぞれ異なり、
大体2〜3問出るらしいです。
筆者の場合は、2問でした。

出題は全て自身の書いたレポートからです。
自分で書いたレポートだからと安心しないでください。
なかなか油断できませんよ。

試験日までに
読み込み、どんな設問がくるかを
予測し、小論文形式で答えれるようにしてください。
実際に鉛筆・シャーペンで書く練習をお勧めします。

普段文章を書いてない人は、
漢字が出てこなかったり、文章を
簡潔に明瞭に書けません。

機構での審査と合格

審査は、『修得単位』と『学習成果・試験の審査』に
ついてそれぞれ可/不可の判定を行うそうです。

両方が可で合格です。

合格の通知は、
4月期申請の場合は、9月下旬までに、
10月期申請の場合は、3月下旬までに来ます。

筆者は10月期申請で、2月下旬に
合格通知を受け取りました。

合格者には、合格の通知とともに
「学位記」が送られてきます。

分厚い書類で届いた時は
喜んで小躍りしたものです。

筆者は小論文に自身がなかったため
ずっと落ちたと思ってました(笑)

期待していないことで
良いことが起こると
人ってとても嬉しいですよね!

不合格の場合、再申請が可能です。
『修得単位』と『学習成果・試験の審査』
のいずれかが「可」と判定された人は、
判定通知日から3年以内に申請する場合は、
可と判定された審査は免除されます。

再申請の場合も、書類が必要です。
確認しておいてください。

筆者が大変だったこと

レポートのテーマ探しが大変でした。
筆者は単位を取得してもしばらく
レポートのテーマが決まらず大変でした。

レポート作りも誰も添削してくれるわけでもなく、
どこかに所属しているわけでもなかったし、
インターネット上でも鍼灸で学位申請した人の
体験談がとても少なかった
です。
これでいいのか最後までわかりませんでした。

看護学に関しては、情報がたくさんありますが、
鍼灸学の学位申請はとても少ないため参考になれば幸いです。

繰り返しますが、これは筆者の場合の話です。
参考にする場合は、必ず学位授与機構のホームページを
見て、最新の情報を確認してください

ちなみには、筆者は、R5年10月期の申請で
12月試験だったのですが、その時の受験者数は2367人でした。

その内、筆者のような短期大学、
高等専門学校卒業者及び専門学校修了者などは594人であり、
18専攻分野36専攻の区分にわたって申請があったそうです。

同じ医療系で見ると、受験者数472人で

薬科学:3人
看護学:303人
検査技術科学:7人
臨床工学:1人
放射線技術科学:14人
理学療法学:14人
作業療法学:11人
言語聴覚障害学:5人
鍼灸学:4人
口腔保健衛生学:76人
口腔保健技巧学:7人
柔道整復学:1人
栄養学:40人
となっていました。

データを見ても看護の申請者が圧倒的に多いですね。
全体の64%が看護師となります。
あとは、口腔保健衛生と栄養も多いです。
鍼灸師は、全体で言えば1%以下…。

情報が少ないはずです。

次のnoteでは、学位授与機構申請にあたっての
筆者の状況、経験を中心に書いていきます。

どこの大学で何の科目を取ったか
どんなレポートでどんな試験だったか
実際の試験会場の雰囲気とかも伝えられたらな
と考えています↓
coming soon

今日はここまで

やっぱり学位が気になる。ここで学ぶ!

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