質問コーナー 第1回は疲労について
初めての質問コーナーです。
個人宛にもたくさんのご連絡をいただき、ありがとうございます。
トークショーなどで直接お答えすることはありましたが、こうして文字にしてお伝えするのは初めての試みです。とても良い方法だと感じています。
さて、今回は「蓄積疲労」についてです。少し細かい話になるかもしれませんが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
蓄積疲労について
多くの方から、疲労に関する質問をいただきました。
その中でも「具体的にシーズンの疲労はどんな疲労なの?回復が追い付かないことで起きる疲労?可動域が狭くなることで起きる疲労?」という内容です。
お話しすると、回復が追いつかないこともありますが、一番の問題は可動域が制限されて起こるものでした。
可動域が狭くなることで、動きが制限された中でいつものような投球をしないといけない。そうなると無駄な出力が増えて疲労が抜けにくくなる。
すると焦りが出て、気分も落ちてしまい、最終的には心身の疲労につながる。こうした経験を繰り返しました。
工場の作業に例えるなら、一つの工程が遅れると全体の作業が遅れ、生産効率が下がるというイメージです。
可動域の制限と悪循環
今季、僕の場合は可動域が狭くなったことで腰の張りにつながりました。
腰が張ると、体重移動時に腰が反りやすくなります。この状態が続くと反りがさらに悪化し、やがて痛みにつながる。けれど、試合では投げなければいけない。
結果として、たとえば普段は60%の力で済む腸腰筋が90%も出力しなければならなくなり、フォームも崩れて腕にも負担がかかる。
このような悪循環に陥ると、疲労は抜けにくく、痛みも伴うようになります。
可動域を維持することは、疲労軽減のためにも非常に重要です。
疲労回復のために必要なこと
疲労を抜き、可動域を回復させるために僕が意識しているのは、以下のポイントです。
1. 良質な睡眠と入浴
これは基本中の基本です。
2. 自分の体を知ること
どの筋肉が張っているのか、どのようにアプローチすれば状態を改善できるのか、自分の体について把握することが大切です。
自分の体を知る重要性
具体例を挙げると、たとえば「左膝に違和感がある」とざっくりした内容をトレーナーに相談した場合、トレーナーは「超音波を当ててみたら?」など、シンプルな提案をしてくれるでしょう。これがいわゆる「初歩的なレベル」でのアプローチです。
一方で、「左の股関節を内旋したときに膝の内側が突っ張るのが気になります」と相談すれば、トレーナーはより具体的で高度な対処法を提案してくれるはずです。
つまり、自分の体に対する知識や理解を深めることで、トレーナーから受けられるサポートの質も向上し、回復スピードや効果が大きく変わるのです。
学びの姿勢が生む効果
自分の体を知ることは、単なる回復のためだけではなく、学ぶ姿勢を育むきっかけにもなります。
「こうしたらどうなるだろう?」「この方法では効果がないなら次はどうするか?」と試行錯誤することで、主体的に学ぶ姿勢が生まれるのです。
僕自身も課題として取り組んでいますが、一線で戦う選手たちは、この「主体的に学ぶ力」を持っている人が多いように感じます。スポーツ以外の分野にも通じる大切な考え方だと思います。
今回は蓄積疲労についての話でした。二つ目に出した「学び続けることがチームを強くする」では、体を学ぶことでチーム全体のレベルアップにどう影響するかなどを取り上げます。
では!
小笠原慎之介